好きじゃない人と結婚した「愛がなくても幸せになれると知った」プロポーズは「君は家にいるだけで何もしなくてもいい」

第2話

穏やかな朝が訪れ、アイラは新たな生活の始まりを迎えた。公爵家での結婚生活が始まり、見慣れない寝室で目を覚ました。豪華な装飾が施された天井や、金色のシャンデリアが輝く部屋にアイラは驚きを隠せなかった。

「ここは、本当に私の家なのかしら……？」

アイラは自問し、思わずため息をついた。隣には、まだ親しくもない夫のロバートが静かに眠っている。彼との結婚は、何もしなくていいからという言葉に背中を押されて決めたので、正直なところ愛情は感じていなかった。

「おはよう、アイラ。よく眠れた？」

ロバートが目を覚まし、柔らかな声でアイラに微笑んだ。

「お、おはようございます、ロバート様。は、はい、少し緊張していたので、あまり眠れませんでした」

「そうか、初めての朝は不安だよね。でも、安心して。これから少しずつ慣れていくから」

アイラは戸惑いながら返事をし、心の中で複雑な感情を整理した。ロバートは愛情を込めて言った。

アイラはその言葉に少し救われた気がした。身支度を整えた後、アイラは階下へ向かうことにした。心の中にはまだ不安が残っていたが、少しずつ気持ちを落ち着けようと努めた。

「おはようございます、アイラ。ゆっくり休めましたか？」

階段を下りると、温かな香りが漂ってきた。義母であるステラ公爵夫人が、慈愛に満ちた笑顔で迎えてくれる。

「おはようございます、ステラ様。はい、少しずつ慣れていこうと思っています」

アイラは微笑みを返したが、心の中にはまだ緊張が残っていた。

「それは良かったわ。朝食が用意されていますから、一緒に食べましょう」

ステラは、アイラをテーブルへと導いた。義父であるジェームズ公爵も穏やかに話しかけてくれる。

「おはよう、アイラ。新しい生活はどうだい？」

「おはようございます、ジェームズ様。まだ実感が湧かず、少し戸惑っていますが……」

「それは当然だ。新しい環境にいると、誰でも不安になるものだよ。少しずつ慣れていけばいい」

アイラは正直に答えると、ジェームズは見守るような眼差しで見つめた。

温かい朝食を囲みながら、アイラは初めて感じる温かい雰囲気に安堵感を覚えた。ロバートも会話に加わり、アイラの気持ちを少しずつ和らげてくれた。

「アイラ、何か好きな料理はある？」

「私は…母が作ってくれたシチューが好きでした」

ロバートが尋ねると、アイラは温かい時間を思い出して、懐かしむように少し微笑んだ。

「では、料理人に言ってアイラのお母様の料理を再現させよう。君の好きなシチューを食べてみたい」

「本当に？　それなら、ぜひお願いしたいです」

ロバートは楽しそうに提案した。アイラは内心驚きながら、少し期待が膨らみ心が温かくなるのを感じた。

「アイラ、今日は何をしたいかしら？　何か手伝えることがあれば、教えてね」

朝食が終わると、ステラ夫人が親愛の情を込めて言った。

「ありがとうございます、ステラ様。まだ何をしたら良いのか分からないので、少し周りを見て回りたいです」

「それなら、私が一緒に案内するわ。公爵家の庭はとても美しいのよ」

「ぜひお願いします」

アイラは少し緊張しながら、前向きな気持ちを持とうとした。公爵夫人は微笑みながら提案すると、アイラはその言葉に心が躍るのを感じた。

アイラはロバートの家族の温かさに触れながら、少しずつ自分の居場所を見つけていく。