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第1章
血筋の世界
しおりを挟む「ちょっと!!いつまで寝てるんですか!?もうとっくに一時限目開始の時間ですよ!?」可愛いが、少し焦った声が部屋中に響く。『んー...もうちょっとお願い...』
「ダメですよ!!今日こそ行かないと!!本当に私達退学になっちゃいますよ!?」大声で再度呼びかけるが青年に反応はない。『……』「どうしても起きないんですね...?そうですか...」そこで彼女は何かを決心するための準備をするように一度下を向きその後直ぐに決心した顔を上げた。そして、彼女は上半身の服を脱ぎ始め。上半身黒色のブラジャーに下半身学校指定のスカートと言う姿になり「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」と集団住宅だったら追い出されるレベルの叫び声を上げた。そして、ベッドで寝ている青年の股間を蹴りあげた。『ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!あがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』と青年がいきなりの痛みに叫び土下座の一歩手前という形でベッドに蹲った。その瞬間部屋のドアが凄い勢いで開けられた。「篠原!!大丈夫か!?」と言うボーイッシュな女子生徒の声が部屋に響く。「だ、大丈夫なんですけど...。月傘さんが私の事を襲ってきて...。」勿論ベッドで寝ていた青年は襲うも何も寝ていただけだ。『違っ、俺はただベットで「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」』青年の言葉を遮るように黒色ブラジャー姿の少女が青年の頭を踏み付ける。「おいおい...ちょっとやり過ぎなんじゃ...」ドアを開けて駆けつけた少女が言った。「いいんですよ!!私の身が危ないんですもん!!」「ま、まぁ、確かにこんな朝から襲って来るのは女の敵だよな」「そ、そうですよ!!この人最低ですっ!!」この時青年は何か言おうとしたが顔面が踏まれたままだったので、何も発することが出来なかった。「それじゃ、私先行ってるね?あんたらも急ぎなよ?もう既に遅刻だし。」「はい!!わかってます!!」「うん!!それじゃ!!」と言って彼女は小走りで走り去って行った。「まだ、起きませんか...?」少女の足が青年の頭から離れる。『ごめんなさい、起きます。すみません。』と、半泣きの声で言うと「起きるだけじゃなくて授業は?」とかなり威圧をかけた声で少女が言った。そして、青年は『今日こそ出ます...』「わかりました。じゃあ3分で着替えて下さい。私、先に部屋の外で待ってますから。」『はい...。』それから彼女は、制服を着てバタン、とドアを閉めた。あー畜生...ずっと寝てたいのに...でも、これ以上寝たら確実に殺されるなぁ...と思いながら青年は着替えていた。青年と言っても齢17歳なのだが。姓名は 月傘 彩夏 と言う名前であった。成績オール2テストの合計点数68点なお1000点満点中で黒髪に身長175。髪の長さは眉に少しかかる位と、至って普通である。そして、三分ほど経ち『ごめんごめん、待った?』と特に悪びれた様子も無く現れた。それに対し篠原が「待った?じゃないですよ。何日間月傘くん寝てたと思ってるんですか?」と怒ったように聞いてくるこの少女は篠原 海姫 海姫とはかいきと読む。髪の毛はロングで黒髪。バストはDくらいであろうか。一応は巨乳の部類に入るでかさだと思う。身長は162と月傘より頭一個分違うくらいだ。ちなみに齢14である。そして、月傘が返した返答が『2日位...?』と彼が自分で認識している事実を恐る恐る聞いてみると「ふざけないでください。1ヶ月は寝てました。」『は、はぁ!?そんなに寝てねぇよ!!』