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第4話

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なぜ今まで口を閉じていたかというと、ヴィオラ令嬢も自分達が悪いと思ったからに他ならない。

そんな訳で殿下からレオナルド令息がお叱りを受けていてもひたすら耐えていた。

だが土下座はやり過ぎだと思い反射的に口を出してしまったのです。

「なんだヴィオラ僕のすることに文句をつけるのか?」
「あの、殿下…土下座は程度を超えていると思います」
「ヴィオラはこの男をかばうのか?」
「そのようなことはありません」
「それならなぜ止める?」
「誠実に詫びていますから…許してあげたらと…」
「ダメだ!」
「そこを何とか…」
「今日は結婚の発表もあるのに、その間僕に不快な思いのままで過ごせと言うのか?」
「違います。殿下落ち着いてください」
「僕は至って冷静だ。落ち着きを失っているのはヴィオラのほうだろう?」

アンドレ殿下は怒ってはいましたが冷静さは保っている。確かに今この場で焦っているのはヴィオラ令嬢の方で想い人をどうにか助けようと気持ちが揺れていた。

「ヴィオラは僕よりも元恋人のこの男の方が大事なんだろう?正直に答えろ」
「……」
「黙っているということはやはりそういうことだな」

あなたのような醜い豚とは比べるまでもない!本当は大嫌いで結婚もしたくない!そう思っていました。

ただそれを言えば火に油を注ぐ結果になり、この状況がより一層悪くなるだけだとヴィオラ令嬢は理解している。だから沈黙を貫いた。

「それにヴィオラもこの男と同罪で僕に口答えできる立場でないのを心得るべきだ」
「殿下すみません」
「ヴィオラわかればいい」

ヴィオラ令嬢は謝罪してアンドレ殿下を今以上に怒らせない選択をするしかなかった。
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