40 / 56
第40話
しおりを挟む
テリーは落ち着かない気分になった。なんとアリスの不倫相手の男とその妻が、直接訪問してテリーに対してこれまでの非礼を詫びにくるというのだ。
アリスから不意打ちのように告白されて、それも今日の昼頃来るというのです。もうほんの数分もすれば二人はやってくる。テリーの頭の中はそれこそ大混乱が起きてしまった。
「前に男の奥さんとは会ったことがあるんだ」
「へー、そうなんだ」
正面から向き合って座っているアリスに、テリーはあくまでも冷静な顔で話した。あ、そうなのっていう感じでアリスは短い返事をする。アリスが男と共に駆け落ち同然で消えた時に、テリーは以前に男の妻とは会ったことがある。肌の美しい上品な婦人だったという感想であった。
まず夫の行ったことに深く反省し謝罪をされると、テリーは広い心で気にしていませんよ?という感じで笑顔で返した。彼は許す事に関してはキリスト以上の精神力を備えていて、許容できる範囲を大きく越えた事でも許せるのです。
これには奥様も驚きましたが、終始和やかな雰囲気がゆったりと流れていた。ところが子供たちの登場で何もかもが一変し、奥様は身の置きどころがない思いで夫のことを大いに恥じて泣いて謝罪した。
「奥さんはいい人だったよ。だけど子供たちの顔を見たら……」
「それは仕方ないんじゃないの?あの男の顔は強烈だからね。うふふふ」
奥様は、テリー王子の妻のアリス妃を自分の夫が過去に4回も孕ませて、無事に出産していたことを聞かされた。奥様の心は悲しみの底に沈んで釈明のしようがない気持ちになる。顔は精神的な疲労の色が濃くてしばらく抜け殻と化していた。
テリーは誠に親切な人だったと、奥様の温厚な人柄と物腰の柔らかさを思い出して褒め言葉がつい口から出る。アリスは無神経な顔で軽い気持ちで言うと不思議な笑い声をたてた。
「アリスの言う通りだ。あの男の顔は下品だから奥さんが驚くのも仕方ないよね」
テリーは即座に同意して、アリスの気持ちに優しく寄り添って子供みたいに無邪気に微笑む。
「少しでも私に似ればかわいい子が生まれたのに、みんなあの男の顔なんだもん。遺伝子レベルで細胞が有害なのに、どれだけ醜い遺伝子を残したいのかしら?迷惑な男だわ……」
「本当にそうだね。どうしてアリスの天使のような顔を子供が誰も受け継がないんだよ。あいつの血は濃すぎる!」
アリスから不意打ちのように告白されて、それも今日の昼頃来るというのです。もうほんの数分もすれば二人はやってくる。テリーの頭の中はそれこそ大混乱が起きてしまった。
「前に男の奥さんとは会ったことがあるんだ」
「へー、そうなんだ」
正面から向き合って座っているアリスに、テリーはあくまでも冷静な顔で話した。あ、そうなのっていう感じでアリスは短い返事をする。アリスが男と共に駆け落ち同然で消えた時に、テリーは以前に男の妻とは会ったことがある。肌の美しい上品な婦人だったという感想であった。
まず夫の行ったことに深く反省し謝罪をされると、テリーは広い心で気にしていませんよ?という感じで笑顔で返した。彼は許す事に関してはキリスト以上の精神力を備えていて、許容できる範囲を大きく越えた事でも許せるのです。
これには奥様も驚きましたが、終始和やかな雰囲気がゆったりと流れていた。ところが子供たちの登場で何もかもが一変し、奥様は身の置きどころがない思いで夫のことを大いに恥じて泣いて謝罪した。
「奥さんはいい人だったよ。だけど子供たちの顔を見たら……」
「それは仕方ないんじゃないの?あの男の顔は強烈だからね。うふふふ」
奥様は、テリー王子の妻のアリス妃を自分の夫が過去に4回も孕ませて、無事に出産していたことを聞かされた。奥様の心は悲しみの底に沈んで釈明のしようがない気持ちになる。顔は精神的な疲労の色が濃くてしばらく抜け殻と化していた。
テリーは誠に親切な人だったと、奥様の温厚な人柄と物腰の柔らかさを思い出して褒め言葉がつい口から出る。アリスは無神経な顔で軽い気持ちで言うと不思議な笑い声をたてた。
「アリスの言う通りだ。あの男の顔は下品だから奥さんが驚くのも仕方ないよね」
テリーは即座に同意して、アリスの気持ちに優しく寄り添って子供みたいに無邪気に微笑む。
「少しでも私に似ればかわいい子が生まれたのに、みんなあの男の顔なんだもん。遺伝子レベルで細胞が有害なのに、どれだけ醜い遺伝子を残したいのかしら?迷惑な男だわ……」
「本当にそうだね。どうしてアリスの天使のような顔を子供が誰も受け継がないんだよ。あいつの血は濃すぎる!」
24
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約者と養い親に不要といわれたので、幼馴染の側近と国を出ます
衿乃 光希
恋愛
卒業パーティーの最中、婚約者から突然婚約破棄を告げられたシェリーヌ。
婚約者の心を留めておけないような娘はいらないと、養父からも不要と言われる。
シェリーヌは16年過ごした国を出る。
生まれた時からの側近アランと一緒に・・・。
第18回恋愛小説大賞エントリーしましたので、第2部を執筆中です。