「私の中で2日は1ヶ月です。...ってそんな話してる場合じゃないですね。本当に退学になっちゃいます。急ぎましょう。」『あ、あぁ...。』と押され気味で返事をした。そして、数分駆け足で校内を走り教室前に着いた。「月傘くんから入ってくださいよ!!」こしょこしょ話の要領で月傘に話し掛けてくる。篠原のあったかい吐息が耳にかかる。このままだと朝篠原が言ってた事を本当にしてしまいそうになった月傘は。『わかった、わかったよ...。』渋々前に行き教室のドアを開けた。開けた瞬間、先生はおらず、教室に居た男女から物珍しそうな目で見られる。「お!?引きこもりプリンスとプリンセスが教室に何のようだ!?」と一人の男子生徒が言って、教室中が笑いに包まれた。篠原はそんなことを言われて、何も言い返せずに、下唇を噛み締めて下を向いていたが、月傘は『別にいいだろ。お前にゃ関係ない。篠原あんなの気にすんな、空いてる席座ろうぜ』と、余裕綽々の対応で篠原の肩を持ちながら、空いてる席に向かう。そして、席に着き、座ろうとした瞬間足が出された。隣の席の男子が椅子の上に足を出してきたのである。『邪魔だからどけよ』と威圧をかけた声で月傘は言った。だが男子生徒は少しも臆さずに「お前ら二人教室に居場所なんてないよ!!場違いだ!!事実に帰るがいい!!」と大声で笑いながら言ったのであった。その言葉を聞いた男子生徒女子生徒は共々大声で笑う。だが、篠原は今にも泣きそうな顔をしていた。だが、月傘は至って冷静にただ一つの行動をした。『あんまり調子のんなよな』と冷静に言い放ち月傘は男子生徒の頬を思いっきり力任せに殴り飛ばした。ガァンと言う衝撃音と共に男子生徒が壁にぶつかる。「月傘...ふざけんなよ」と男子生徒が怒り丸出しの鼻血が出ている顔で立ち上がる。男子生徒の名前は モンルイ ササークラと言うシカハーラからの留学生である。身長は月傘と同じくらいであるが金髪、そして青目と言うシカハーラ人の特徴が良く出た少年だった。『ふざけるも何もお前が始まりだろ。おい、篠原座れよ。』特に悪びれた様子も無く月傘が篠原を席に手招きする。その瞬間月傘にモンルイが切りかかってくる。月傘は反応するのが遅く回避行動はしたが間に合わず背中を少し切られた。「だ、大丈夫!?」いきなりの出来事で混乱してる篠原が敬語を使うのも忘れて月傘に言う『痛いけど大丈夫。ちょっと、後ろ下がって貰えるか?』優しいなだめるような口調で月傘が篠原に言う。「う、うん!!」と少し怯えた挙動を見せながら篠原は教室の隅っこ。つまり、流れ弾 飛び火が完全に当たらないところに移動した。『いきなりなんだよ、いてぇじゃねぇか。』モンルイに向かって月傘が言った「おあいこ様だろ、お前が俺の血筋を知ってか知らないかはどうでもいいが、先に殴ってきたのはそっちじゃないか月傘。」『先に悪口を言ってきたのはそっちだけどな。』しばし、2人が睨み合う段々二人とも目が本気になり、最初は面白がって見てた生徒達も離れた。「おい、月傘」『なんだよ。』「今すぐここで、土下座しろそうすれば許してやるよ。」とても嫌な口調でモンルイが言うと。『まっぴらゴメンだな。お前こそ謝れよ。』「嫌だね、謝んないなら実力でひれ伏すしかないのかな?」と、挑発的な笑みを浮かべながらモンルイは言った。だが、それに負けず劣らずの笑みで月傘が言った。『あぁ、そうなんじゃないのか?』「そうか...ここの教室だと俺は無双状態になるけど...ここで良いのかな?」教室には、イス 机 石の床などがある。『あぁ、勿論大丈夫だ。』「そうかそうか!!後悔するなよ月傘!!」と、言った後に。少し後ろに飛び下がり、優雅にモンルイが一礼した。「俺の二つ名の由来思い知るが良い!!」『えーと、なんだっけ?ペーパードライバーですっけ?』「違うわぁ!!神紙だっつーの!!」とキャラ崩壊をしつつモンルイが返した。それに対し月傘が『あー、そっしたねー』さも、どうでも良さそうに月傘が返事をする。それと二つ名をバカにされたことでモンルイに完全にスイッチが入った。「死して償え!!」と言う声とともに机の上に置いてある、プリントが月傘の元に飛んでくる。月傘はそのプリントを何個も間一髪ぎりぎりで避け最後の避けきれなかった1枚を掴もうとしたが、掴もうとした瞬間には既に、出した方の手、つまり右手がプリントに貫通されていた。『うぐっ...』と月傘が声を漏らす。かなり痛いはずだなんせ、右掌に風穴が空いたのだから、他の生徒もうわぁ...と言う声を漏らしていた、この上なくえぐい一場面であった。篠原はその光景を見て。大泣きしてしまった。本当は助けてあげたいのに。私も守ってあげたいのに。なんで、いっつもこういう時になると泣いちゃうの...?と泣きながら自分の弱さに潰されそうになりながら。篠原は隅っこで泣いていた。そして、モンルイが「おいおい、月傘!!素手でなんか止められるわけないだろ?それは鉄よりもう、強いんだから!!」と半笑いを浮かべながら月傘に言う。だが、月傘は自分に刺さった紙を武器として掴みながらモンルイに切りかかってきた。だが、モンルイに当たる直前にただの紙に戻った。「おいおい、喜劇かこれは?俺の息がかかった紙が俺に攻撃できるわけないだろ!?引きこもり過ぎてそんな事もわからないか!?」『......』「おい!だんまりかよ!!仕方ないなぁ...。一瞬でケリをつけてあげるよッ!!」その言葉を発した瞬間10数枚の人の体なんて豆腐の様に貫く紙が月傘を襲う。そして、月傘にもう少しで届くという距離でその紙は止まった。いや、止まったのではなく、ゆっくりになった、そして、ゆっくりと下に落ちていく。そして、月傘に完全に当たらない位置に行くと元の勢いを取り戻したかのように地面にささる。「なっ...!?月傘何をした!?」その言葉の先を言おうとした時に彼は言葉を失った。「な、なんでお前...!?なんでだ!?」この時モンルイは驚愕していた。何故なら自分が操った紙で風穴を開けたはずの穴が少しずつ穴が狭まり治っているからであった。なんでだ!?何故だ!?何故あいつが...あいつはまさか!?月傘は、治癒系の血筋の持ち主!?いや、違う。なら、さっきのあの現象はなんだ?あれは治癒系統じゃ絶対に不可能だ...。じゃあ、いったいなんだと言うのだ!?そして、焦ったモンルイは声を張り上げて月傘に問いた「お前の!!お前の血筋はなんだ!?正直に言え!!俺だけ教えてお前が教えないのはフェアじゃないからな!!」しかし、月傘は何の反応も示さない。ぐっ...このままじゃ、埒があかないと思い。モンルイは月傘に切りかかった。「てやぁ!!」その瞬間モンルイの周りの時間の進みが遅くなったかのようにゆっくりになった。これなら、勝てる!!と思ったが、その瞬間には月傘の拳が再度顔面に当たっていた。だが、先と違うのは一切後ろに飛ばないのである。先程は殴られて後ろに飛んだが。この状態では痛みだけが顔に伝わってくる。なんとか逃げ出そうとして動こうと思った瞬間、自分が今どこにいるのか理解した。そう、周りが遅くなったのではなく。モンルイ自体が遅くなったのである。モンルイは時間の流れがとても遅い空間に居るのであった。その為、体の動きは遅く回避行動もろくに取れず、後ろに飛ばされる事も無く。ひたすら月傘に蹴られ殴られした。そして、その後月傘がモンルイの顳かみを思いっ切り殴った為にモンルイは気絶をしてしまった。そして、右掌に空いたはずの風穴は完全とまでは言えないが異常なまでに治ってきていた。モンルイとの戦闘が終わった後の方がどうしてか治りが早いのであった。そして、篠原は戦闘が終わったと同時に、月傘に抱き着き大泣きした。丁度そのタイミングで先生が入ってきて、モンルイが鼻血を出して気絶しているのと。月傘の疲れ切った顔を見て、2人が対決したと判断するのに時間はかからなかった。その後、月傘は校長室に呼ばれ「君は...なんでいつも教室に来ると問題ばかり起こすのだね...?」