「犯人は追放!」無実の彼女は国に絶対に必要な能力者で“価値の高い女性”だった

佐藤 美奈

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第49話

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「私達の大切なセリーヌが、怪我でもしたら大変じゃないか?」
「もっと僕たちを頼ってくれ!」

フレッドとアランの二人は、不満そうな顔でしつこく食い下がってきた。

「お気遣い感謝いたします。ですが一人でも大丈夫ですので……」

お前たち二人は戦力不足で足手まといになるだけですよ? はっきりとそう言いたいが人情の厚いセリーヌは涙が出るほどありがたいと言い、自分だけで心配はないと丁重に断った。

「この分からず屋が! どうして私達の優しさがわからないんだ!」
「フレッド落ち着け。セリーヌも寂しいこというなよ」

とうとうフレッドが開き直って怒鳴り出した。アランはフレッドをなだめように口を開いた。昔からセリーヌは頑固なところがあるから勘弁してやってくれという感じで、フレッドの肩をぽんぽんと軽く叩いて言った。

「あの、言いにくいのですが……お二人はただので私と比べて弱すぎるのです」

この救いようもないほど頭の悪い二人には、結局はっきり言うしかない。セリーヌは単刀直入に思うことを話しはじめた。

崩壊したヴァレンティノ王国の元騎士団長のアランに向かって、弱くて力不足だと言い放った。気まずい状態になり喧嘩になっても仕方ないだろうけど、もう会うこともないだろうと考えて言えた。

「フレッドならともかく、俺が足手まといだと言いたいのか?」

ついてきてもかえって邪魔な存在だと言われたら、アランも明らかに機嫌の悪そうな様子で多少苛立たしげな声で尋ねた。

「はい」
「セリーヌが竜から力を与えられて強くなった事は知ってるけどさ……本当に俺より強いのか?」

まるで当たり前のことのように思ってセリーヌは平然といった。以前にアランは竜と話をしたことがあってセリーヌとの関係を聞いた。だが自分よりも強いと言われてもそうですかと容易に信じられるものではなかった。アランの中でのセリーヌは、か弱い女性にすぎないというイメージが頭の中を占めている。

「先ほど申し上げたとおりです」
「くっ、それならセリーヌ俺としようじゃないか!」

苦々しい思いが混ざりこんできたアランと比較して、セリーヌは涼しげな顔に微笑みさえ浮かべている。アランは勢いあまってとんでもないことを言い始めた。怒りに燃えた瞳で睨みつけて決闘を申しこんできた。

幼馴染の顔に挑戦的な色が浮かんでいてセリーヌは、やれやれといった感じで小さくため息をついて呆れた顔になっていた。
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