27 / 65
第27話
しおりを挟む
竜の暴風雨のような怒りにアランは、青い顔でブルブル震えて足に力が入らず下半身の力が抜けていく。まともに立っていることも出来なくて尻もちをついて倒れた。
「アランどうした……!?」
親友の異常なほどに怯える様子に、フレッドが思わず大声を出した。一体何が起こっているのか? どうしてアランはあんなにも弱々しい面持ちなのか?
「我の愛しきセリーヌ様をよくも! うおおおおおおおおっ!!」
「どうかお許しください……」
「貴様ら、ただではすまさぬ!」
「ひいぃぃーっ」
セリーヌを追放した愚かな者に鉄槌を下すべく、竜は威嚇するように唸り声を上げて口から火を噴いた。アランはどうか許してくれと懇願して、目に涙を一杯溜めて悲鳴じみた絶叫を上げる。
「ドラゴン様! 何か気分を害することを私たちはいたしましたでしょうか?」
察しがよくないフレッドは、まだ竜とセリーヌの関係が理解できていないので、とにかくこの場をおさめるために必死に叫んだ。
「黙れ! 貴様がセリーヌ様に不当な扱いをした張本人であろう?」
竜はセリーヌに無礼な態度の仕返しをしなければ、気がすまなかった。フレッドに向かってお前が原因かと問う。というのも竜はセリーヌとの会話での事を、フレッドという王子の名前を聞いて記憶が連鎖的によみがえってきた――
「今日は大事な話があるんです」
「やけに嬉しそうだな。何があったのだ?」
「実はこの国の王子のフレッド様と婚約しました」
「そ、そうなのか……!?」
ある日、いつもより明るい雰囲気のセリーヌから話があると言われて、竜も大好きな人が嬉しそうなので心が躍るような気持ちになる。だが次の瞬間に悲しみのどん底に突き落とされてしまう。
婚約を聞かされた竜は大きなショックを隠せなかった。数日間は水すら飲まなくて食事も喉を通らない状態が続いて、歯止めがきかなくなるほど涙を流した。
しかしセリーヌが喜んでいるなら、大歓声が上げて一緒にはしゃいで見せるべきではないか? と思い心に明るさを取り戻しました。
「我も婚約を応援しているからな。実にめでたいことだな」
「ドラゴンさん、ありがとう。少しの間、呼びかけても反応がなくて寂しかったです」
「すまぬ、大事な用事があったので話ができなかった」
「アランどうした……!?」
親友の異常なほどに怯える様子に、フレッドが思わず大声を出した。一体何が起こっているのか? どうしてアランはあんなにも弱々しい面持ちなのか?
「我の愛しきセリーヌ様をよくも! うおおおおおおおおっ!!」
「どうかお許しください……」
「貴様ら、ただではすまさぬ!」
「ひいぃぃーっ」
セリーヌを追放した愚かな者に鉄槌を下すべく、竜は威嚇するように唸り声を上げて口から火を噴いた。アランはどうか許してくれと懇願して、目に涙を一杯溜めて悲鳴じみた絶叫を上げる。
「ドラゴン様! 何か気分を害することを私たちはいたしましたでしょうか?」
察しがよくないフレッドは、まだ竜とセリーヌの関係が理解できていないので、とにかくこの場をおさめるために必死に叫んだ。
「黙れ! 貴様がセリーヌ様に不当な扱いをした張本人であろう?」
竜はセリーヌに無礼な態度の仕返しをしなければ、気がすまなかった。フレッドに向かってお前が原因かと問う。というのも竜はセリーヌとの会話での事を、フレッドという王子の名前を聞いて記憶が連鎖的によみがえってきた――
「今日は大事な話があるんです」
「やけに嬉しそうだな。何があったのだ?」
「実はこの国の王子のフレッド様と婚約しました」
「そ、そうなのか……!?」
ある日、いつもより明るい雰囲気のセリーヌから話があると言われて、竜も大好きな人が嬉しそうなので心が躍るような気持ちになる。だが次の瞬間に悲しみのどん底に突き落とされてしまう。
婚約を聞かされた竜は大きなショックを隠せなかった。数日間は水すら飲まなくて食事も喉を通らない状態が続いて、歯止めがきかなくなるほど涙を流した。
しかしセリーヌが喜んでいるなら、大歓声が上げて一緒にはしゃいで見せるべきではないか? と思い心に明るさを取り戻しました。
「我も婚約を応援しているからな。実にめでたいことだな」
「ドラゴンさん、ありがとう。少しの間、呼びかけても反応がなくて寂しかったです」
「すまぬ、大事な用事があったので話ができなかった」
58
あなたにおすすめの小説
婚約破棄で見限られたもの
志位斗 茂家波
恋愛
‥‥‥ミアス・フォン・レーラ侯爵令嬢は、パスタリアン王国の王子から婚約破棄を言い渡され、ありもしない冤罪を言われ、彼女は国外へ追放されてしまう。
すでにその国を見限っていた彼女は、これ幸いとばかりに別の国でやりたかったことを始めるのだが‥‥‥
よくある婚約破棄ざまぁもの?思い付きと勢いだけでなぜか出来上がってしまった。
婚約破棄はまだですか?─豊穣をもたらす伝説の公爵令嬢に転生したけど、王太子がなかなか婚約破棄してこない
nanahi
恋愛
火事のあと、私は王太子の婚約者:シンシア・ウォーレンに転生した。王国に豊穣をもたらすという伝説の黒髪黒眼の公爵令嬢だ。王太子は婚約者の私がいながら、男爵令嬢ケリーを愛していた。「王太子から婚約破棄されるパターンね」…私はつらい前世から解放された喜びから、破棄を進んで受け入れようと自由に振る舞っていた。ところが王太子はなかなか破棄を告げてこなくて…?
