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第2話 甘やかされた育ち
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ジェラルドに確認すると、エドガー様はすでに到着しており、庭の温室へ案内されたという。私は執務室を出て、長い廊下を歩いた。公爵家の屋敷は無駄に広い。壁には歴代当主の肖像画が並び、床にはふかふかの絨毯が敷かれている。これらすべてを維持するための修繕費がどれほどか、壁の向こうの先祖たちは知る由もないだろう。
温室は、屋敷の東側にある。ガラス張りのその場所は、亡き母が愛した場所だった。珍しい南国の花々や、むせ返るような香りの良いハーブが育てられている。温室に近づくにつれ、湿度が高くなるのを感じた。扉に手をかけようとしたとき、中から話し声が聞こえた。
「――ねえ、エドガー様ぁ。本当にいいの?」
甘ったるい、質の悪い砂糖菓子を煮詰めたような声。ローザだ。私の眉間に、条件反射でシワが寄る。パブロフの犬ならぬ、パブロフの財務官だ。彼女の声を聞くだけで出費を連想してしまう。
また何かおねだりをしているのだろうか。エドガー様は優しいから、断りきれずに困っているのかもしれない。早く助けに入らなければ。そう思って、ドアノブを回そうとした手が、次の言葉で凍りついた。
「いいんだよ、ローザ。君の方が可愛くて、その髪飾りは似合う」
それは、エドガー様の声だった。いつも私に向けてくれる穏やかで優しい声。けれど、そのトーンには、私には向けられたことのない粘着質な熱が含まれていた。男が女に向ける欲情の響き。
「えへへ、嬉しい! お姉様には内緒ね?」
「ああ。セリーヌに見せたら、また『無駄遣いです』ってお説教が始まるからね」
「やだぁ、お姉様ったら相変わらず堅物なんだから。……でも、エドガー様も大変ね。あんな可愛げのない人が婚約者だなんて」
心臓が、ドクリと嫌な音を立てた。血液が逆流するような感覚。胃の腑に冷たい鉛が落ちたような重み。私は息を潜め、ガラスの隙間から中を覗き込んだ。
温室の中、満開の白い百合のそばに二人はいた。エドガー様がベンチに座り、その隣にローザがぴったりと身を寄せている。距離が近すぎる。社交界の常識(プロトコル)で測るならば、それは不貞の領域に両足を突っ込んでいる距離だった。
ローザの明るい栗色の髪には、見覚えのない真珠の髪飾りが輝いている。あれは確か、先日のオークションで高値がついた品だ。開始価格だけで金貨五十枚。エドガー様の伯爵家の財政状況を考えれば、かなり無理をした買い物のはずだ。……待って。エドガー様の家は、先月の鉱山事業の失敗で資金繰りが悪化していたはずでは?
「仕方ないよ。セリーヌは……なんていうか、女性というより『事務官』みたいだからね」
エドガー様が、ローザの肩に手を回しながら言った。事務官。その言葉が、鋭利なナイフのように胸に突き刺さる。いや、ナイフならまだいい。これは遅効性の毒だ。
「会えば仕事の話、金の話、領地の話。僕が新しい服を着て行っても気づかないくせに、帳簿の数字が一桁違うことには瞬時に気づくんだ」
「あはは! さすがお姉様! 数字とお友達!」
「全くだよ。君みたいに、純粋で、可愛らしくて、守ってあげたくなるような女の子とは正反対だ」
エドガー様の手が、ローザの頬を撫でる。ローザは猫のように目を細め、彼の胸に顔を埋めた。
「私、エドガー様のこと大好き。お姉様になんか渡したくない」
「僕もだよ、ローザ。……もう少しだけ我慢してくれ。父上の遺言状の件が片付けば、正式に君を迎えられるはずだ」
「本当? 約束よ?」
「ああ、約束する。愛しているよ、僕の天使」
二人の唇が重なる。背景には美しい百合の花。絵画のように美しい光景だった。もし、観客が私でなければ、拍手喝采を送っていたかもしれない。
私は、回しかけていたドアノブからそっと手を離した。音を立てないように、呼吸すら殺して。一歩、また一歩と後ずさりする。足音を消すことには慣れている。この家で生き抜くために、気配を消す技術は必須だったから。
廊下の角を曲がったところで、ようやく私は壁に背中を預け、大きく息を吐き出した。過呼吸になりそうな肺を、無理やり落ち着かせる。
「…………」
涙は出なかったが、胸の奥で何かが砕け散る音はした。ガラガラと崩れ落ちていく。信頼とか、愛情とか、淡い期待とか、そういった不確定な要素の残骸たち。痛いか? と問われれば痛い。内臓を雑巾絞りにされたような不快感があって吐き気もする。けれど、それ以上に私の頭を占めたのは、冷徹なまでの損益計算だった。
――エドガー様への投資、回収不能(デフォルト)。
――資産価値、ゼロどころかマイナス。
脳内の帳簿が、激しくページをめくる音を立てる。彼との婚約期間は三年。その間に我が家がオルレアン伯爵家に融通した資金。利子なしの貸付。彼のために整えた社交の場。根回しに使った交際費。
私が彼のために費やした時間的コスト(時給換算すれば莫大な額になる)。そして、ローザの頭にある真珠の髪飾り。あれの原資はどこから出た? エドガー様が私から借りた金ではないのか?
