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第7話
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「ローラと一緒にいる時間を少し減らすから許してほしい」
「ふざけないで!離婚はミカエルから言い出したんだし、それで丸く収まるでしょ?この家から出てローラと二人で好きなように生きてください」
この重大な危機に及んで、まだローラと過ごす時間を少なくすると反省の色が感じられないことを口にする。クロエはまったく呆れたという表情で言い返すが、その声は幾らか怒りに震えている。
「何で離婚なんだよ」
ところがその時、ミカエルは急に目を見開いて夢から覚めたような顔で言うのです。なぜ突然にそんなことを言いだすのか、まるで訳がわからなかった。
「離婚はミカエルが言い出したことでしょう?ローラを受け入れてくれないなら離婚だって何度も聞かされるたびに、私は心の中で涙を流していました。忘れたとは言わせません」
「離婚と言えばローラと一緒に住むことを許してくれると思ったからだ。僕の正直な気持ちは離婚なんてしたくない」
クロエが別れを選択した理由を説明するが、ミカエルは離婚は半ば冗談のつもりで言ったらしい。離婚をちらつかせることで、ローラと暮らすのをクロエに認めさせるためだった。
そしてミカエルは妹のローラと同じ屋根の下で暮らすだけで、離婚するなど断じて許容できないと主張するのです。
「ふざけないで!私はもう離婚を決断しています」
だがそんな言い訳はクロエに通用しない。脅しで離婚と言うなど悪ふざけはいささか度を過ぎている。クロエの中に少量残っていたミカエルへのやわらかな愛情がどす黒い憎悪に変わっていく。
「クロエ僕達は本当に愛し合って結婚したよね?だから別れるなんて即決で判断するべきじゃない」
お互い好き同士で結婚した相手と、そんなに簡単に別れるのは良くないからもう一度考えてほしいと、ミカエルは妙なことを抜かし始めた。
「ミカエル往生際の悪い台詞を吐かないで……もう無理なの」
戻ってやり直すというミカエルの願いをクロエは聞き入れることはできなかった。今さらミカエルはこんな発言するのか?とクロエは不思議そうに小首をかしげる。
もう苦しい言い逃れが許されるような空気ではない。そのことはミカエルも分かっているが、みっともなく恥ずかしい無様な姿を晒してもクロエと離婚したくないので、最後の悪あがきを行う事にした。
「クロエ許してくれーー!」
ミカエルは異様な叫び声を出し、体をよじらせ芋虫のような動きで床を脂汗を流しながらのたうち回り、苦痛の悲鳴を上げながら転がり続ける。
それはむさ苦しさを感じるほどの悲惨な光景だった。クロエは呆然と立ちつくしたまま、ミカエルをゴミを見るように眺めながら、この男と結婚した自分が情けなく思えてきたのだった。
「ふざけないで!離婚はミカエルから言い出したんだし、それで丸く収まるでしょ?この家から出てローラと二人で好きなように生きてください」
この重大な危機に及んで、まだローラと過ごす時間を少なくすると反省の色が感じられないことを口にする。クロエはまったく呆れたという表情で言い返すが、その声は幾らか怒りに震えている。
「何で離婚なんだよ」
ところがその時、ミカエルは急に目を見開いて夢から覚めたような顔で言うのです。なぜ突然にそんなことを言いだすのか、まるで訳がわからなかった。
「離婚はミカエルが言い出したことでしょう?ローラを受け入れてくれないなら離婚だって何度も聞かされるたびに、私は心の中で涙を流していました。忘れたとは言わせません」
「離婚と言えばローラと一緒に住むことを許してくれると思ったからだ。僕の正直な気持ちは離婚なんてしたくない」
クロエが別れを選択した理由を説明するが、ミカエルは離婚は半ば冗談のつもりで言ったらしい。離婚をちらつかせることで、ローラと暮らすのをクロエに認めさせるためだった。
そしてミカエルは妹のローラと同じ屋根の下で暮らすだけで、離婚するなど断じて許容できないと主張するのです。
「ふざけないで!私はもう離婚を決断しています」
だがそんな言い訳はクロエに通用しない。脅しで離婚と言うなど悪ふざけはいささか度を過ぎている。クロエの中に少量残っていたミカエルへのやわらかな愛情がどす黒い憎悪に変わっていく。
「クロエ僕達は本当に愛し合って結婚したよね?だから別れるなんて即決で判断するべきじゃない」
お互い好き同士で結婚した相手と、そんなに簡単に別れるのは良くないからもう一度考えてほしいと、ミカエルは妙なことを抜かし始めた。
「ミカエル往生際の悪い台詞を吐かないで……もう無理なの」
戻ってやり直すというミカエルの願いをクロエは聞き入れることはできなかった。今さらミカエルはこんな発言するのか?とクロエは不思議そうに小首をかしげる。
もう苦しい言い逃れが許されるような空気ではない。そのことはミカエルも分かっているが、みっともなく恥ずかしい無様な姿を晒してもクロエと離婚したくないので、最後の悪あがきを行う事にした。
「クロエ許してくれーー!」
ミカエルは異様な叫び声を出し、体をよじらせ芋虫のような動きで床を脂汗を流しながらのたうち回り、苦痛の悲鳴を上げながら転がり続ける。
それはむさ苦しさを感じるほどの悲惨な光景だった。クロエは呆然と立ちつくしたまま、ミカエルをゴミを見るように眺めながら、この男と結婚した自分が情けなく思えてきたのだった。
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