妹に婚約者を奪われて婚約破棄になり彼と妹は家族と友達から絶縁される〜妹が彼の暴力と借金で助けを求めてきました

第四話

5年後、実家に妹が亡くなったと連絡が入った。

両親と私で妹の亡骸と対面した。痩せていましたが面影は昔のままでした。自殺だったと聞かされました。

数日後、生前の妹と同じ仕事をしていた娼婦と会うことになり、私と両親で妹の話しを聞きました。

「私は今はこんな仕事をしていますが、私も元貴族でカプシーヌとは気が合ってよく話して相談に乗っていました」

彼は仕事を失ってから妹につらく当たるようになったという。

「お前のせいで家族から勘当された！」
「私も同じだよ！」
「友達にも絶交されて一生を台無しにした！」
「私も友達はみんないなくなったよ…」
「おまけに僕は母親まで死んだ……」
「それはあなたにも責任があるでしょ！」
「うるさい！　口答えをするな！」

ボゴッ！　彼に顔を殴られる妹。

妹は彼に初めて殴られたショックで何も言い返せませんでした。

その後、彼は仕事で体を壊してまともに働けなくなり、毎日のように酒に酔って妹に暴力を繰り返す。

妹はそんな悪夢のような生活に耐えられなくて、一度だけ実家に助けを求めたが、両親に叱責され私にも見放され結局彼の元に戻る。

借金もあり、結局妹が働くしかなく娼婦になったという。

彼は妹の働いたお金で病院に通い、治療をして普通に動けるようになったが、もう彼には真面目に働く気持ちなどこれっぽっちもなかった。

事もあろうに彼は別の女性と浮気をして、その女性と一緒になって妹をいじめて苦しめていた。

私は二人の生活は貧しくても妹は彼に大切にされていると思っていたのに、それだけは残念でなりません。

彼はいつから心に悪魔が取りつかれたような人になってしまったのでしょうか。

妹は最初の頃は、いつか彼は心を入れ替えてくれると二人からの暴力に耐えていたが、我慢できずに逃げ出す。

絶縁されているから妹は実家にも戻れず、その後は恋人を作ることもなく安宿で暮らし始める。

妹が自殺した部屋の中には、家族写真と私と妹が笑顔で二人でいる写真が飾ってあったそうです。

両親は感情がこらえ切れなくなり泣き崩れて詫びていた。

確かに私の家族や彼の家族を傷つけた妹は自業自得かもしれませんが、私も妹が生きている間に許すと伝えたかった。

最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
この物語を、皆さまと共有できたことが何よりの幸せです。
またどこかの物語でお会いできますように。