「……馬鹿みたい」
私は自分の手を見た。インクで汚れた指先。書類仕事でささくれた爪。エドガー様は言った。「事務官みたいだ」と。ええ、そうね。その通りだわ。否定する要素が一つもない。私が事務官のように働いて稼いだ金で、あなたは天使と遊んでいたわけだ。私の労働が、あなたたちの情事のスポンサーだったというわけね。
怒りが、温度を持って湧き上がってくる。それは悲しみという湿っぽいものではなく、業火のような憤怒だった。だが、私はそれを表情には出さない。出す価値もない。ここで乗り込んで修羅場を演じる?
「どうして!」と泣き叫んで、ヒロインぶってみる? いいえ、それは三流の女のやることだ。感情に任せて喚き散らしたところで、得られるものは一時のカタルシスだけ。失うものは家の体面と私のプライド、そして今後の交渉における優位性だ。あまりにも、投資対効果が悪い。
私は目を閉じて、深呼吸を一度、二度。冷たい空気を肺に満たし、脳への酸素供給を安定させる。システム再起動(リブート)。感情制御(エモーション・コントロール)のスイッチを切り替え、論理駆動(ロジカル・ドライブ)モードへ。
「さて」
私は目を開けた。そこにあるのは、もう裏切られた哀れな令嬢の瞳ではない。不正会計を見逃さない冷徹な監査官の瞳だ。
「損害賠償請求の準備を始めましょうか」
呟きは、廊下の静寂に吸い込まれた。エドガー様、ローザ。あなたたちは大きな計算違いをしている。セリーヌ・フォンテーヌは、ただの堅物ではない。一度噛み付いたら、骨の髄までしゃぶり尽くしてでも貸しを回収する、執念深い事務官なのだと思い知らせてやる。
温室は、屋敷の東側にある。ガラス張りのその場所は、亡き母が愛した場所だった。珍しい南国の花々や、むせ返るような香りの良いハーブが育てられている。温室に近づくにつれ、湿度が高くなるのを感じた。扉に手をかけようとしたとき、中から話し声が聞こえた。
「――ねえ、エドガー様ぁ。本当にいいの?」
甘ったるい、質の悪い砂糖菓子を煮詰めたような声。ローザだ。私の眉間に、条件反射でシワが寄る。パブロフの犬ならぬ、パブロフの財務官だ。彼女の声を聞くだけで出費を連想してしまう。
また何かおねだりをしているのだろうか。エドガー様は優しいから、断りきれずに困っているのかもしれない。早く助けに入らなければ。そう思って、ドアノブを回そうとした手が、次の言葉で凍りついた。
「いいんだよ、ローザ。君の方が可愛くて、その髪飾りは似合う」
それは、エドガー様の声だった。いつも私に向けてくれる穏やかで優しい声。けれど、そのトーンには、私には向けられたことのない粘着質な熱が含まれていた。男が女に向ける欲情の響き。
「えへへ、嬉しい! お姉様には内緒ね?」
「ああ。セリーヌに見せたら、また『無駄遣いです』ってお説教が始まるからね」
「やだぁ、お姉様ったら相変わらず堅物なんだから。……でも、エドガー様も大変ね。あんな可愛げのない人が婚約者だなんて」
心臓が、ドクリと嫌な音を立てた。血液が逆流するような感覚。胃の腑に冷たい鉛が落ちたような重み。私は息を潜め、ガラスの隙間から中を覗き込んだ。
温室の中、満開の白い百合のそばに二人はいた。エドガー様がベンチに座り、その隣にローザがぴったりと身を寄せている。距離が近すぎる。社交界の常識(プロトコル)で測るならば、それは不貞の領域に両足を突っ込んでいる距離だった。
ローザの明るい栗色の髪には、見覚えのない真珠の髪飾りが輝いている。あれは確か、先日のオークションで高値がついた品だ。開始価格だけで金貨五十枚。エドガー様の伯爵家の財政状況を考えれば、かなり無理をした買い物のはずだ。……待って。エドガー様の家は、先月の鉱山事業の失敗で資金繰りが悪化していたはずでは?
