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第44話
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「今日のテリーはかっこよかった」
「え……?」
男の妻とは和解について話し合いをしたりして、張本人の男は近衛騎士たちに連行されて牢屋へ送られた。今は遅い夕食を家族全員でとっていた。
チラッとテリーのほうへ視線を向けたアリスが、何気なく口を開いたのであった。テリーは特に好物の肉や野菜を煮込んだシチューを満足そうな顔でゆっくり味わっていたら、不意にそんな事を言われて戸惑うような声を出した。
「とても勇敢だったよ」
アリスは男に対して毅然と立ち向かうテリーを見て、数秒間は見惚れていました。いつものテリーは、優しくて思いやりがあり尽くしてくれる愛情深い夫ですが、勇気とか男らしさには欠けると思っていた。
アリスがテリーに胸のときめきを覚えたのは、男が脚にぎゅっとしがみついてきて助けてくださいと泣いて命乞いしていた時であった。なんとテリーは荒い声になって男を蹴り飛ばしたのだ。
その瞬間、アリスは興奮してほんのりと頬を染めて胸が弾んで、テリーの後ろ姿をうっとりと眺めていた。吹っ飛ばされて倒れている男の事など気にもしなかった。
「そう言ってもらえると嬉しいよ。アリスありがとう」
じっとアリスの顔を見つめて感謝の言葉を口にすると、急にアリスがテリーの膝の上に座ってきた。
「アリス……!?」
テリーにとってみれば、完全な不意打ちだったのだろう。気持ちが乱れ目を丸くして、実に驚くべきことだった。
食事の最中に突然そのような行為をするのは、行儀悪い事ですが妙にテンションが上がってしまい、落ち着かない気分だったアリスは我慢できなかった。
「私もパパの膝の上に乗りたい!」
「僕も!」
行儀よく椅子に座っていた子供たちが、テリーのほうに駆け寄ってくる。子供たちはマナー講師からは食事中の礼儀は学んでいましたが、母のアリスがおふざけをしてるので問題ないだろうと自然に思って席を立ったのです。
「みんな本当に大きくなったな……」
子供たちは勢いよくテリーの胸の中に飛び込んでいく。アリスの不倫相手である下品な顔の男に、一人残らずそっくりの子供たちですが、テリーは順調に成長している子供を見ながら嬉しく思い、歯をこぼれるように見せて笑って子供たちの頭を優しく撫で回していた。
「え……?」
男の妻とは和解について話し合いをしたりして、張本人の男は近衛騎士たちに連行されて牢屋へ送られた。今は遅い夕食を家族全員でとっていた。
チラッとテリーのほうへ視線を向けたアリスが、何気なく口を開いたのであった。テリーは特に好物の肉や野菜を煮込んだシチューを満足そうな顔でゆっくり味わっていたら、不意にそんな事を言われて戸惑うような声を出した。
「とても勇敢だったよ」
アリスは男に対して毅然と立ち向かうテリーを見て、数秒間は見惚れていました。いつものテリーは、優しくて思いやりがあり尽くしてくれる愛情深い夫ですが、勇気とか男らしさには欠けると思っていた。
アリスがテリーに胸のときめきを覚えたのは、男が脚にぎゅっとしがみついてきて助けてくださいと泣いて命乞いしていた時であった。なんとテリーは荒い声になって男を蹴り飛ばしたのだ。
その瞬間、アリスは興奮してほんのりと頬を染めて胸が弾んで、テリーの後ろ姿をうっとりと眺めていた。吹っ飛ばされて倒れている男の事など気にもしなかった。
「そう言ってもらえると嬉しいよ。アリスありがとう」
じっとアリスの顔を見つめて感謝の言葉を口にすると、急にアリスがテリーの膝の上に座ってきた。
「アリス……!?」
テリーにとってみれば、完全な不意打ちだったのだろう。気持ちが乱れ目を丸くして、実に驚くべきことだった。
食事の最中に突然そのような行為をするのは、行儀悪い事ですが妙にテンションが上がってしまい、落ち着かない気分だったアリスは我慢できなかった。
「私もパパの膝の上に乗りたい!」
「僕も!」
行儀よく椅子に座っていた子供たちが、テリーのほうに駆け寄ってくる。子供たちはマナー講師からは食事中の礼儀は学んでいましたが、母のアリスがおふざけをしてるので問題ないだろうと自然に思って席を立ったのです。
「みんな本当に大きくなったな……」
子供たちは勢いよくテリーの胸の中に飛び込んでいく。アリスの不倫相手である下品な顔の男に、一人残らずそっくりの子供たちですが、テリーは順調に成長している子供を見ながら嬉しく思い、歯をこぼれるように見せて笑って子供たちの頭を優しく撫で回していた。
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