妹に「あの男は危険」と注意するが、彼を溺愛する妹は結婚する「助けて!」嫁いだ妹から緊急の手紙が届いた。

佐藤 美奈

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第7話

「お父様臭い。近寄らないで」
「ローサひどいじゃないか……」

考えてみれば、娘とは短い言葉を交わす程度の仲だった。思春期の頃から次女のローサは、露骨に反抗的な態度を見せ始めて拒絶された。

逆に長女のクレアは多感な年頃でも変わりなく、父に対して思いやりに満ちた顔をのぞかせていた。ローサによって傷ついた心をクレアが癒してくれて、気持ちがほっこりしたことを思い出す。

「あなた実は……」

後で妻に聞かされて理由を知った時は、ショックで何も言えずに立っていた。どうやら自分でも気づかないうちに体臭が正常でなかった。体臭が鼻についてローサは避けていたらしい。

それでもクレアは嫌な顔ひとつ見せず、明るい笑顔を振りまいてくれていた。だけど本心では我慢していたのではないか?と思いを巡らせて父は苦しみを味わう。

「自分では気付かなくて、私は無自覚のまま娘に迷惑をかけていたのだな」
「あなた、そんなに気にしないで。もう少し大人になればローサちゃんも分かってくれます」

体臭は年齢的に仕方ありませんよ?娘も反抗期を迎えて微妙な心なのよ?深刻な顔で苦悩する夫の気持ちを汲み取った奥様は、慰め励ましてくれる。

何とも思いやりに満ちた妻ではないか。この女性と夫婦になって良かったと思いながら、しみじみとした愛情を感じたのです。

それからは加齢臭などの体臭に気を配り始め、急速に症状が改善した。娘との忘れられない悲しみの記憶である。だけど今はそんなことは関係なく、ローサを助けたい一心で父は闘争心を呼び起こした。


「はぁーっ、お姉様の言う通りでした」

狭い個室の中で横になって長くため息をついたローサは、下を向いてつぶやくように言うと自分の愚かさを痛感した。何の飾りもない殺風景な部屋で、公爵家の娘に提供するにしては無理がある。

顔色も悪く気の毒なほど弱りきった感じのローサは、嫁いで僅か数日後から義理の家族に雑な対応をとられ始めて、生活に疑問を抱くようになった。

「ローサ!」
「リチャードなに?」
「お母様に失礼なことをしたそうだな」

ある日の早朝から、何の前触れもなく起こる。後ろから名前を呼ばれて返事をすると、リチャードが不機嫌そうに口を尖らせていた。

どうしたのだろう?不安な胸騒ぎを感じながら思う。ローサの無礼な態度に義母が腹を立てていると言いますが、まるで心当たりがありません。

真っ青になって、今にも泣き出しそうな顔で逃げ出したい衝動に駆られるが、恐怖のためか唇も指先も微かに震えて動けなかった。

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