「仕方ないよ。セリーヌは……なんていうか、女性というより『事務官』みたいだからね」
エドガー様が、ローザの肩に手を回しながら言った。事務官。その言葉が、鋭利なナイフのように胸に突き刺さる。いや、ナイフならまだいい。これは遅効性の毒だ。
「会えば仕事の話、金の話、領地の話。僕が新しい服を着て行っても気づかないくせに、帳簿の数字が一桁違うことには瞬時に気づくんだ」
「あはは! さすがお姉様! 数字とお友達!」
「全くだよ。君みたいに、純粋で、可愛らしくて、守ってあげたくなるような女の子とは正反対だ」
エドガー様の手が、ローザの頬を撫でる。ローザは猫のように目を細め、彼の胸に顔を埋めた。
「私、エドガー様のこと大好き。お姉様になんか渡したくない」
「僕もだよ、ローザ。……もう少しだけ我慢してくれ。父上の遺言状の件が片付けば、正式に君を迎えられるはずだ」
「本当? 約束よ?」
「ああ、約束する。愛しているよ、僕の天使」
二人の唇が重なる。背景には美しい百合の花。絵画のように美しい光景だった。もし、観客が私でなければ、拍手喝采を送っていたかもしれない。
私は、回しかけていたドアノブからそっと手を離した。音を立てないように、呼吸すら殺して。一歩、また一歩と後ずさりする。足音を消すことには慣れている。この家で生き抜くために、気配を消す技術は必須だったから。
廊下の角を曲がったところで、ようやく私は壁に背中を預け、大きく息を吐き出した。過呼吸になりそうな肺を、無理やり落ち着かせる。
「…………」
涙は出なかったが、胸の奥で何かが砕け散る音はした。ガラガラと崩れ落ちていく。信頼とか、愛情とか、淡い期待とか、そういった不確定な要素の残骸たち。痛いか? と問われれば痛い。内臓を雑巾絞りにされたような不快感があって吐き気もする。けれど、それ以上に私の頭を占めたのは、冷徹なまでの損益計算だった。
――エドガー様への投資、回収不能(デフォルト)。
――資産価値、ゼロどころかマイナス。
脳内の帳簿が、激しくページをめくる音を立てる。彼との婚約期間は三年。その間に我が家がオルレアン伯爵家に融通した資金。利子なしの貸付。彼のために整えた社交の場。根回しに使った交際費。
私が彼のために費やした時間的コスト(時給換算すれば莫大な額になる)。そして、ローザの頭にある真珠の髪飾り。あれの原資はどこから出た? エドガー様が私から借りた金ではないのか?
「……馬鹿みたい」
私は自分の手を見た。インクで汚れた指先。書類仕事でささくれた爪。エドガー様は言った。「事務官みたいだ」と。ええ、そうね。その通りだわ。否定する要素が一つもない。私が事務官のように働いて稼いだ金で、あなたは天使と遊んでいたわけだ。私の労働が、あなたたちの情事のスポンサーだったというわけね。
怒りが、温度を持って湧き上がってくる。それは悲しみという湿っぽいものではなく、業火のような憤怒だった。だが、私はそれを表情には出さない。出す価値もない。ここで乗り込んで修羅場を演じる?
「どうして!」と泣き叫んで、ヒロインぶってみる? いいえ、それは三流の女のやることだ。感情に任せて喚き散らしたところで、得られるものは一時のカタルシスだけ。失うものは家の体面と私のプライド、そして今後の交渉における優位性だ。あまりにも、投資対効果が悪い。
私は目を閉じて、深呼吸を一度、二度。冷たい空気を肺に満たし、脳への酸素供給を安定させる。システム再起動(リブート)。感情制御(エモーション・コントロール)のスイッチを切り替え、論理駆動(ロジカル・ドライブ)モードへ。
「さて」
私は目を開けた。そこにあるのは、もう裏切られた哀れな令嬢の瞳ではない。不正会計を見逃さない冷徹な監査官の瞳だ。
「損害賠償請求の準備を始めましょうか」
呟きは、廊下の静寂に吸い込まれた。エドガー様、ローザ。あなたたちは大きな計算違いをしている。セリーヌ・フォンテーヌは、ただの堅物ではない。一度噛み付いたら、骨の髄までしゃぶり尽くしてでも貸しを回収する、執念深い事務官なのだと思い知らせてやる。
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