第2部祖国から手紙が届き、養父の体調がすぐれないことを知らされる。迷いながらも一時戻ってきたシェリーヌ。見舞った翌日、養父は天に召された。葬儀後、貴族の死去が相次いでいるという不穏な噂を耳にする。恋愛小説大賞は51位で終了しました。皆さま、投票ありがとうございました。
【完結】精神的に弱い幼馴染を優先する婚約者を捨てたら、彼の兄と結婚することになりました
当麻リコ
恋愛
侯爵令嬢アメリアの婚約者であるミュスカーは、幼馴染みであるリリィばかりを優先する。
リリィは繊細だから僕が支えてあげないといけないのだと、誇らしそうに。
結婚を間近に控え、アメリアは不安だった。
指輪選びや衣装決めにはじまり、結婚に関する大事な話し合いの全てにおいて、ミュスカーはリリィの呼び出しに応じて行ってしまう。
そんな彼を見続けて、とうとうアメリアは彼との結婚生活を諦めた。
けれど正式に婚約の解消を求めてミュスカーの父親に相談すると、少し時間をくれと言って保留にされてしまう。
仕方なく保留を承知した一ヵ月後、国外視察で家を空けていたミュスカーの兄、アーロンが帰ってきてアメリアにこう告げた。
「必ず幸せにすると約束する。どうか俺と結婚して欲しい」
ずっと好きで、けれど他に好きな女性がいるからと諦めていたアーロンからの告白に、アメリアは戸惑いながらも頷くことしか出来なかった。
【完結】貴方の後悔など、聞きたくありません。
なか
恋愛
学園に特待生として入学したリディアであったが、平民である彼女は貴族家の者には目障りだった。
追い出すようなイジメを受けていた彼女を救ってくれたのはグレアルフという伯爵家の青年。
優しく、明るいグレアルフは屈託のない笑顔でリディアと接する。
誰にも明かさずに会う内に恋仲となった二人であったが、
リディアは知ってしまう、グレアルフの本性を……。
全てを知り、死を考えた彼女であったが、
とある出会いにより自分の価値を知った時、再び立ち上がる事を選択する。
後悔の言葉など全て無視する決意と共に、生きていく。
我慢しないことにした結果
宝月 蓮
恋愛
メアリー、ワイアット、クレアは幼馴染。いつも三人で過ごすことが多い。しかしクレアがわがままを言うせいで、いつもメアリーは我慢を強いられていた。更に、メアリーはワイアットに好意を寄せていたが色々なことが重なりワイアットはわがままなクレアと婚約することになってしまう。失意の中、欲望に忠実なクレアの更なるわがままで追い詰められていくメアリー。そんなメアリーを救ったのは、兄達の友人であるアレクサンダー。アレクサンダーはメアリーに、もう我慢しなくて良い、思いの全てを吐き出してごらんと優しく包み込んでくれた。メアリーはそんなアレクサンダーに惹かれていく。
小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
婚約破棄、ありがとうございます
奈井
恋愛
小さい頃に婚約して10年がたち私たちはお互い16歳。来年、結婚する為の準備が着々と進む中、婚約破棄を言い渡されました。でも、私は安堵しております。嘘を突き通すのは辛いから。傷物になってしまったので、誰も寄って来ない事をこれ幸いに一生1人で、幼い恋心と一緒に過ごしてまいります。
幼なじみと再会したあなたは、私を忘れてしまった。
クロユキ
恋愛
街の学校に通うルナは同じ同級生のルシアンと交際をしていた。同じクラスでもあり席も隣だったのもあってルシアンから交際を申し込まれた。
そんなある日クラスに転校生が入って来た。
幼い頃一緒に遊んだルシアンを知っている女子だった…その日からルナとルシアンの距離が離れ始めた。
誤字脱字がありますが、読んでもらえたら嬉しいです。
更新不定期です。
よろしくお願いします。
本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
本日、私は大切な人達を2人同時に失います
<子供の頃から大好きだった幼馴染が恋する女性は私の5歳年上の姉でした。>
両親を亡くし、私を養ってくれた大切な姉に幸せになって貰いたい・・・そう願っていたのに姉は結婚を約束していた彼を事故で失ってしまった。悲しみに打ちひしがれる姉に寄り添う私の大好きな幼馴染。彼は決して私に振り向いてくれる事は無い。だから私は彼と姉が結ばれる事を願い、ついに2人は恋人同士になり、本日姉と幼馴染は結婚する。そしてそれは私が大切な2人を同時に失う日でもあった―。
※ 本編完結済。他視点での話、継続中。
※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています
※ 河口直人偏から少し大人向けの内容になります
【12話完結】私はイジメられた側ですが。国のため、貴方のために王妃修行に努めていたら、婚約破棄を告げられ、友人に裏切られました。
西東友一
恋愛
国のため、貴方のため。
私は厳しい王妃修行に努めてまいりました。
それなのに第一王子である貴方が開いた舞踏会で、「この俺、次期国王である第一王子エドワード・ヴィクトールは伯爵令嬢のメリー・アナラシアと婚約破棄する」
と宣言されるなんて・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる