溺愛モードな警察官彼氏はチョコレートより甘い!?

すずなり。

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好き。

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ーーーーー



近衛さんが自動販売機に向かったあと、ベンチで一息ついてる私、凜華に数人の男の人が声をかけてきた。

「おねぇさん、一人?」

ニヤニヤしながら私の背後から声をかけてきた男の人は、黒いキャップをかぶっていた。
私と同年代か、それより若いくらいの見た目だ。

「・・・一人じゃありません。今、買い物にいってます。」
「お?女の子?」
「いえ・・・」
「なんだ女じゃないのかー・・・じゃあその男を放っておいて、俺たちと遊びにいかない?」
「え・・!?」

この人の言葉を皮切りに、私の周りを囲うようにして詰め寄って来る男の人たち。
ざっと5人ほどいそうだ。

「おねぇさんいくつ?」
「結構若いんじゃない?」
「童顔での年上も燃えるんだけど(笑)」
「スタイルもよさそうだな。」

そんな会話がされ、男の人たちは私を上から下まで舐めるようにして見てきたのだ。
あまりにも気持ち悪い視線に私は下を向くことしかできず、困り果ててしまった。

(どうしよう・・・。)

このまま立って近衛さんのところまで行くか、それとも話をせずにいて諦めてもらうかを考えてるとき、私の耳に近衛さんの声が聞こえてきた。

「はいはい、キミたちどいてくれる?俺の彼女が怖がってるから。」
「!!」

そう言って男の人たちをかき分けるようにして私の前に立った近衛さん。
男の人たちは一瞬戸惑ったものの、すぐに近衛さんに突っかかるように言葉を放ち始めた。

「はぁ?」
「お前より俺らと遊んだほうが彼女サンも楽しいんじゃね?」
「言えてるー(笑)」
「つーことでほら、来いよ。」

私の手を掴もうと手を伸ばしてきた男の人だったけど、その手は近衛さんがガシッと掴んでしまった。
そしてその手を捻り始めてる。

「うぉあ!?」
「腕を掴めば『暴行罪』。2年以下の懲役または30万円以下の罰金。これ以上の付きまといは『軽犯罪法違反』。拘留もしくは科料。迷惑防止条例違反なら1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処される可能性がある。」
「は!?」
「ここで帰るならは出さない。さぁどうする。」

そう言って近衛さんはポケットから警察手帳を取り出したのだ。

「は!?サツ!?」
「ポリ公がなんでここに・・・」
「いっ・・いいから帰るぞ!!」

近衛さんの威圧に負けたのか、男の人たちは慌てるようにして走って去っていったのだった。

「大丈夫か?ケガとかしてない?」
「だ・・だいじょぶ・・・・」
「ほんとに?」
「・・・。」

ケガは本当にしてなかった。
でも空き巣のことが頭の中で紐づいてしまって、手が震えてしまっていたのだ。

「震えてる・・・。」
「あ・・・ちょっと空き巣を思い出して・・」

空き巣に入られたとき、もし私がその場に居合わせたらと思うと怖いのだ。
私よりはるかに大きい男の人が空き巣の犯人だった場合、勝てる気がしないから・・・。

「・・・俺じゃだめ?」
「え?」
「俺が来間さんの安心できる場所になる。その震えてる手・・・俺が握ってもいい?」

そう言って近衛さんは手を出してきて私の手に触れるギリギリのところで止めた。
微かに震える手が私に触れないように止まってる。

「・・・。」
「ダメって言われたらちゃんと諦める。ちゃんと適度に距離を置くし、お節介じみた心配もしない。」
「え・・・」

距離を置くということは、近衛さんとこうやって出かけることが無くなるということだ。
話すことも無くなるし、もしかしたら交番の前で出会うことも無くなるのかもしれない。

「・・・やだ。」
「え?」
「それは嫌です・・・。もっとお話ししたいですし、お出かけもしたい。近衛さんと話せなくなるのは・・・嫌。」
「!!」

三橋さんは『この人を幸せにしたいと思った時に恋に落ちてた』と言っていたけど、私は『この人を失いたくない』と気づいたときに恋してることを理解したのだ。
『側にいて欲しい』『近くにいて欲しい』
そんな想いが溢れて仕方がない。

「わ・・私・・近衛さんが・・・」

『好き』
そう言おうとした時、私の唇に近衛さんの指があてられた。

「?」
「もう一度俺に言わせて?」

近衛さんは私の手をそっと包み込み、私の前に片膝をついて座った。
そして私を少し見上げるようにして真剣な顔で・・・言った。

「・・・一生大切にする。だから俺と・・・付き合ってください。」

その言葉に、私自身も近衛さんのことを大切にしたいと思った。

「・・・よろしくお願いします。」

そう伝えると、近衛さんは嬉しそうに笑ってくれたのだ。

「!!・・・ありがとう。好きだよ?・・・凜華。」
「!!・・・ふふ。」

初めて呼ばれた私の名前。
なんだかくすぐったい気もするし、嬉しかったりもした。

「あ、ココア買ってきた。飲む?」
「い・・イタダキマス・・・。」

近衛さんは缶に入ったココアを開けて私に手渡してくれた。
少し湯気の上がるココアを、ゆっくり口に運んでいく。

「おいしい・・・。」
「よかった。あ、ほんとにケガはしてない?」
「してないですよ?変に絡まれただけなので・・・。」

無駄に絡まれて無駄に心配させてしまった時間だ。
申し訳なく思いながらココアを飲むと、近衛さんはブラックコーヒーを口に運んでいた。
キリっとした横顔にドキッとしてしまったことは・・・ナイショだ。

「ん?どうかした?」
「~~~~っ。なっ・・なんでもない・・です・・・。」
「?」

こうして付き合うことになった私たちは、飲み物を飲んだ後、また動物園の中を歩き始めた。
さっきと同じように歩いていくけど、さっきとは違うところが一つ。
それは・・・

「凜華の手、ちっさ。」
「~~~~っ。」

そう、手を繋いでることだった。
父と兄以外の男の人と手を繋ぐのは初めてで、汗をかいてないか心配しかない。

「近衛さんの手が大きすぎるんですよ・・・っ。」
「俺は標準だと思うけど・・・。まぁ背にも比例するようなものだし?」

手を繋いでるからかなんとなく距離も近いような気もしてしまい、かわいい動物たちを考える余裕が無くなっていってしまう。

「うー・・・。」

初めてのことに困りつつあると、ふと近衛さんの手が私の手から離れたのだ。

「え・・・?」
「凜華が嫌なら繋がないけど・・・どうする?」
「~~~~っ。」

離れて行ってしまった手はもう寂しさを感じ始めていた。
短い時間だったはずなのに、手が安心感を覚えてしまっていたのだ。

「・・・やだ。」
「ははっ。・・・おいで?」

近衛さんは笑いながら私に手を差し出してきたのだ。
その手をそっと掴むとぎゅっと握り返され、嬉しくて頬が緩んでしまう。

「かわいい。」
「~~~~っ。」

『付き合う』ということになってから近衛さんの表現力が爆上がりしてることに戸惑いながら、私たちは閉園時間まで動物園の中を歩き回ったのだった。




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