溺愛モードな警察官彼氏はチョコレートより甘い!?

すずなり。

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彼女は違う。

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ーーーーー



来間さんを助手席に乗せて動物園に向かってるとき、俺の家の話をしてたら来間さんが『聞きたいことがある』と言いだした。

(有名度合いとか、かぁさんの名前とかかな、やっぱ。)

歌手と言えば必ずというほど名前を聞かれる。
そしてそのあとスマホで検索をかけ、有名さを知って距離を詰めてくるのだ。

(来間さんは違うと思ったけど・・・。)

そう思いながらもここで『だめ』なんて言えるはずがない。

「いいよ?」

俺がそう言うと、来間さんは嬉しそうに俺に聞き始めた。

「小さい頃からクラシックを聴いて育ったんですか?」
「・・・え?」
「聴くことが好きって言ってましたけど、オーケストラ系ですか?それともピアノのみとか・・・」

てっきり親か妹のことを聞かれると思ったのに、来間さんは『俺』のことを聞いてきたのだ。

「俺の親のことを聞きたいんじゃないの?」

そう聞くと彼女はぽかんと口を開けて俺を見ていたのだ。

「え?どうしてです?」
「え・・だって俺の親、有名人だし・・・」
「有名・・・。え、でも近衛さんは近衛さんじゃないですか?私は近衛さんのことの方が知りたいですけど・・・変ですか?」
「!!」

俺は先入観で彼女を勝手に評価しようしていたことを恥じた。
今までは言い寄って来る人がうちの親目的だったけど、俺が好きになった人はそういうタイプではないのだ。

「・・・ごめん、変なこと言って。」
「え?いや・・変なこととは思いませんけど・・・」
「小さい頃からクラシックは聞いてたよ。もう聞いたことがない曲はないくらい聞いてた。」
「!!すごい!」
「それもほぼ生演奏。俺と妹が大きくなるまではずっと海外を転々をしてたからさ、親のコンサートだったり、付き合いで行ったりとかでよく連れていかれたんだよ。」
「ふぁぁ・・・!」

俺は運転しながら自分が小さかった時の話をしていった。
今までこんな話をすることが無かったことから結構楽しんで話せていた。

「小さい頃は妹と一緒にコンサートの間ずっと寝てたこともあるし、代打でコーラス隊の中に紛れ込まされたときもあったりしたんだよ。」
「そんなことが!?」
「歌わなくていいから立っとけって言われて・・・ただ立ってた記憶がある(笑)」
「ふふっ。そこはちゃんと歌わないとー(笑)」

楽しそうに聞いてくれる来間さんは聞き上手なようで、俺は自分のことを結構話していた。
そして気がつけばもう動物園の駐車場に到着していて、俺たちは中に入ることに。

「ごめんな、俺ばっかり喋って・・・」

できれば来間さんの話をたくさん聞きたかった。
俺を知ってもらえたのは嬉しいけど、好きな子の話をたくさん聞きたいものなのだ。

「私は楽しかったですよ?近衛さんの話がたくさん聞けて。またいっぱい教えてくださいね。」
「----っ。」

嬉しい言葉を言ってくれる来間さん。
彼女が付き合ってくれたら・・・と、また思ってしまう。

「えーと・・大人が一人800円ですね。」

動物園の入場券を買う券売機の前で、彼女がリュックサックから財布を取り出した。
俺は彼女が券売機にお金を入れる前に先に金を入れる。

「俺が買うから。」

そう言って券売機の『大人』ボタンを2回押し、二人分買う。
すると彼女は俺に千円札を差し出してきたのだ。

「一緒に買っていただいてありがとうございます。」
「・・・。」

来間さんは過去に付き合った男はいないと、前に言っていたことを思い出した俺。
きっと奢られることに慣れていないのだろう。

「俺が誘ったんだから俺が払うよ。財布はしまっといて?」

そう言って出してきた千円札をしまうように手で押さえた。

「え・・・・?」
「ほら、入るよ。」

うやむやにするために券を持って先に歩き始めると、来間さんは財布をリュックにしまって追いかけてきた。

「でもお金っ・・・!」
「いいんだって。」
「でも・・・!」

食い下がらなさそうな彼女に、俺は一つ『食い下がるような案』を提示することにした。

「なら代わりに俺のこと好きになってよ。」
「えっ・・・・?」
「なんちゃって。」

冗談のつもりでそう言ったのだけど、来間さんは顔を赤くして俺から視線を反らした。

(その反応・・・え・・まさか・・・)

