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第28話
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「私の城が……何という事だ……!?」
フレッド王子は両手の指先がぶるぶると震えながら、自分の住居がことごとく破壊されていくのを唖然として見ている事しかできなかった。
親友で第三騎士団長のアランは、とっくに口から泡を吹いて倒れていた。竜を止めようとしたものの、あっけなく弾き飛ばされ地面に転がり落ちる。まだ生きてはいるようだが、このまま放置していたらいずれ息絶えるだろう。
「フレッド!」
「……ステファニー?」
その時ステファニーの声が聞こえた。フレッドは大声で呼ばれてひどく動揺してから、こちらに向かって走ってくるのがステファニーだとわかり安堵感から泣きだしたい気持ちになった。
城にいたステファニーは迫り来る竜に恐怖心を抱いて、城にいた大勢の人たちと城門まで一目散に逃げ出した。ふと見上げると、竜が城に突撃していて無残に打ち砕かれていた。さらに今は魔物の軍勢まで迫っているので、もうこの国は終わったと誰もが絶望的な気分になる。
ステファニーは竜に吹き飛ばされて悶絶していたアランを偶然に発見して、意識を取り戻したアランからフレッドの居場所を聞いてやってきた。
「これはどういうことですか?」
「えっと……」
「フレッドしっかりしてください!」
頭の回転が鈍いフレッドはステファニーに質問されても、実は状況がいまいち理解できていないのです。竜とセリーヌが仲が良いらしいという事は、アランの様子から何となくわかった。アランが怯えたようになって必死に竜に詫びていたことが頭に浮かんだ。
フレッドが少しぼんやりとしているので、ステファニーはしっかりしなさいと声をかけて、それでもまだ寝ぼけているような感じなので、気合を入れるため頬を数回パンパンとひっぱたく。
「いきなり何するんだ!痛いじゃないか」
「フレッドがぼーっとしてるからです」
「……ステファニーって本当に聖女なのか?」
フレッドは、ぶつぶつ文句を言うがステファニーは気にしない様子で言葉を返す。次の瞬間、フレッドは稲妻のように脳裏に閃いた。ステファニーが聖女なのか?と疑うようなことを口にした。
「私は正真正銘の聖女ですよ?」
「ならどうして国がこんなことになってる?」
「そんなこと言われても困ります!」
「私の体の傷だって完全に治ってないじゃないか?」
「だからそれは聖女の力が弱まって……」
「言い訳をするな!」
ステファニーがもし有能な聖女ならこんな状況になっていないはずである。少なくともセリーヌがいた時は国が崩壊するような危機は一度もありませんでした。
フレッドが絡みはじめてステファニーも思わずムッとして反発する。会話は熱を帯びて口論となり、しばらく二人の言い争いは止まらなかった。
フレッド王子は両手の指先がぶるぶると震えながら、自分の住居がことごとく破壊されていくのを唖然として見ている事しかできなかった。
親友で第三騎士団長のアランは、とっくに口から泡を吹いて倒れていた。竜を止めようとしたものの、あっけなく弾き飛ばされ地面に転がり落ちる。まだ生きてはいるようだが、このまま放置していたらいずれ息絶えるだろう。
「フレッド!」
「……ステファニー?」
その時ステファニーの声が聞こえた。フレッドは大声で呼ばれてひどく動揺してから、こちらに向かって走ってくるのがステファニーだとわかり安堵感から泣きだしたい気持ちになった。
城にいたステファニーは迫り来る竜に恐怖心を抱いて、城にいた大勢の人たちと城門まで一目散に逃げ出した。ふと見上げると、竜が城に突撃していて無残に打ち砕かれていた。さらに今は魔物の軍勢まで迫っているので、もうこの国は終わったと誰もが絶望的な気分になる。
ステファニーは竜に吹き飛ばされて悶絶していたアランを偶然に発見して、意識を取り戻したアランからフレッドの居場所を聞いてやってきた。
「これはどういうことですか?」
「えっと……」
「フレッドしっかりしてください!」
頭の回転が鈍いフレッドはステファニーに質問されても、実は状況がいまいち理解できていないのです。竜とセリーヌが仲が良いらしいという事は、アランの様子から何となくわかった。アランが怯えたようになって必死に竜に詫びていたことが頭に浮かんだ。
フレッドが少しぼんやりとしているので、ステファニーはしっかりしなさいと声をかけて、それでもまだ寝ぼけているような感じなので、気合を入れるため頬を数回パンパンとひっぱたく。
「いきなり何するんだ!痛いじゃないか」
「フレッドがぼーっとしてるからです」
「……ステファニーって本当に聖女なのか?」
フレッドは、ぶつぶつ文句を言うがステファニーは気にしない様子で言葉を返す。次の瞬間、フレッドは稲妻のように脳裏に閃いた。ステファニーが聖女なのか?と疑うようなことを口にした。
「私は正真正銘の聖女ですよ?」
「ならどうして国がこんなことになってる?」
「そんなこと言われても困ります!」
「私の体の傷だって完全に治ってないじゃないか?」
「だからそれは聖女の力が弱まって……」
「言い訳をするな!」
ステファニーがもし有能な聖女ならこんな状況になっていないはずである。少なくともセリーヌがいた時は国が崩壊するような危機は一度もありませんでした。
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