1 / 19
第1話
しおりを挟む
「エレン助けてくれ!」
「殿下?」
元婚約者のアルベルト王子と婚約破棄から三年。エレンはようやく心の整理ができて、気持ちが落ち着いてきたある日。
婚約していたアルベルトが何の前触れもなく家に来て、頼る所がエレンしかいないって泣きついてきた。理由を聞いたら呆れて叩き出してやりました。
彼と付き合っている時には、ご両親様の国王様と王妃様には何かとお世話になったので、エレンは恩を仇で返したような申し訳ない気持ちになる。
「まだエレンと一緒にいたいけど、この後に予定があるんだ」
「それなら仕方ないですね……またお料理ですか?」
「まあな。この頃は料理を作るのが楽しくて夢中になってるよ」
「良いご趣味が見つかって喜ばしいですね」
「そうだな。今度僕の作った料理でエレンをもてなすから期待していてくれ」
「殿下のお料理を楽しみにしています」
アルベルトが、お料理教室に通い始めてから、エレンと会えない時間が多くなる。最初に彼から料理を作ることにハマっていると聞かされた時は、頭から脳が抜け落ちるような衝撃を受けた。まさか王子が料理なんて……。
デートの時も落ち着かない様子で、いつも急いで帰ってしまう。アルベルトの性格は良く言えば純粋、悪く言えば常識知らずで嘘がつけない人。
なのでエレンは彼の嘘が手に取るように分かる。エレンが厳しい目つきで問い詰めたらあっさり白状しました。
「エレンすまない。僕は少し前から好きな人ができた。だからエレンとは別れたいと思っている」
「わかりました。それでは正直に話してください。相手はどなたですか?」
「僕の大切な幼馴染のクローディアだ」
「え……!?本当ですか?」
相手の女性の名前を聞いた瞬間に、エレンは眼球が飛び出そうなくらい心がさわぐ。どうしてかと言うとクローディアはアルベルトが通っている料理教室の美人講師としても有名で、同時に彼の幼馴染。
それよりも一番問題なのは、クローディアは結婚している。ずっと以前に男女の関係にもなっていると、彼は罪の意識を感じている顔で打ち明ける。
クローディアは男爵家の次女として生まれ、伯爵家の当主に嫁いで現在は伯爵夫人。料理教室はクローディアの趣味で始めた。
当然ながら通っているのはほとんどが女性で、男性はアルベルトと数人。貴族に仕えている料理人から、裕福な商人の娘に貴族の令嬢まで幅広く通っている。身分が高い人達でも料理を作る楽しみに酔いしれて評判が良い教室でした。
「殿下?」
元婚約者のアルベルト王子と婚約破棄から三年。エレンはようやく心の整理ができて、気持ちが落ち着いてきたある日。
婚約していたアルベルトが何の前触れもなく家に来て、頼る所がエレンしかいないって泣きついてきた。理由を聞いたら呆れて叩き出してやりました。
彼と付き合っている時には、ご両親様の国王様と王妃様には何かとお世話になったので、エレンは恩を仇で返したような申し訳ない気持ちになる。
「まだエレンと一緒にいたいけど、この後に予定があるんだ」
「それなら仕方ないですね……またお料理ですか?」
「まあな。この頃は料理を作るのが楽しくて夢中になってるよ」
「良いご趣味が見つかって喜ばしいですね」
「そうだな。今度僕の作った料理でエレンをもてなすから期待していてくれ」
「殿下のお料理を楽しみにしています」
アルベルトが、お料理教室に通い始めてから、エレンと会えない時間が多くなる。最初に彼から料理を作ることにハマっていると聞かされた時は、頭から脳が抜け落ちるような衝撃を受けた。まさか王子が料理なんて……。
デートの時も落ち着かない様子で、いつも急いで帰ってしまう。アルベルトの性格は良く言えば純粋、悪く言えば常識知らずで嘘がつけない人。
なのでエレンは彼の嘘が手に取るように分かる。エレンが厳しい目つきで問い詰めたらあっさり白状しました。
「エレンすまない。僕は少し前から好きな人ができた。だからエレンとは別れたいと思っている」
「わかりました。それでは正直に話してください。相手はどなたですか?」
「僕の大切な幼馴染のクローディアだ」
「え……!?本当ですか?」
相手の女性の名前を聞いた瞬間に、エレンは眼球が飛び出そうなくらい心がさわぐ。どうしてかと言うとクローディアはアルベルトが通っている料理教室の美人講師としても有名で、同時に彼の幼馴染。
それよりも一番問題なのは、クローディアは結婚している。ずっと以前に男女の関係にもなっていると、彼は罪の意識を感じている顔で打ち明ける。
クローディアは男爵家の次女として生まれ、伯爵家の当主に嫁いで現在は伯爵夫人。料理教室はクローディアの趣味で始めた。
当然ながら通っているのはほとんどが女性で、男性はアルベルトと数人。貴族に仕えている料理人から、裕福な商人の娘に貴族の令嬢まで幅広く通っている。身分が高い人達でも料理を作る楽しみに酔いしれて評判が良い教室でした。
23
あなたにおすすめの小説
遊び人の令嬢が目を付けたのは、私の真面目な婚約者でした
おいどん
恋愛
子爵家の令嬢エリーネと伯爵家の次男のノルトが婚約を結んだのは、半年前だった。
真面目で優秀なノルトに相応しい婚約者であろうとするものの、エリーネには自信がなかった。
