「女友達と旅行に行っただけで別れると言われた」僕が何したの?理由がわからない弟が泣きながら相談してきた。

ぱんだ

文字の大きさ
14 / 15

第14話 旅行に行った女性達は幸福な人生を送る

しおりを挟む
「今日もハリーの匂いたまらないよ。スーハー、スーハー」
「クンクン、ああ臭い。でも好き」

ムワッとする特異な匂いを何度か嗅いでしまっているうちにとりこになっていた。ハリーと旅行に行った女性たちは5人で、貴族の令嬢に大金持ちの商人の娘に人気の踊り子に、赤毛の冒険者と修道院に寝泊まりしている見習いシスターと幅広い。

ハリーはいわゆる腋臭わきがを持っていた。一般的な感覚の人なら恋人からかすかな体臭が鼻をくすぐったら、死ぬほど愛している相手でも歪むような苦しげな表情を浮かべている。

「ハリーほらしっかりワキを見せてみなさい」
「ちょっと汗かいてるみたいだね」
「甘酸っぱくて汗臭い。いい匂いね」

ハリー含めて6人で旅行に行った宿の部屋。彼女たちはハリーの事を深く心酔しているのだから体臭も気にならない。むしろになっていた。ハリーが婚約者のフローラと結婚しても永遠の愛を生きる覚悟で、その証拠にハリーはそれぞれの女性に結婚指輪を渡していつも左手の薬指にはめている。

おまけに彼女たちにウェディングドレスを着せて、ハリーもタキシード姿で共に写真を撮った。ハリーと旅行に行った5人の女性たちは強い絆で結ばれていた。恋人たちが子供が欲しいと言えば、喜んで作りお金の面では苦労させないと話した。

フローラと結婚するので彼女たちとは結婚はできないが、その他の事は自分が責任感を持って面倒を見ると言う。これは女性の幸せとして考えて素晴らしい事ではないか?ハリーは次期侯爵家の当主で金品や財産を多く有している。

「じっとり湿って程よく温かい……ハリーの匂いはおいしい。スンスン」
「ああ~いい匂い。クンクン」

実はハリーの恋人の三人は貧しい暮らしの中で生きてきた。踊り子と冒険者の女性と修道女は、小さい頃は吹けば飛ぶような生活して五日に一度しか食事をとれなかった。

四六時中ずっとお腹いっぱい食べる事ばかり考えていた。いつも心の中は絶望的な感情が渦巻いて、もう殺して!って思うくらい苦しい困難な状況に置かれ悲しい思いをした。

彼女たちは苦労しながら大きくなってようやく人並みの生活を手に入れた。そして今は次期侯爵家の当主が決まっているハリーの恋人にまで成り上がるというを遂げた。

「こんなに臭いワキはそうそういないよね?」
「あ~~この臭さ。ハリーたまらないわ~~!」

彼女たちは人生の勝利条件を達成した。愛人という立場ではあるがお金に苦労せずに子供も産めて自由だし、普通に結婚する人より何倍も幸せだ。

平均並みの給料しかなければ自分がやりたいことも満足に出来ない。いつもお金で苦労して夫婦喧嘩をして頭を悩ませることもなく、とても幸福に満たされた笑顔で心の弾む日々を過ごせるだろう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

あなたが「消えてくれたらいいのに」と言ったから

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
「消えてくれたらいいのに」 結婚式を終えたばかりの新郎の呟きに妻となった王女は…… 短いお話です。 新郎→のち王女に視点を変えての数話予定。 4/16 一話目訂正しました。『一人娘』→『第一王女』

いくら時が戻っても

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
大切な書類を忘れ家に取りに帰ったセディク。 庭では妻フェリシアが友人二人とお茶会をしていた。 思ってもいなかった妻の言葉を聞いた時、セディクは――― 短編予定。 救いなし予定。 ひたすらムカつくかもしれません。 嫌いな方は避けてください。 ※この作品は小説家になろうさんでも公開しています。

婚約者は幼馴染みを選ぶようです。

香取鞠里
恋愛
婚約者のハクトには過去に怪我を負わせたことで体が不自由になってしまった幼馴染がいる。 結婚式が近づいたある日、ハクトはエリーに土下座して婚約破棄を申し出た。 ショックではあったが、ハクトの事情を聞いて婚約破棄を受け入れるエリー。 空元気で過ごす中、エリーはハクトの弟のジャックと出会う。 ジャックは遊び人として有名だったが、ハクトのことで親身に話を聞いて慰めてくれる。 ジャックと良い雰囲気になってきたところで、幼馴染みに騙されていたとハクトにエリーは復縁を迫られるが……。

【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね

江崎美彩
恋愛
 王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。  幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。 「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」  ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう…… 〜登場人物〜 ミンディ・ハーミング 元気が取り柄の伯爵令嬢。 幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。 ブライアン・ケイリー ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。 天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。 ベリンダ・ケイリー ブライアンの年子の妹。 ミンディとブライアンの良き理解者。 王太子殿下 婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。 『小説家になろう』にも投稿しています

諦めた令嬢と悩んでばかりの元婚約者

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
愛しい恋人ができた僕は、婚約者アリシアに一方的な婚約破棄を申し出る。 どんな態度をとられても仕方がないと覚悟していた。 だが、アリシアの態度は僕の想像もしていなかったものだった。 短編。全6話。 ※女性たちの心情描写はありません。 彼女たちはどう考えてこういう行動をしたんだろう? と、考えていただくようなお話になっております。 ※本作は、私の頭のストレッチ作品第一弾のため感想欄は開けておりません。 (投稿中は。最終話投稿後に開けることを考えております) ※1/14 完結しました。 感想欄を開けさせていただきます。 様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。 ただ、皆様に楽しんでいただける場であって欲しいと思いますので、 いただいた感想をを非承認とさせていただく場合がございます。 申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。 もちろん、私は全て読ませていただきます。

不倫した妹の頭がおかしすぎて家族で呆れる「夫のせいで彼に捨てられた」妹は断絶して子供は家族で育てることに

ぱんだ
恋愛
ネコのように愛らしい顔立ちの妹のアメリア令嬢が突然実家に帰って来た。 赤ちゃんのようにギャーギャー泣き叫んで夫のオリバーがひどいと主張するのです。 家族でなだめて話を聞いてみると妹の頭が徐々におかしいことに気がついてくる。 アメリアとオリバーは幼馴染で1年前に結婚をして子供のミアという女の子がいます。 不倫していたアメリアとオリバーの離婚は決定したが、その子供がどちらで引き取るのか揉めたらしい。 不倫相手は夫の弟のフレディだと告白された時は家族で平常心を失って天国に行きそうになる。 夫のオリバーも不倫相手の弟フレディもミアは自分の子供だと全力で主張します。 そして検査した結果はオリバーの子供でもフレディのどちらの子供でもなかった。

彼を追いかける事に疲れたので、諦める事にしました

Karamimi
恋愛
貴族学院2年、伯爵令嬢のアンリには、大好きな人がいる。それは1学年上の侯爵令息、エディソン様だ。そんな彼に振り向いて欲しくて、必死に努力してきたけれど、一向に振り向いてくれない。 どれどころか、最近では迷惑そうにあしらわれる始末。さらに同じ侯爵令嬢、ネリア様との婚約も、近々結ぶとの噂も… これはもうダメね、ここらが潮時なのかもしれない… そんな思いから彼を諦める事を決意したのだが… 5万文字ちょっとの短めのお話で、テンポも早めです。 よろしくお願いしますm(__)m

【完結】公爵令嬢は、婚約破棄をあっさり受け入れる

櫻井みこと
恋愛
突然、婚約破棄を言い渡された。 彼は社交辞令を真に受けて、自分が愛されていて、そのために私が必死に努力をしているのだと勘違いしていたらしい。 だから泣いて縋ると思っていたらしいですが、それはあり得ません。 私が王妃になるのは確定。その相手がたまたま、あなただった。それだけです。 またまた軽率に短編。 一話…マリエ視点 二話…婚約者視点 三話…子爵令嬢視点 四話…第二王子視点 五話…マリエ視点 六話…兄視点 ※全六話で完結しました。馬鹿すぎる王子にご注意ください。 スピンオフ始めました。 「追放された聖女が隣国の腹黒公爵を頼ったら、国がなくなってしまいました」連載中!

処理中です...