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第8話
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一週間後には婚約者のクロフォードと幼馴染のハリーは変わってしまった。それぞれ姉のフローラと妹のエリザベスと一線を越えた関係になったことを告白して悪びれる様子もなく続けている。アメリアは暗闇のどん底に突き落とされたような絶望的な気分を味わっていた。二人はアメリアに対して少しずつ冷たくなったように感じられる。
アメリアは気まずい思いをして二人と顔を合わせるのは辛かったが健気に振る舞っていた。グループ課題のため家で一緒に集まって和気あいあいと談笑し楽しく過ごしていたことが嘘のように思える。
「アメリアはいつも顔が暗いな。こっちまで気が重くなる」
「いつも笑顔を絶やさない聖女のお姉様と妹様とは外見も大違いだしな」
「ごめんなさい」
優しかった二人の毒の針を含んだ言葉を聞いた瞬間に、雷に打たれたように目を大きく開いて呆然と立ちすくんだ。あんなことがあった後なのにクロフォードとハリーは学園にいる時は今までと同じように普通の顔して接してくるけど、周りに誰もいない時はさんざん嫌味を言って冷たく突き放した。
一緒にいてもアメリアは二人に気を配って困ったような気弱な微笑を向けたり、意地悪な言い方をされて謝ることしかできなくなる。クロフォードとハリーはアメリアのことを陰気くさい顔で後ろ向きで卑屈だと説教した。二人の意味不明な因縁にもアメリアは自分の努力不足のせいだと反省していた。
「アメリアは謝ってばかりだな」
「一緒にいる僕達が困るから気をつけてくれよ?」
「わかりました。気をつけます」
日増しに悪化する二人との関係にアメリアは困惑し、フローラとエリザベスに何か吹き込まれているのかもしれない。洗脳されて別の人格になってしまったのではと心配をした。
(前はこんな発言しなかったのにフローラお姉様とエリザベスと付き合いだしてから二人の態度が変わった。手のひらを返したように私のことを罵倒するし……)
「――クロフォード様とハリー様がおいでになっています」
「また来てるの?」
家に帰ってくるとメイドから三日に一度は同じことを聞かされてアメリアは呆れたように言った。メイドは少しためらってから言いにくそうな態度で語り出す。
「クロフォード様はフローラ様のお部屋へ行かれ、ハリー様はエリザベス様のお部屋に行かれました」
「そこまでしてしたいのかしら……」
毎度のことだけれど聞くたびに茫然とさせられてしまう。メイドは呆れ顔になったがアメリアも同感だった。最初の頃は不安そうな顔をして気になって部屋の前に行った。
しばらく明るい笑い声と陽気な話し声が聞こえていたが、それも次第に聞こえなくなって情事が始まってしまう。何度か覗こうとしたが見つかりそうな気がしてやめた。
(こんな事は間違っているのに私は黙って耐えるしかないの?)
虫も殺せない気弱な性格のアメリアは心で思っていても言い返すことはできずにいた。アメリアは昔から自分に自信が持てずフローラとエリザベスの機嫌を損ねないよう愛想笑いばかりしていた。
婚約者のクロフォードと幼馴染のハリーは気の強く厚かましい性格の姉と妹にとられて、自分だけが恋愛ができない寂しく辛い生活を送ることになった。
アメリアは気まずい思いをして二人と顔を合わせるのは辛かったが健気に振る舞っていた。グループ課題のため家で一緒に集まって和気あいあいと談笑し楽しく過ごしていたことが嘘のように思える。
「アメリアはいつも顔が暗いな。こっちまで気が重くなる」
「いつも笑顔を絶やさない聖女のお姉様と妹様とは外見も大違いだしな」
「ごめんなさい」
優しかった二人の毒の針を含んだ言葉を聞いた瞬間に、雷に打たれたように目を大きく開いて呆然と立ちすくんだ。あんなことがあった後なのにクロフォードとハリーは学園にいる時は今までと同じように普通の顔して接してくるけど、周りに誰もいない時はさんざん嫌味を言って冷たく突き放した。
一緒にいてもアメリアは二人に気を配って困ったような気弱な微笑を向けたり、意地悪な言い方をされて謝ることしかできなくなる。クロフォードとハリーはアメリアのことを陰気くさい顔で後ろ向きで卑屈だと説教した。二人の意味不明な因縁にもアメリアは自分の努力不足のせいだと反省していた。
「アメリアは謝ってばかりだな」
「一緒にいる僕達が困るから気をつけてくれよ?」
「わかりました。気をつけます」
日増しに悪化する二人との関係にアメリアは困惑し、フローラとエリザベスに何か吹き込まれているのかもしれない。洗脳されて別の人格になってしまったのではと心配をした。
(前はこんな発言しなかったのにフローラお姉様とエリザベスと付き合いだしてから二人の態度が変わった。手のひらを返したように私のことを罵倒するし……)
「――クロフォード様とハリー様がおいでになっています」
「また来てるの?」
家に帰ってくるとメイドから三日に一度は同じことを聞かされてアメリアは呆れたように言った。メイドは少しためらってから言いにくそうな態度で語り出す。
「クロフォード様はフローラ様のお部屋へ行かれ、ハリー様はエリザベス様のお部屋に行かれました」
「そこまでしてしたいのかしら……」
毎度のことだけれど聞くたびに茫然とさせられてしまう。メイドは呆れ顔になったがアメリアも同感だった。最初の頃は不安そうな顔をして気になって部屋の前に行った。
しばらく明るい笑い声と陽気な話し声が聞こえていたが、それも次第に聞こえなくなって情事が始まってしまう。何度か覗こうとしたが見つかりそうな気がしてやめた。
(こんな事は間違っているのに私は黙って耐えるしかないの?)
虫も殺せない気弱な性格のアメリアは心で思っていても言い返すことはできずにいた。アメリアは昔から自分に自信が持てずフローラとエリザベスの機嫌を損ねないよう愛想笑いばかりしていた。
婚約者のクロフォードと幼馴染のハリーは気の強く厚かましい性格の姉と妹にとられて、自分だけが恋愛ができない寂しく辛い生活を送ることになった。
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