妹に婚約者を奪われて婚約破棄になり彼と妹は家族と友達から絶縁される〜妹が彼の暴力と借金で助けを求めてきました

第三話

後日、お互いの両親も同席して二人は私に慰謝料を払うことになり解決します。

ところが、間をおかずに彼の母親が自殺をして大変痛ましいことになりました。

「あんなことになって妻は精神的に追い詰められていた」彼の父親の言葉です。

その後二人は結婚しましたが、彼も妹もお互いの家族から勘当された。

「姉の婚約者を奪って母親に重圧をかけて死なせてしまった夫婦」と言われて友達からも距離を置かれて二人は誰からも祝福されることはなかった。

二人は彼の家族や親戚からも情け容赦ない叱責を受けてひどく堪えていたようです。

妹と彼は同棲を始めるが二人の噂はまたたく間に広まり、彼の仕事場にも知るところになり彼は職を失う。

その頃から彼と妹は喧嘩ばかりの毎日で二人は私への慰謝料の支払いに苦しむことになる。

妹は期待を膨らませていた彼との幸せな結婚生活が送れるわけもなく、彼は過重労働を強いられ心身ともに弱ってしまい体を壊した。

そんな時、妹が実家に顔を見せる。

最初は妹だと認識できなかった。貴族の令嬢とは思えないほどの痩せた体にみすぼらしい汚れた布切れのような服を着ていた。

妹は土下座をして泣き叫び何度も謝りましたが、両親は怒声を張り上げて妹のことを決して許さなかった。

私は妹と少しだけ話をした。

「彼は今どうしてるの？」
「身体の調子が悪くなって家で寝たきりに……」
「そう…」
「お姉ちゃん助けて！」
「もうカプシーヌとは家族じゃないし関係ないから」
「お姉ちゃん！　そんな酷いこと言わないで！」
「彼のお母様のことはどう思ってるの？」
「それは反省してる…」
「あなた達は彼のお母様を死に追いやったのよ！」
「ごめんなさい…」
「同情はできません！」
「許してください……」

私は土下座している妹に少し考えて沈黙を破る。

「あの手紙にも書いてあったけどダニエルはカプシーヌの運命の相手なんでしょ？」
「違う！」
「二人の幸せを願ってるからね」
「全て私の勘違いだったの……」
「それと、私への慰謝料が全然払われてないみたいだけど？」
「…お姉ちゃんの鬼！　ひとでなし！」

妹は顔を上げ鋭い目つきで私に吐き捨てるように言い帰って行きました。

それが妹を見た最後の姿です。