とても困った顔で月傘は尋ねられた。そして、月傘はこう返した。『私は悪くありません。最初に喧嘩を売ってきたのもあちらですし、私は自分の身を守っただけです。』「むむ...そう言われたら何も言い返せないのぅ...。」『……』そして、校長は少し考え何か閃いたように目を開き月傘にこう言った「明日の昼に旅支度を整えて篠原くんと校長室まで来なさい。良いか旅支度じゃぞ?」『は、はぁ...わかりました。』「うむ、それでは下がって良いぞ。」『はい、失礼しました。』明日俺達は何をされるのであろうか?と言うことを考えながら自室へと向かった。そして、自室前についた。自室と言ったって1人ではない。訳あって篠原との相部屋である。そして、部屋の前につき部屋に入ると、篠原が月傘の服を着て、月傘のベットの上で半泣きになりながら寝っ転がっていた。『おい、篠原お前何やってんだよ。』「だって、だって、だって...なんで、あんな言われ方されなくちゃ行けないんですか?酷いですよ...。いくら月傘くんが勉強出来なくったって!!成績がオール2だって!!寝相が悪くたって!!いい所はいっぱいあるのに...なのになんで...。」と、篠原は顔面を月傘の枕に埋めた。『おいお前、それ殆ど悪口じゃねぇか。』「ほんらことないれふ!!(そんなことないです!!)」と、篠原が枕に顔を埋めた状態で足をばたつかせながら、言った。そこで、月傘はさっき言われた事でおかしい事に気付いた。『おい、篠原?』「なんれふか?(なんですか?)」『お前なんで、俺が寝相悪いって知ってるんだ?』と彼が言った瞬間篠原が急に跳ね起き、枕で月傘の顔面を叩いた。そして、震えた声で。「かかか、勘違いしないでくださいよよよ?私ただ寒いなって思ったから寝ぼけて布団の中に入ったんです。事故です間違えです。」『そうか、じゃあ、これからは俺のベットの周りに鉄柵でもつけるか...。』その瞬間凄くガッカリした顔で「え...つけちゃうんですか...?」と篠原が上目遣いで見てきた。月傘は正直言って篠原の事は可愛いと思っていた。だが、意地悪な月傘は『あぁ、つける。堂々と一緒に寝かせてください。って言わなきゃつける。』それを言われた篠原は少し頬を赤らめて「別にじゃあいいですし。私にはぬいぐるみが居ますもん!!」『そかそか、明日までに旅支度揃えとけよ。明日旅支度持って校長室行きだからな。それじゃ、おやすみ。』話を一方的にして月傘は自分の床に入り、すぐに深い眠りへと落ちていった。その様子を見ていた、篠原はとても寂しい気分になった。何故かはわからないが決まって月傘が先に寝る夜は寂しいのであった。校長先生からの話、と言うのも気になるが、成るようにしか成らないだろうという考え方の篠原は、旅支度を整えちゃっちゃと寝る準備をして、篠原も自分の床に入った。ここで暮らしてはや3年月傘と一緒にもう10年間も一緒にいるのであった。そして、寂しい夜に限って最初に会った頃の事を思い出す。
「海姫!!貴方ってば本当に篠原家の恥ね!!」
「そうだぞ海姫!!少しは兄さんを見習ったらどうだ!?」生まれつき気の弱い私はあまり戦闘が得意では無かった。だが、私の兄さんはとても戦闘が上手く、いっつも親に褒められていた、私は戦闘が嫌だったし、私の事を認めてくれない親の事が嫌だった。だから、私は家出をしたのであった。私が4歳の時である。そして、夜道を歩いていると、奴隷商人に出くわしてしまい、私はあっけなく捕まってしまった。そして、手枷をつけられ足枷をつけられ、奴隷として売られたのであった。そして、ある屋敷に買われた。購入理由は、犬の世話だそうだ。性欲処理や、遊び半分の拷問の実験台になるよりはかなり良かった。だが、犬には屋根があったが私にはなかった。ある日そんな屋敷に一人の少年がやってきた。この国では珍しい私と同じ黒髪の少年だった。そして、その少年は屋敷の主人から借金を取りに来たそうだ。だが、屋敷の主人は借金など返すつもりもなく。少年の事を殺そうとした。だが、少年は両腕がもげても、腹に剣を刺されても、死ぬ事なく逆に屋敷の主人を殺し、屋敷に居た女子供抵抗しない男達を外に追い出し屋敷に火をつけた。その様子を私はどこか達観した目で見ていた。そして、この後私はこの人にまた奴隷商人に売られて、金に変えられるんだろうなぁ...と思っていた。それでも別に良かった。もう、なんも良かった。だが、少年は私に向かって、『大丈夫?そんなに汚い服来て、しかも痩せすぎだよ?ほら、これ食べてこの服来ていいよ。』少年は私にパンと服を渡してくれた。その後少年は『行くとこないなら、僕についてきなよ。』「え...」私は驚き揺らいだ。だが、この時あったばかりの少年の事をどうにも信じる訳には行かなかったのである。そんな私の心境を読んでかはわからないが、少年が言った。『んー、信じられないか...あ、そうだ!なら、家族の元に帰そうか?きっと家族も心配してるだろうし!』私は家族という言葉を聞いて身体がびくっと震えて、何故かあんなに嫌いだった家族に会いたい。という気持ちが溢れ出してきた。そんな様子を見かねた少年は『よし!じゃあ、行こっか!あ、その前に君名前は?』「わ、私の名前は...篠原 海姫です...」『へぇ~可愛い名前だね、僕の名前は月傘 彩夏!よろしくね』これが初めての出会いであった、その後月傘くんと私の屋敷に迎ったのであったが。私の屋敷や故郷の街は1面焼け野原であった。月傘くんが周りにいた生き残りの住人に何があったか聞いた所、傭兵部隊カラニーカコという部隊が突如村を遅い殆どの人を皆殺しにしたという。その話を聞いて私はまた泣いてしまった。また何も出来ずに私は泣いてしまった。でも、月傘くんはそんな私の事頭を隣で黙って撫でてくれた。私はそのせいでもあってかさっきより泣いてしまった。それから私は泣き疲れて月傘に寄りかかるように寝てしまい、次に目を覚ます頃には見慣れない部屋が広がっていた。数ヶ月ぶりのベッド数ヶ月ぶりの屋根だ。そして、とてもいい匂いが漂ってきた起き上がり部屋から出るとキッチンに月傘が鍋と木べらで何か赤いミネストローネのような料理を作っていた。「いい匂い...」と思わず声が漏れる。それに気づいた月傘は『あぁ、起きたんだおはよ、勝手に家に連れて来てごめんね』と半笑いで少し申し訳ないように言う、それを言われた私はぶんぶんと首を横に振り「凄い嬉しいです!」はにかんでこう言った。ならよかったと彼もはにかみ、それから彼の作った料理を食べながらこれから先の事などを話した。そして結局私は他に行くもところもないので、月傘くんと一緒に旅をすることにした。今思えばとんだ夢話であるがその頃の私はそれでも良かった。そして、この頃不満があった、そう、どれだけ私が誘惑しても月傘くんは何もしてこないのである。小さい頃ならいざ知らず、思春期の時も何もしてくれない、今も何もしてくれない。そんなに私には魅力がないのであろうか?胸だってあるし、スタイルだってそれなりにいいし、顔だってそこら辺の女子には負けない筈だ。なのに、月傘くんは私に何もしてくれない。そんな思いを心に秘めながら、篠原は月傘が寝ているベッドに行き、愛らしそうに月傘の頬を掌でなぞりながら篠原の唇を月傘に押し付けた。そして、口の中に舌を入れ月傘の舌と絡ませる。月傘くんの唾液...甘い...なんて考えながら激しさは増してく。いつも守ってくれる月傘くんが好き、いつも私を助けてくれる月傘くんが好き、そんな思いから起きる行動であった。毎日やっている訳では無いがどうしても寂しさが抑えられない時にのみこうした行動をするのであった。そして、数分間キスをした後に月傘の隣に横になる。月傘は眠りが深いのでちょっとやそっとの事じゃ起きないのである。明日は何を話されるのだろうか?と考えながら、篠原も深い眠りについた。
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