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第16話 不安な気持ちを告白
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「でも私あんまり悲しくなかったんだよね」
「どうして?」
「彼のことを本当に愛してなかったんだと思う。二人を見た時も動揺しなかったし」
ジェシカは恋人と別れても悲しいという気持ちはなかったと言う。別れ話のときに私たちは本当に愛し合っていなかったことを気づかされた。
失恋して泣き叫んで涙が流れるというような思いは一切なく、逆に別れられて安心したし晴れやかな気分だった。ジェシカは友人たちに胸の奥に畳み込んだ自分の本心を明かした。
「それに比べてソフィアはいいよね」
「いつも彼と気持ちが通じ合ってるみたいで」
「その上に超かっこいいし!」
「あんな素敵な彼氏に愛されるソフィアはずるい」
友人たちの恋愛話を聞いてしんみりとした気持ちになり重苦しい雰囲気に包まれていた。アイラがふと何気なく口にした言葉であった。他の友人たちもそう言われれば確かにそうかもしれないと思い意見に同調するように言う。
友人たちはロナウドのこともよく知っている。誠実な人柄でソフィアのことを深く愛して大切にして、信頼できる男だと保証するように口を揃えて言った。
「実は最近ロナウドとまともに会話ができてないの」
ソフィアは困った顔のまま左薬指の婚約指輪に目を落として言う。その声はほんの少しの衝撃で消えてしまいそうな小さな声でした。
「どうして?」
「え!?」
「嘘でしょ?」
学園を卒業したら結婚する約束をしていて、いつも熱々ムードの二人が冷めきった仲に陥ってしまっているなんてあり得るわけないじゃない。
結婚式の披露宴に招待されている友人たちはどう考えても信じられなかった。だが落胆の切なさが深いソフィアの様子を見ると真実であるかとも思われる。
そう言えば会えば必ずと言っていいほどソフィアは嬉々とした感情を全面に出して、ロナウドとののろけ話を聞かされるのに今日はまだ聞いてなかった。
「放課後は何か用事があると言って一緒に帰れないの」
ロナウドの話をする時は嬉しくてたまらないという顔で瞳をキラキラ輝かせているのに、ソフィアはうなだれて不安そうな表情でぽつりと言った。気持ちの結びつきを大切にしてくれるロナウドが、最近付き合いが悪くなってきてソフィアは胸の内から一抹の不安を拭いきれなかった。
やはり、これはただ事ではなさそうだ。ロナウドはソフィアを情熱的に愛している。両想いで強い絆で結ばれた運命の人と信じ永遠の愛を誓い合った。少し前のことだがソフィアを保健室に運ぶために、お姫様だっこする姿で多くの生徒から注目を集めたことを知っている。
その時のロナウドの印象は周囲の生徒たちに騒がれていることなど気にせず、ソフィアの身の安全を第一に考えた行動をとっていた。その場にいた女子生徒たちは彼女を大切にする彼の姿に、胸のときめきを覚えて見惚れてたりソフィアのことを羨ましく思いつつ眺めていた。
「どうして?」
「彼のことを本当に愛してなかったんだと思う。二人を見た時も動揺しなかったし」
ジェシカは恋人と別れても悲しいという気持ちはなかったと言う。別れ話のときに私たちは本当に愛し合っていなかったことを気づかされた。
失恋して泣き叫んで涙が流れるというような思いは一切なく、逆に別れられて安心したし晴れやかな気分だった。ジェシカは友人たちに胸の奥に畳み込んだ自分の本心を明かした。
「それに比べてソフィアはいいよね」
「いつも彼と気持ちが通じ合ってるみたいで」
「その上に超かっこいいし!」
「あんな素敵な彼氏に愛されるソフィアはずるい」
友人たちの恋愛話を聞いてしんみりとした気持ちになり重苦しい雰囲気に包まれていた。アイラがふと何気なく口にした言葉であった。他の友人たちもそう言われれば確かにそうかもしれないと思い意見に同調するように言う。
友人たちはロナウドのこともよく知っている。誠実な人柄でソフィアのことを深く愛して大切にして、信頼できる男だと保証するように口を揃えて言った。
「実は最近ロナウドとまともに会話ができてないの」
ソフィアは困った顔のまま左薬指の婚約指輪に目を落として言う。その声はほんの少しの衝撃で消えてしまいそうな小さな声でした。
「どうして?」
「え!?」
「嘘でしょ?」
学園を卒業したら結婚する約束をしていて、いつも熱々ムードの二人が冷めきった仲に陥ってしまっているなんてあり得るわけないじゃない。
結婚式の披露宴に招待されている友人たちはどう考えても信じられなかった。だが落胆の切なさが深いソフィアの様子を見ると真実であるかとも思われる。
そう言えば会えば必ずと言っていいほどソフィアは嬉々とした感情を全面に出して、ロナウドとののろけ話を聞かされるのに今日はまだ聞いてなかった。
「放課後は何か用事があると言って一緒に帰れないの」
ロナウドの話をする時は嬉しくてたまらないという顔で瞳をキラキラ輝かせているのに、ソフィアはうなだれて不安そうな表情でぽつりと言った。気持ちの結びつきを大切にしてくれるロナウドが、最近付き合いが悪くなってきてソフィアは胸の内から一抹の不安を拭いきれなかった。
やはり、これはただ事ではなさそうだ。ロナウドはソフィアを情熱的に愛している。両想いで強い絆で結ばれた運命の人と信じ永遠の愛を誓い合った。少し前のことだがソフィアを保健室に運ぶために、お姫様だっこする姿で多くの生徒から注目を集めたことを知っている。
その時のロナウドの印象は周囲の生徒たちに騒がれていることなど気にせず、ソフィアの身の安全を第一に考えた行動をとっていた。その場にいた女子生徒たちは彼女を大切にする彼の姿に、胸のときめきを覚えて見惚れてたりソフィアのことを羨ましく思いつつ眺めていた。
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