ある日、遊び人と噂の令嬢べルティーナとノルトが共にいるところを見てしまう。
「真面目クンは壁さえ破っちゃえばこっちのもんだからね〜」
「きっと、彼女の美しさに嫉妬しているのだわ…」
「…今度は、ちゃんと言葉にするから」
冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
【完結】精神的に弱い幼馴染を優先する婚約者を捨てたら、彼の兄と結婚することになりました
当麻リコ
恋愛
侯爵令嬢アメリアの婚約者であるミュスカーは、幼馴染みであるリリィばかりを優先する。
リリィは繊細だから僕が支えてあげないといけないのだと、誇らしそうに。
結婚を間近に控え、アメリアは不安だった。
指輪選びや衣装決めにはじまり、結婚に関する大事な話し合いの全てにおいて、ミュスカーはリリィの呼び出しに応じて行ってしまう。
そんな彼を見続けて、とうとうアメリアは彼との結婚生活を諦めた。
けれど正式に婚約の解消を求めてミュスカーの父親に相談すると、少し時間をくれと言って保留にされてしまう。
仕方なく保留を承知した一ヵ月後、国外視察で家を空けていたミュスカーの兄、アーロンが帰ってきてアメリアにこう告げた。
「必ず幸せにすると約束する。どうか俺と結婚して欲しい」
ずっと好きで、けれど他に好きな女性がいるからと諦めていたアーロンからの告白に、アメリアは戸惑いながらも頷くことしか出来なかった。
【完結】幼い頃から婚約を誓っていた伯爵に婚約破棄されましたが、数年後に驚くべき事実が発覚したので会いに行こうと思います
菊池 快晴
恋愛
令嬢メアリーは、幼い頃から将来を誓い合ったゼイン伯爵に婚約破棄される。
その隣には見知らぬ女性が立っていた。
二人は傍から見ても仲睦まじいカップルだった。
両家の挨拶を終えて、幸せな結婚前パーティで、その出来事は起こった。
メアリーは彼との出会いを思い返しながら打ちひしがれる。
数年後、心の傷がようやく癒えた頃、メアリーの前に、謎の女性が現れる。
彼女の口から発せられた言葉は、ゼインのとんでもない事実だった――。
※ハッピーエンド&純愛
他サイトでも掲載しております。
【完結】婚約者と養い親に不要といわれたので、幼馴染の側近と国を出ます
衿乃 光希(キャラ文芸大賞短編で参加中)
恋愛
卒業パーティーの最中、婚約者から突然婚約破棄を告げられたシェリーヌ。
婚約者の心を留めておけないような娘はいらないと、養父からも不要と言われる。
シェリーヌは16年過ごした国を出る。
生まれた時からの側近アランと一緒に・・・。
第18回恋愛小説大賞エントリーしましたので、第2部を執筆中です。
第2部祖国から手紙が届き、養父の体調がすぐれないことを知らされる。迷いながらも一時戻ってきたシェリーヌ。見舞った翌日、養父は天に召された。葬儀後、貴族の死去が相次いでいるという不穏な噂を耳にする。恋愛小説大賞は51位で終了しました。皆さま、投票ありがとうございました。
ジェリー・ベケットは愛を信じられない
砂臥 環
恋愛
ベケット子爵家の娘ジェリーは、父が再婚してから離れに追いやられた。
母をとても愛し大切にしていた父の裏切りを知り、ジェリーは愛を信じられなくなっていた。
それを察し、まだ子供ながらに『君を守る』と誓い、『信じてほしい』と様々な努力してくれた婚約者モーガンも、学園に入ると段々とジェリーを避けらるようになっていく。
しかも、義妹マドリンが入学すると彼女と仲良くするようになってしまった。
だが、一番辛い時に支え、努力してくれる彼を信じようと決めたジェリーは、なにも言えず、なにも聞けずにいた。
学園でジェリーは優秀だったが『氷の姫君』というふたつ名を付けられる程、他人と一線を引いており、誰にも悩みは吐露できなかった。
そんな時、仕事上のパートナーを探す男子生徒、ウォーレンと親しくなる。
※世界観はゆるゆる
※ざまぁはちょっぴり
※他サイトにも掲載
フッてくれてありがとう
nanahi
恋愛
「子どもができたんだ」
ある冬の25日、突然、彼が私に告げた。
「誰の」
私の短い問いにあなたは、しばらく無言だった。
でも私は知っている。
大学生時代の元カノだ。
「じゃあ。元気で」
彼からは謝罪の一言さえなかった。
下を向き、私はひたすら涙を流した。
それから二年後、私は偶然、元彼と再会する。
過去とは全く変わった私と出会って、元彼はふたたび──
【完結】あなただけがスペアではなくなったから~ある王太子の婚約破棄騒動の顛末~
春風由実
恋愛
「兄上がやらかした──」
その第二王子殿下のお言葉を聞いて、私はもう彼とは過ごせないことを悟りました。
これまで私たちは共にスペアとして学び、そして共にあり続ける未来を描いてきましたけれど。
それは今日で終わり。
彼だけがスペアではなくなってしまったから。
※短編です。完結まで作成済み。
※実験的に一話を短くまとめサクサクと気楽に読めるようにしてみました。逆に読みにくかったら申し訳ない。
※おまけの別視点話は普通の長さです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる