「今日から妹も一緒に住む」幼馴染と結婚したら彼の妹もついてきた。妹を溺愛して二人の生活はすれ違い離婚へ。

佐藤 美奈

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第8話

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「クロエ様どうか離婚だけは待っていただけませんか」
「ミカエルを許してやってくださいませ」

これまで黙ってじっと聞いていたミカエルの父が話し出す。父としては、いかに不肖の息子でも見捨てるわけにもいかない。

続けて隣にいる夫人もクロエに切ない眼差しを向けて、ミカエルの罪を許してほしいと頼んでくる。クロエは一生懸命に謝る両親が気の毒に思えてきた。

「ミカエルに最後のチャンスを与えてください」

父は頭脳を働かせて全力でクロエに離婚されないように、妥協案を考えていた。そして何とか打開策を思いついたのだった。

「どうするの?」
「私のほうで一度ミカエルを預かって再教育いたします」
「別居ということね」
「そうでございます」

険しい顔でクロエが尋ねると、父はしばらくの間、実家に連れて帰り息子を更生させたいと言う。今この場でミカエルに長々と熱弁をふるい説教をきかせても効果はないだろうと考えて決めたのだ。

すでにクロエは離れで暮らしているので、別居を選択していると言っても過言ではない。だが父の真剣な表情から、息子の根性を叩き直すというやる気を感じたのだった。

「わかりました。でも期限付きです」
「それなら一ヶ月いただけませんか?その間に息子の至らない点を必ず改善いたします」
「いいでしょう。でもひと月で変わらないようなら離婚します」
「クロエ様ありがとうございます」

クロエは相手の要求通りに受け入れました。完全に失っていたと思っていましたが、まだミカエルに対して愛情が残っていたようです。

両親は涙をあふれさせて、一片の慈悲を与えていただいたことに、感謝の言葉もございませんと言い、息子のミカエルと娘のローラを連れて退出する。両親は最後まで頭をたれていた。

ミカエルは、もうすっかり衰弱してしまって出て行くときは、何も言わずによろよろと歩いて頭を柱にぶつけていたがとくに反応はなく、顔からは感情が抜け落ちているようだった。

ローラは、うつむいたままずっと顔を上げることはなかった。ところが帰る時になると不意に顔を上げて、クロエのことを見つめていた。その目には自分がなぜこのような悲運に見舞われているかという思いを感じる。


「クロエ様さぞお疲れでしょうから、休息なさいますか?」
「大丈夫よ」

ようやく一段落がつくと、クロエは落ち着く気持ちに傾く。ソファに腰かけて天井見上げてほっとする思いを味わう。

マリアンヌもすぐ傍にいる。クロエが精神的に疲れているように見えるので、休むように穏やかな笑顔を浮かべて言うと、クロエはこれしきのことで疲労するやわな身体ではありませんと微笑み返すのだった。
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