好きじゃない人と結婚した「愛がなくても幸せになれると知った」プロポーズは「君は家にいるだけで何もしなくてもいい」

第4話

公爵家の午後は、穏やかなティータイムから始まる。アイラは、義母であるステラは遠慮なく飾らずに話せる相手で一緒に過ごす時間が、何物にも代えがたいものになっていることを実感していた。

「アイラ、今日はどんな紅茶を飲みたい？」

ステラが微笑みながら尋ねると、アイラはしばらく考えた。

「うーん、今日は少し冒険して、ジャスミンティーにしてみます。前に飲んだとき、すごく香りが良かった記憶があります」

「それは素敵な選択ね。香りが心をリフレッシュしてくれるわ」

アイラは少しドキドキしながら答えた。ステラは嬉しそうに笑いながら言うと、そばに控えていたメイドたちは紅茶を淹れる準備を始めた。

アイラはメイドたちを見ながら思った。子爵令嬢と言っても実家の貧しい生活だった頃を思うと夢のようで、今の生活に心穏やかに浸っていた。ステラは本当に心の広い人で、実の娘のように気遣ってくれる。ステラの存在が、アイラの心を少しずつ解きほぐしていく。

「今日は何か面白いことがあった？」

「実は、庭で見かけたリスが、すごくおかしな格好で木を登っていました。ダンスをしているみたいで」

「それは面白いわね！　リスもおしゃれなダンスをするのかもしれないわ」

メイドは紅茶を注いでいた。ステラが尋ねると、アイラは思い出しながら目を輝かせながら話した。ステラは笑いながら返すと、その瞬間、二人の間には和やかな雰囲気が広がった。

その時、義父のジェームズが書斎から顔を出し、和やかな笑顔で二人に声をかける。

「おや、何の話をしているんだい？」

「はい、ジェームズ様。リスが木を登る姿がとてもユニークでした」

「それは面白そうだ。今度は私もそのダンスを見てみたいな。リスのダンスを見たら、私も踊りたくなるかもしれない」

「ぜひ、リスと一緒に踊ってください」

アイラは楽しそうに話した。ジェームズは笑いながら言うと、アイラは冗談を交えながら答えて心が弾んだ。

「それは難しそうだが、頑張ってみよう。さて、君たちのティータイムを邪魔するつもりはないが、もしリスが来たら、私も呼んでくれ」

「もちろん！　リスが来たら、すぐにお知らせしますね」

ジェームズは肩をすくめて笑うと、アイラは楽しげに返した。ステラはその様子を見て、嬉しそうに微笑んだ。

「こうして家族で笑い合う時間があることが、本当に幸せね。アイラもすっかりこの家に馴染んできたわ」

「はい、ステラ様とジェームズ様のおかげです。こうして皆様と過ごす時間が、私にとって大切なものになっています」

「それを聞けて嬉しいわ。これからも、たくさんの思い出を作っていきましょう」

アイラは心から感謝の気持ちを伝えた。ステラはしみじみとした眼差しでアイラを見つめていた。

アイラはその言葉に心が温かくなり、ステラのことをもっと大切に思うようになった。家族の絆が深まっていくことで、彼女の心も少しずつ開かれていくのを感じた。

「今日はどこかに、お出かけしたい気分だわ」

「え、どちらに行くんですか？」

「お店を巡ってみようかしらと思って。アイラも一緒にどう？」

「行きたいです！　新しい場所を探検するのは楽しそうですから」

「それなら、準備をしましょう！　素敵なお店がたくさんあるわよ」

ステラが突然提案すると、アイラは驚いて興奮した声で尋ねた。ステラは目を輝かせながら言った。アイラはワクワクした気持ちを抑えきれずに答えと、ステラは立ち上がりアイラも続いて立ち上がった。新しい家族との温かな時間が、アイラの心を満たしていく。これからも笑い合って、楽しみながら過ごしていく日々が待っているのだと、アイラは疑わなかった。