彼の妹にキレそう。信頼していた彼にも裏切られて婚約破棄を決意。

佐藤 美奈

文字の大きさ
35 / 39

35

「暗いよ~怖いよ~イブリン助けてーっ!」

彼女を傷つけた罪の意識で樹海の中に足を踏み入れて、自ら命をたつ決心をした。ですが、弱虫の彼は恐ろしくなり赤ん坊のように泣き叫んで迷うことなく引き返す。


「エリザと一線を超えてもうすぐ2年か……モテる男はつらいぜ」

帰宅してから数日後、外を眺めながら思いを馳せる。実はホークは妹のフランソワ以外にも体の関係を持っている令嬢がいた。

知り合ってその日のうちに男女の仲になり、週に一度は会うようになる。そして2年経つのかと心にしみ入る。身体の相性がいいのか分からないけど、一緒にいてストレスがないというのも浮気相手と続いている理由。

ホークの浮気相手のエリザは、男爵家の令嬢で飛び抜けて美人ではないが、可愛らしく愛嬌の良い笑顔を向けてくれる。

まだ自分の魅力に気がついていないのか派手なドレスを着飾ることもなく、服装はいつも地味だがホークはエリザのそんなところも気に入っている。

「エリザ!」
「ホーク……会いたかった」
「僕も同じ気持ちさ」

今日はエリザとの密会日。会うなり名前を呼び合い熱い抱擁を交わす。二人は相性が良いのも何となく自覚しており、お互い会いたい時に暇なら会うって感じで気分的にも楽な間柄。

双方にとって好都合な相手だからこそ、今まで喧嘩もなく繋がりを断つような気持ちには一切ならない。会えば必ず一夜を過ごすこともなく、食事を楽しんだりして普通にデートして別れることもある。


「僕の友人のエリザ」
「イブリン様よろしくお願いいたします」
「そんなに恐縮した呼び方はやめて。ホークと同じように気軽にイブリンと呼んでくれたら嬉しいわエリザ」
「ありがとうイブリン」

何を隠そう、本命の彼女のイブリンに浮気相手のエリザのことを昔友人として紹介したことがあった。なんとも面の皮が厚い呆れた二人です。

それに信じられない事ですが、今やエリザはイブリンの懐に入り込み無二の友人にまで上り詰めてしまう。人当たりが柔らかいエリザにイブリンが惚れ込みました。

ダメ押しで、思わず立ちつくしてしまう話なのですが、以前イブリンとホークの別れ話の時に、エリザはイブリンの友人側として参戦して『浮気は許さない!』と徹底的にホークを批判して痛めつけていた。

「ホークはあんまりベタベタしてくれないよね?」
「そう?」
「それなら今日はずっと身体を寄せ合おう」
「嬉しいー!」

本当に居心地のいい関係で、両者の埋めようのない心の空白を保つだけの存在。なので結婚なんて考えたこともない。ちなみにエリザは本命の彼は今はなし。

取り立てて恋愛感情はないけど、一緒に街を歩いていたら見た目は恋人同士。食事を済ませた店のウエイトレスから『仲睦まじい素敵な紳士淑女でいらっしゃいますね。羨ましいです』なんて褒められることもしばしば。

あなたにおすすめの小説

『姉に全部奪われた私、今度は自分の幸せを選びます ~姉の栄光を支える嘘を、私は一枚ずつ剥がす~』

六角
恋愛
復讐はしない。——ただ「嘘」を回収する。 礼儀と帳簿で宮廷の偽りを詰ませる“監査官令嬢”の華麗なる逆転劇。 王家献上宝飾の紛失事件で濡れ衣を着せられ、家族にも婚約者にも捨てられて追放された子爵家次女リリア。  数年後、彼女は王妃直属の「臨時監査官」として、再び宮廷の土を踏む。  そこで待っていたのは、「慈愛の聖女」として崇められる姉セシリアと、彼女に心酔する愚かな貴族たち。しかし、姉の栄光の裏には、横領、洗脳、そして国を揺るがす「偽造魔石」の陰謀が隠されていた。  「復讐? いいえ、これは正当な監査です」  リリアは感情に流されず、帳簿と証拠、そして真実を映す「プリズム」を武器に、姉が築き上げた嘘の城を一枚ずつ剥がしていく。  孤立無援の彼女を支えるのは、氷のように冷徹な宰相補佐レオンハルトと、豪快な近衛騎士団長カミュ。  やがてリリアは、国中を巻き込んだ姉の洗脳計画を打ち砕き、自分自身の幸せと、不器用な宰相補佐からの溺愛を手に入れる——。

これまでは悉く妹に幸せを邪魔されていました。今後は違いますよ?

satomi
恋愛
ディラーノ侯爵家の義姉妹の姉・サマンサとユアノ。二人は同じ侯爵家のアーロン=ジェンキンスとの縁談に臨む。もともとはサマンサに来た縁談話だったのだが、姉のモノを悉く奪う義妹ユアノがお父様に「見合いの席に同席したい」と懇願し、何故かディラーノ家からは二人の娘が見合いの席に。 結果、ユアノがアーロンと婚約することになるのだが…

婚約者を取り替えて欲しいと妹に言われました

月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
ポーレット伯爵家の一人娘レティシア。レティシアの母が亡くなってすぐに父は後妻と娘ヘザーを屋敷に迎え入れた。 将来伯爵家を継ぐことになっているレティシアに、縁談が持ち上がる。相手は伯爵家の次男ジョナス。美しい青年ジョナスは顔合わせの日にヘザーを見て顔を赤くする。 レティシアとジョナスの縁談は一旦まとまったが、男爵との縁談を嫌がったヘザーのため義母が婚約者の交換を提案する……。

婚約者を奪われた私が悪者扱いされたので、これから何が起きても知りません

天宮有
恋愛
子爵令嬢の私カルラは、妹のミーファに婚約者ザノークを奪われてしまう。 ミーファは全てカルラが悪いと言い出し、束縛侯爵で有名なリックと婚約させたいようだ。 屋敷を追い出されそうになって、私がいなければ領地が大変なことになると説明する。 家族は信じようとしないから――これから何が起きても、私は知りません。

私が、良いと言ってくれるので結婚します

あべ鈴峰
恋愛
幼馴染のクリスと比較されて悲しい思いをしていたロアンヌだったが、突然現れたレグール様のプロポーズに 初対面なのに結婚を決意する。 しかし、その事を良く思わないクリスが・・。

【完結】伯爵令嬢は婚約を終わりにしたい〜次期公爵の幸せのために婚約破棄されることを目指して悪女になったら、なぜか溺愛されてしまったようです〜

よどら文鳥
恋愛
 伯爵令嬢のミリアナは、次期公爵レインハルトと婚約関係である。  二人は特に問題もなく、順調に親睦を深めていった。  だがある日。  王女のシャーリャはミリアナに対して、「二人の婚約を解消してほしい、レインハルトは本当は私を愛しているの」と促した。  ミリアナは最初こそ信じなかったが王女が帰った後、レインハルトとの会話で王女のことを愛していることが判明した。  レインハルトの幸せをなによりも優先して考えているミリアナは、自分自身が嫌われて婚約破棄を宣告してもらえばいいという決断をする。  ミリアナはレインハルトの前では悪女になりきることを決意。  もともとミリアナは破天荒で活発な性格である。  そのため、悪女になりきるとはいっても、むしろあまり変わっていないことにもミリアナは気がついていない。  だが、悪女になって様々な作戦でレインハルトから嫌われるような行動をするが、なぜか全て感謝されてしまう。  それどころか、レインハルトからの愛情がどんどんと深くなっていき……? ※前回の作品同様、投稿前日に思いついて書いてみた作品なので、先のプロットや展開は未定です。今作も、完結までは書くつもりです。 ※第一話のキャラがざまぁされそうな感じはありますが、今回はざまぁがメインの作品ではありません。もしかしたら、このキャラも更生していい子になっちゃったりする可能性もあります。(このあたり、現時点ではどうするか展開考えていないです)

妹が私の婚約者を奪った癖に、返したいと言ってきたので断った

ルイス
恋愛
伯爵令嬢のファラ・イグリオは19歳の誕生日に侯爵との婚約が決定した。 昔からひたむきに続けていた貴族令嬢としての努力が報われた感じだ。 しかし突然、妹のシェリーによって奪われてしまう。 両親もシェリーを優先する始末で、ファラの婚約は解消されてしまった。 「お前はお姉さんなのだから、我慢できるだろう? お前なら他にも良い相手がきっと見つかるさ」 父親からの無常な一言にファラは愕然としてしまう。彼女は幼少の頃から自分の願いが聞き届けられた ことなど1つもなかった。努力はきっと報われる……そう信じて頑張って来たが、今回の件で心が折れそうになっていた。 だが、ファラの努力を知っていた幼馴染の公爵令息に助けられることになる。妹のシェリーは侯爵との婚約が思っていたのと違うということで、返したいと言って来るが……はあ? もう遅いわよ。

王太子様には優秀な妹の方がお似合いですから、いつまでも私にこだわる必要なんてありませんよ?

木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるラルリアは、優秀な妹に比べて平凡な人間であった。 これといって秀でた点がない彼女は、いつも妹と比較されて、時には罵倒されていたのである。 しかしそんなラルリアはある時、王太子の婚約者に選ばれた。 それに誰よりも驚いたのは、彼女自身である。仮に公爵家と王家の婚約がなされるとしても、その対象となるのは妹だと思っていたからだ。 事実として、社交界ではその婚約は非難されていた。 妹の方を王家に嫁がせる方が有益であると、有力者達は考えていたのだ。 故にラルリアも、婚約者である王太子アドルヴに婚約を変更するように進言した。しかし彼は、頑なにラルリアとの婚約を望んでいた。どうやらこの婚約自体、彼が提案したものであるようなのだ。