突然両親からお見合いして結婚しろと言われた令嬢は全力で拒否して、学園でイケメンに囲まれる青春生活を送る成功者に

第5話

「エラよく聞きなさい！私の知り合いにもあなたよりも数倍美しい顔立ちで気立てのよい方でも結婚できなくて苦悩している貴族の令嬢が大勢いるのです。それに比べたらエラは私に感謝して泣いて喜んでもいいくらいですよ」
「お母様にいくら説得されても年齢もあり得ないほど離れている見てくれが悪い豚みたいな人と結婚は断じて許容できません！」
「何を失礼なことを言っているのですか！ルイス伯爵はあなたの夫になる人ですよ！エラひょっとして王子様と結婚したいなどと夢みたいなことを思っているのかしら？」

確かに母フレイヤの言う通り出会いに恵まれなくて本当は結婚したいのにできなくて頭を抱えている女性は増加していると聞きます。

理想が高すぎたり結婚までの恋愛が長続きしなくて恋愛が面倒くさくなったり、また自分の自由な時間が無くなるので恋人のことを煩わしいとさえ思い一人でいる方が幸せだと感じる。

それに加えて結婚を選択しない女性を蔑視する男性からの心許ない態度もあるのでしょう。

エラ令嬢はフレイヤ夫人の言うことも分かりますが、とにかく今は学園に入学して自分の好きなことを見つけて全力で打ち込む時間を大事にしたいと考えを巡らす。

更に自分の両親の夫婦生活をこの目で見ていたら結婚に対して希望がないのが痛いほどに実感できて、逆に結婚しなくても独身で幸せな人生を送りたいと真面目に心の底から思っていた。

「もういいだろうフレイヤ。学費なら何とかするからエラとシエナは学園に通わせる」

いつもは母に支配されて言いなり状態の父ですが今回ばかりは違い気持ちを固めたような顔で告げる。

「あなた！そんなお金があるのなら私達に送るお金をもっと増やしてください！」
「何を言っているんだ！エラとシエナは勉強するために学園に行くんだぞ！お前達は今でも度を越した金を浪費してリッチな生活をしているじゃないか！母親としてほんの僅かでも二人に後ろめたさを感じて反省する気持ちはないのか？」
「あらあら、いつもと違って随分と滑らかな語り口ですこと…」
「エラとシエナは学園に行かせる。これだけは譲れない！」
「はぁ…」

父ヘンリーはこれまで三女のシエナ令嬢と四女のエラ令嬢に苦労させた責任が自分にあるかのような気持ちで申し訳なく思い力強く反論する。

今でも王都で金をあぶくのように使って超豪華な暮らしぶりなのにも関わらずまだ金の無心をするフレイヤ夫人に呆れ果て心が奮い立つ。

初めて見せるヘンリーの凄まじい顔色に母フレイヤは立ちすくむほど驚いた顔になり気落ちしたようなため息を漏らす。

結局のところ、エラ令嬢とシエナ令嬢は父のおかげでどうにか学園に通わせてもらうことが決められた。