お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。

文字の大きさ
16 / 67

お祝い。

しおりを挟む
鈴「え?」

翔平「この家で祝う最初の誕生日だな。」

恭吾「15歳おめでとう。」





ケーキに刺されていく15本のろうそく。

順番に火が灯されていく。




お父さん「ほら、願い事をして、火を消して?」

鈴「・・・願い事?」

翔平「うちは願い事をしてから吹き消すんだよ。1年かけてその願いが叶うように。」

恭吾「鈴の願いはなんだ?」

鈴「私の願い・・・・。」






私は3人の顔を順番に見た。



お父さんも・・翔平お兄ちゃんも・・恭吾お兄ちゃんも私を大切に思ってくれてる。

私はまだ馴染めないかもしれないけど、3人の気持ちに応えたい。




鈴「私は・・・ちゃんと家族になる。お父さんとお兄ちゃんたちから見て、誇ってもらえるような子になる。」




そう言って、ろうそくの火を吹き消した。









お父さん「おめでとう、鈴。」

翔平「おめでとう。」

恭吾「おめでとうーっ。」




初めて祝ってもらった誕生日。

私は目から涙が出た。

少しだけ。





翔平「あ、そうだ。財布返しとくよ。」



お父さんがケーキを切ってるときに翔平お兄ちゃんが私の財布を渡してくれた。



鈴「ありがとう・・・。」

翔平「中身、あんま無かったな。」

鈴「・・・高校生になったらバイトができるんで。」




そう言った時、お父さんがものすごい勢いで反対してきた。


お父さん「ダメだよ!?バイトはさせないよ!?」

鈴「えぇ?」

翔平「それは俺も賛成。」

鈴「えぇぇ?」

恭吾「だな。」




3人に反対されてしまった。




鈴「でも・・・・・。」

お父さん「お小遣いならあげるから・・・ね?」

鈴「でも・・・・・。」

翔平「働く意味がないだろ?」

鈴「でも・・・・。」

恭吾「どうしてもバイトしたいならうちでしな?」

鈴「・・・・え?」




恭吾お兄ちゃんはニヤッと笑った。



恭吾「1カ月、家のことを手伝う。」

鈴「お手伝い?」

翔平「それ、いいな。掃除、洗濯、料理だな。」

鈴「家事・・・。」

お父さん「うん。できるときでいいし、やった分だけ給料としてお小遣いを渡そう。どうだい?」



外でバイトができないならそれを飲むしかお金を稼ぐ方法がない。

そのお金の出所がお父さんやお兄ちゃんたちっていうのがどうなのかわからないけど・・・。



鈴「・・・がんばりますっ。」

お父さん「料理はしばらくはいいよ。やりたいときにキッチンの使い方を教えてあげるから、一人のときは火を使わないこと。わかった?」

鈴「はいっ。」





『家』での仕事をもらえて、やる気満々になった私。

とりあえずは自分の部屋の片づけからだけど、できることはしていこうと思った。

そのとき・・・





恭吾「・・・あ、忘れてるかもしれないから言っとくけど・・・鈴の検査もしないとダメだよ?」

鈴「あっ・・・。」

お父さん「そうだね。血液検査でわかるんだけど、受けてくれるかい?」




お母さんと同じ病気かもしれない私。

翔平お兄ちゃんは『治療方法は見つかってる』って言ってた。




鈴「・・・します。」

お父さん「おっけ。明日は翔平が仕事だし、一緒にいけばいいよ。帰り道が不安だったら恭吾に迎えに来てもらえばいいし・・・・って、忘れるとこだった。」



お父さんは席を立って、カウンターにあった箱を持って来た。

私の前にその箱を置く。



鈴「?」

お父さん「お父さんからの誕生日プレゼントだよ。」



箱を開けると、中身はケータイ電話だった。



鈴「ケータイ・・・!」

お父さん「みんなの連絡先はもう入れてあるよ。使い方は・・・まぁ、触ってたら覚えていくと思うし。インターネットはつなぎ放題だからどこでも好きなだけ使っていい。料金が発生しそうなときは先に進めないようになってるから大丈夫。」

鈴「持ってて・・いいの?」

お父さん「外出したときとかに連絡取れなかったら心配だからね。」

鈴「ありがとう!」





早々にご飯を終わらせ、私はソファーに座った。

ケータイの電源を入れて、色々触ってみる。



鈴「あれ?これが連絡先で・・・これがメール?なんか着信音もたくさんある・・・。」




ケータイで遊んでると、いつのまにか時間は過ぎていったようで、恭吾お兄ちゃんにちょっと怒られた。



恭吾「鈴?いつまでもケータイ触ってないで部屋の片づけしな?」



その言葉に顔を上げ、時計を見た。

今の時間は『午後11時』だ。



鈴「わぁっ・・。もう寝る時間っ!」

恭吾「ほら充電器。寝る前に充電しろよ?バッテリーが無くなったら意味ないからなー。」




私は充電器を受け取り、部屋に戻った。

一通り片付けてからうさぎの待つベッドに潜り込む。

手にはケータイを持って・・・。




鈴「充電器に繋いで・・・と。よしっ。」



私はケータイの機能を全て確かめるように一個一個見ていく。

アプリもすべて立ち上げ、何が何の機能を使えるのかを徹底的に勉強した。















しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

月弥総合病院

僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

白衣の下 第一章 悪魔的破天荒な医者と超真面目な女子大生の愛情物語り。先生無茶振りはやめてください‼️

高野マキ
ライト文芸
弟の主治医と女子大生の甘くて切ない愛情物語り。こんなに溺愛する相手にめぐり会う事は二度と無い。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

幼馴染みのメッセージに打ち間違い返信したらとんでもないことに

家紋武範
恋愛
 となりに住む、幼馴染みの夕夏のことが好きだが、その思いを伝えられずにいた。  ある日、夕夏のメッセージに返信しようとしたら、間違ってとんでもない言葉を送ってしまったのだった。

処理中です...