婚約したのに好きな人ができたと告白された「君の妹で僕の子を妊娠してる」彼に衝撃の罰が下される。

佐藤 美奈

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第1話

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「ハァ……」

来週からは、友人達と別荘に遊びに行く予定なのに憂鬱な気分のフローラは大きくため息をついた。理由は2年付き合って婚約していたテリーが耳を疑うような告白をしてきた。

「好きな人がいるから別れてほしい」
「相手は誰なの?」

相手を問い詰めたらフローラの妹のアリスでした。

「実はアリスは僕の子供を妊娠している」

テリーから真剣な顔で話があると言われて呼び出された。聞いた時は、顔色が青ざめて立ちくらみを起こして気を失いそうになるのを耐えるのに精一杯だった。


「フローラ様だわ。テリー王子に捨てられたらしいわ」
「妹のアリス様がテリー王子の子を妊娠したらしいそうよ」
「気の毒に……婚約破棄になったのね」

次の日、学園ではこんな噂話を耳にした。フローラは悲しくて泣きたいような気になる。これまでテリーだけを一途に想い続けていたのに突然裏切られた。

しかも相手は妹のアリスなのだから、フローラはやりきれないという表情をしていた。

「おはようフローラ大変でしたね」
「おはよう」
「辛かったらいつでも相談してください」
「ありがとう。でももう気にしてないわ」

教室に入ると仲のいい二人の令嬢が声をかけてきたので挨拶を交わす。しかし二人とも同情めいた声色で可哀想に思うような表情を向けてきました。

気まずい空気を感じたフローラは、吹っ切れたように明るい笑顔を振りまいてお礼を言う。

「みなさんお静かに!」

教室に入ってきた教師の注意に生徒たちは慌ただしく席についた。


「私はフローラ様のことをお慕いしています」
「気を確かにお持ちになって」
「フローラ様でしたら男なんて掃いて捨てるほど寄ってきますわ」

昼食の時間に食堂に足を運べば、フローラにほとんど全員といえる生徒が気の毒そうに眉を寄せて視線を送り、憐れむような慰めの声をかけられる。

フローラがテリーと婚約をしていることは、大々的に発表されたので誰もが知っていた。昨日までは羨望の眼差しを向けられていた。

中には王子との婚約に嫉妬のたぐいの感情も混じっていた。今は打って変わって可哀想な人という目を向けられる。休憩時間になっても友人からも話しかけられなくなり、なんだが息苦しい学園生活になってしまった。

確かに婚約していたテリーが妹のアリスを妊娠させてしまったと告白された時には、驚いて取り乱していたけど、今は仕方ないと納得して心も落ち着いている。


「フローラ」

今日一日の授業が終わり学園の敷地から出ようとした時に声をかけられた。振り返るとテリーに呼び止められたことが分かり、こちらに歩いてくる。隣には妹のアリスに取り巻きと思われる数人の女子生徒がいた。
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