上 下
33 / 41
本当の家族。

個々。

しおりを挟む
その人たちは驚く私を他所に、女子たちが話し始めた。


「ねぇ、その髪の毛、地毛?」

「眼、赤いのきれいー!」

「休んでた時のノートは後ろの棚にあるから好きな時に見ていいよー。」


前に学校に来た時とは違って、にこにこしながら話す彼女たちはからは嫌な視線を感じなかった。


「あ・・うん、地毛で、眼も生まれつき赤いの。ノートは・・ありがとう。」


そう言うとまだ口を開いてない男子も言い始めた。


「とりあえず今日のこれからの時間割は、このあとが数学、次が英語な。5,6時間目は体育だから。」

「体操服あるか?ないなら保健室で借りて来いよ?」


あまりにも親切にしてもらい、戸惑いながらも私は縦に首を振った。

その時、また学校中に響くチャイムが鳴った。


「なんかわかんないことあったら聞いてよー?」


彼女たちは自分の席に戻って行き、私は数学の用意を机に出した。


(なんか・・前と全然違う・・・。)


教室の中からの視線が、私に対する『空気』が前と違うことを肌で感じていた。

異様なものを見る目じゃない。


(・・・そっか、人もまた『個』。みんながみんな同じ捉え方をするわけじゃないんだ。)


一木さんに勉強を教えてもらってる時に、散々言われたことがあった。

人はみんな、『自分の考え』を主張したがる。

それは正解の時もあればそうじゃないときもある。

頭の数だけ考え方や捉え方があることを覚えておけと・・・教え込まれた。

それは将来、他を否定する人間にならないためだ。

時に否定も必要かもしれないけど、それは『案』や『意見』などの未来の話に必要なこと。

『人そのもの』を否定することは許されることではないと。


(きっと・・前のクラスよりも今のクラスのメンバーが『異』を受け入れやすい人たちなんだ。)


一木さんが、私に教えてくれたことが他にもある。

『世の中、全員と仲良くできることはない。だから自分で選べ。去っていく者や拒む者は追いかけるな。』と。


(そうだよね。)


仲良くなれる人もいたら仲良くなれない人もいる。

そう考えたら前のクラスの人たちは仲良くなれない人たちだったんだろう。


(相性ってやつなのかな。)


前と違う学校生活になりそうだと思いながら、私は復学最初の授業を受けた。


ーーーーー


ーーーーー



ーーーー



ーー
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

私が王女です

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:24,869pt お気に入り:214

運命の人は親友の××でした 

BL / 連載中 24h.ポイント:2,485pt お気に入り:640

言いたいことは、それだけかしら?

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:61,453pt お気に入り:1,536

悪徳令嬢はヤンデレ騎士と復讐する

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:2,293pt お気に入り:259

婚約破棄された公爵令嬢は、イケオジ沼に突き落とされる。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:369pt お気に入り:278

幼馴染がヤクザに嫁入り!?~忘れてなかった『約束』~

恋愛 / 完結 24h.ポイント:63pt お気に入り:163

初恋の王女殿下が帰って来たからと、離婚を告げられました。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:52,618pt お気に入り:6,937

処理中です...