偽者に奪われた聖女の地位、なんとしても取り返さ……なくていっか! ~奪ってくれてありがとう。これから私は自由に生きます~
日之影ソラ
恋愛
【小説家になろうにて先行公開中!】
https://ncode.syosetu.com/n9071il/
異世界で村娘に転生したイリアスには、聖女の力が宿っていた。本来スローレン公爵家に生まれるはずの聖女が一般人から生まれた事実を隠すべく、八歳の頃にスローレン公爵家に養子として迎え入れられるイリアス。
貴族としての振る舞い方や作法、聖女の在り方をみっちり教育され、家の人間や王族から厳しい目で見られ大変な日々を送る。そんなある日、事件は起こった。
イリアスと見た目はそっくり、聖女の力?も使えるもう一人のイリアスが現れ、自分こそが本物のイリアスだと主張し、婚約者の王子ですら彼女の味方をする。
このままじゃ聖女の地位が奪われてしまう。何とかして取り戻そう……ん?
別にいっか!
聖女じゃないなら自由に生きさせてもらいますね!
重圧、パワハラから解放された聖女の第二の人生がスタートする!!
冤罪で婚約破棄したくせに……今さらもう遅いです。
水垣するめ
恋愛
主人公サラ・ゴーマン公爵令嬢は第一王子のマイケル・フェネルと婚約していた。
しかしある日突然、サラはマイケルから婚約破棄される。
マイケルの隣には男爵家のララがくっついていて、「サラに脅された!」とマイケルに訴えていた。
当然冤罪だった。
以前ララに対して「あまり婚約しているマイケルに近づくのはやめたほうがいい」と忠告したのを、ララは「脅された!」と改変していた。
証拠は無い。
しかしマイケルはララの言葉を信じた。
マイケルは学園でサラを罪人として晒しあげる。
そしてサラの言い分を聞かずに一方的に婚約破棄を宣言した。
もちろん、ララの言い分は全て嘘だったため、後に冤罪が発覚することになりマイケルは周囲から非難される……。
婚約破棄が私を笑顔にした
夜月翠雨
恋愛
「カトリーヌ・シャロン! 本日をもって婚約を破棄する!」
学園の教室で婚約者であるフランシスの滑稽な姿にカトリーヌは笑いをこらえるので必死だった。
そこに聖女であるアメリアがやってくる。
フランシスの瞳は彼女に釘付けだった。
彼女と出会ったことでカトリーヌの運命は大きく変わってしまう。
短編を小分けにして投稿しています。よろしくお願いします。
〖完結〗役立たずの聖女なので、あなた達を救うつもりはありません。
藍川みいな
恋愛
ある日私は、銀貨一枚でスコフィールド伯爵に買われた。母は私を、喜んで売り飛ばした。
伯爵は私を養子にし、仕えている公爵のご子息の治療をするように命じた。私には不思議な力があり、それは聖女の力だった。
セイバン公爵家のご子息であるオルガ様は、魔物に負わされた傷がもとでずっと寝たきり。
そんなオルガ様の傷の治療をしたことで、セイバン公爵に息子と結婚して欲しいと言われ、私は婚約者となったのだが……オルガ様は、他の令嬢に心を奪われ、婚約破棄をされてしまった。彼の傷は、完治していないのに……
婚約破棄をされた私は、役立たずだと言われ、スコフィールド伯爵に邸を追い出される。
そんな私を、必要だと言ってくれる方に出会い、聖女の力がどんどん強くなって行く。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
婚約破棄を求められました。私は嬉しいですが、貴方はそれでいいのですね?
ゆるり
恋愛
アリシエラは聖女であり、婚約者と結婚して王太子妃になる筈だった。しかし、ある少女の登場により、未来が狂いだす。婚約破棄を求める彼にアリシエラは答えた。「はい、喜んで」と。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる