婚約したのに好きな人ができたと告白された「君の妹で僕の子を妊娠してる」彼に衝撃の罰が下される。

第30話

「一つ尋ねますけど、例えばフローラがアリスと同じことをしたらあなたは許せますか？」
「え？」

突然テリーから全く思いがけない質問を投げかけられたレオナルドは、金縛りにあったように体が硬直した。

しばらく目を閉じてテリーから無言の重圧をたえず考慮しながら、何度も自問自答を繰り返す。だがレオナルドは自分の胸の中で答えが見つからなかった。

「そんなことはいいでしょ！私は妹のアリスのようなことはしない！」

心配そうに夫のレオナルドの顔を覗き込んでいたフローラが、重苦しい雰囲気に我慢しきれなくなって声を響かせる。その口調からは怒りの色が感じ取れた。

「フローラは黙っていてくれ。僕は君の夫であるレオナルドに聞いているんだ」

テリーは大きな威勢のいい声をはりあげる。フローラの声をかき消してしまうほどだった。コンサートの会場にいるときのように全力の声が込められていた。


「……もしフローラがアリスと同程度の過ちをしてしまったら……自分なら許せないかもしれない……」

その時、レオナルドが喋り出す。その口元から漏れる声はあまりにも弱々しい。フローラが今まで見たこともないほどの最も苦しく悲しい表情をしていた。

「その程度のことで妻のことを許せないんですか？なんて器の小さい情けない男だ。僕は呆れてしまいますね」

なぜか勝ち誇った笑みを浮かべて、心が弾み高揚した気分になったテリーがレオナルドを追い詰める。まさに水を得た魚のごとく凄まじい気合の入った言葉でした。

妻が産んだ子供の4人全員が、夫以外の子供だっただけで許せないなんて、そんなことで妻への愛情が失ってしまうのか？と思い度量が狭いとテリーは半ば呆れたように言う。

「…………」

テリーに男としての心の広さで、ひどく負けているような気がしたレオナルドは、唇を噛み締めて今にも大声で泣き出しそうである。体が緊張したレオナルドは声が喉に詰まった様子だった。

「その程度で愛情が冷めてしまう夫とフローラは結婚したんだね。可哀想だなぁ。ひょっとして……」

かわいい妻の軽い失敗を許せないと口にしたレオナルド。そんな男と結婚したフローラに、テリーはため息混じりに苦笑いして言葉を続ける。

テリーの考えは、いつも妻には安心感を与えてあげたい大切な存在なのに、フローラは苦労してるだろうと思ったのです。

「何が言いたいの？はっきり言って！」

この男は一体何を言い出すのかと、フローラは不満げに口をとがらせながら、噛み付くように返事を求めた。

「フローラはレオナルドに束縛されてるんじゃないの？」

まさか……日常的に束縛されて行動の自由を夫に制限されているのではないか？胸中で不安な気持ちがぬぐえないテリーは心配そうな顔で尋ねたのです。