そう考えたものの確証なんてなく、俺は近くにあった看板を指さした。

「あ・・・!ほら!レッサーパンダがあっちにいるって!行ってみようか!」

俺の言葉に来間さんはその看板を見た。
そして首を縦に振ってくれたのだ。

「よ・・よし行こうっ。」

中途半端に変な空気が流れてしまい、俺たちは微妙な距離を開けて歩き始めた。
レッサーパンダを見て、サルを見て、キリンを見て・・・
気がつけば変な空気はどこかに飛んでいき、俺たちは普通に話をしていた。

「ゾウだ!」
「でかいな・・・。お、あっちに爬虫類のコーナーがあるって。」
「爬虫類!?むっ・・無理無理・・・!」

あっちにこっちにと歩き回ってるうちに昼はとっくに回り、ふと園内の時計を見るともう13時半になろうとしていた。

「あ・・・ごめん、昼のこと忘れてたんだけど・・・園内のレストラン入る?もう空いてそうだし。」

昼時はどこも混むレストラン。
時間を少しずらせば空いてることが多い。

「行きますっ。」
「よし、行こう。」

俺たちは園内にあったレストランに入り、そこで食事を済ませた。
ここの支払いも俺がすると、今度はさらに食い下がるようにして彼女が支払いを申し出てくれたのだ。

「あの・・!お支払い・・・!」
「うーん・・・できれば奢らせて欲しいんだけどさ、ダメ?」
「ダメというか・・・奢ってもらうのに慣れてなくてですね・・・」
「でも今日はデートだから俺が出したい。」
「デ・・!?う・・・。」

お互い譲らない攻防戦に、俺は妥協案を提示することに。
さっきよりはきっと納得してくれるものなハズ。

「じゃあ・・・帰りに何かグッズ買ってくれない?来間さんが選んでくれたら嬉しいんだけど?」

そう聞くと彼女はものすごく真面目な顔を俺に見せた。

「!!・・・わかりました!真剣に選びます!」
「真剣って(笑)」

約束を取り交わし、俺たちはそのあとも動物園の中を歩いていく。
カバやライオンを見て写真を撮り、次に現れたシカエリアを見てるとき、近くにいた子供が俺たちを見て声を上げたのだ。

「あー!あのおにいちゃんとおねぇちゃん、おなじふくきてるー!」
「!!」
「!!」

その声に俺は今日、来間さんと同じようなジャケットを羽織ってることに気がついた。
色もなんだか似ていて、周りから見たらお揃い状態だったのだ。

「こらっ、大きな声で言わないの!お兄ちゃんたちは恋人同士なんだから!」
「!?」
「!?」

子供の近くにいたお母さんがそう窘める声が聞こえてくる。
俺たちは恋人同士ではないことから、どう反応したらいいのか困って仕方がない。

「子供って純粋だな・・・。」
「そ・・そうですね・・・。」

困りながら二人でシカエリアを後にし、歩いていくと白鳥が放たれてる池に辿り着いた俺たち。
ちょうどよくベンチが見え、そこで一旦座ることにした。
またあの子供に出くわすと、今度は何を言われるかわからないから・・・

「ホットココア飲む?自販機あるから買ってくる。」
「あ・・・ありがとうございます・・・。」

俺は来間さんをベンチに残し、自販機の場所まで歩いていった。
財布に入ってる小銭を自販機に投入し、ホットココアとブラックコーヒーのボタンを押す。

(恋人同士か・・・。)

さっきの子供の言葉に、来間さんが俺をどう思ってるのかがふと気になった。
動物園に入った時に言った冗談の反応から考えたら前向き・・・と捉えてもよさそうな感じだ。

(ただ照れただけって可能性もある。焦らずにいかないと・・・。)

いろいろ頭の中で模索しながら買ったココアとコーヒーを持ち、来間さんが座ってるベンチに戻ろうとした。
その時、彼女の周りに数人の男が群がってるのが目に入ったのだ。

「!?」




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