12 / 44
第12話
しおりを挟む
「ようこそ!今日は自分の家にいるようにゆっくりしてくださいね」
「また息子と交際して頂いて感謝の言葉もございません!」
ジャックの両親は媚びるような言いまわしでわざとらしいくらいの作り笑顔になりクロエを迎える。両家で話し合った時の怒鳴り声で言い争い互いに攻撃的な顔つきで喧嘩した記憶が残っているクロエはあまりの手のひら返しに困惑した気持ちになり頬を引きつらせ愛想笑いで応じる。
「あまりクロエを困らせるなよ」
「すまんな嬉しくてつい興奮してしまい…悪かった」
「ごめんなさいね。でも本当にあなたに謝りたくて待っていたのよ」
明らかに戸惑い呆然としているクロエに気がついたジャックが両親に軽く注意すると、申し訳なさそうな顔に変化し気持ちが高ぶって浮かれ過ぎていたと頭に手をやりながら反省する父親に深々とお辞儀する母親。
両親のことは気にすることはないとジャックは言っていたけど、実際に会うまでは不安な気持ちが片付かなかったが、丁寧な言葉遣いに十分に気を配ってくれる態度で迎えられて接した印象としてクロエは好感を持つ。
これからはジャックの両親と仲良くやっていけそう。この前は話し合いの場にあの幼馴染の子がいたから喧嘩のような議論がぶつかり互いに睨んでいがみ合った。今日のような感触なら自分の家族とも理解し合えるだろうと自然に口元が緩み心が和む。
「クロエさん!」
「…キャアアアア!!」
ソファに座り気持ちがほっこりしていたクロエに不意打ちのようにエリザベスが声をかけた。ひょこっと突然に目の前に現れた思い出したくない顔に驚きで心臓が止まりそうになり一瞬停止した後に本能的な恐怖に襲われて綺麗な高音で絶叫した。
「どうしたんだクロエ!何があった!」
恋人の尋常でない悲鳴にこれはただ事ではないと感じたジャックは疾風のごとく大急ぎでやって来る。案の定エリザベスがその場にいた。
ジャックと両親とエリザベスでの打ち合わせでは、まずはジャックが家の事情とエリザベスのことを説明するのが第一段階で最後にエリザベスが登場するという計画で準備していたのにエリザベスは気持ちが抑えきれず出てきてしまう。
エリザべスの独りよがりの行動でジャックと両親の今までの苦労が水の泡になってしまい頑張った甲斐がなくなった。
「ちょっと離して!」
現場ではエリザベスに抱きつかれたクロエが振り払おうとしているが、エリザベスはかじりつくように抱きついていて簡単に突き放すことができない様子。弱り切った感じのクロエは屈辱的仕打ちに耐えていた。視線がぶつかりクロエは悔しそうな表情で恨みのこもった瞳で視線をそらさずにじっとジャックを睨み続ける。
「何やっているんだエリザベス!まだ出てくるのが早いよ!勝手に動いたら駄目だろ!」
「クロエさんと話したくて我慢できなかったの!」
「ジャックどういうことなの!私をずっと騙してたの?手紙の言葉も偽りなの?」
「違うんだクロエ!」
「何よ!嘘つき!幼馴染とは距離を置くって言ってたじゃない!」
「クロエ待ってくれ!」
仕方ないなといった感じでジャックがエリザベスに向かって何か説教をしているみたいだが、クロエは警戒した顔になり噛みつくように非難の声を上げる。自分は最初の手紙のやり取りから誤魔化されて罠に嵌められていたのだと思い起こされ不愉快な気分になる。その間もエリザベスに抱きつかれたままなのも腹立たしくジャックを怒鳴り散らす。
「クロエさんに誠心誠意お詫びするぞ!皆床に頭をつけるんだ!ここでクロエさんの機嫌を損ねたら次の瞬間には家が潰れると思え!」
このままではクロエが怒って帰り家が崩れ落ちて全ての機能を失うと直感的に判断したジャックの父親は取り乱した声を出しながらも家族3人で並び慌てて懸命に土下座の姿勢をとって語り始める。
最初は驚いていたクロエだったがジャックの家の事情を理解すると次第に痛々しいほどの哀れな家族に、同情にあふれる瞳で涙ぐみそうになるのを我慢しながら見つめていた。どうにか納得してもらえたジャック一家は体の緊張が解けてほっと息をつく。
「また息子と交際して頂いて感謝の言葉もございません!」
ジャックの両親は媚びるような言いまわしでわざとらしいくらいの作り笑顔になりクロエを迎える。両家で話し合った時の怒鳴り声で言い争い互いに攻撃的な顔つきで喧嘩した記憶が残っているクロエはあまりの手のひら返しに困惑した気持ちになり頬を引きつらせ愛想笑いで応じる。
「あまりクロエを困らせるなよ」
「すまんな嬉しくてつい興奮してしまい…悪かった」
「ごめんなさいね。でも本当にあなたに謝りたくて待っていたのよ」
明らかに戸惑い呆然としているクロエに気がついたジャックが両親に軽く注意すると、申し訳なさそうな顔に変化し気持ちが高ぶって浮かれ過ぎていたと頭に手をやりながら反省する父親に深々とお辞儀する母親。
両親のことは気にすることはないとジャックは言っていたけど、実際に会うまでは不安な気持ちが片付かなかったが、丁寧な言葉遣いに十分に気を配ってくれる態度で迎えられて接した印象としてクロエは好感を持つ。
これからはジャックの両親と仲良くやっていけそう。この前は話し合いの場にあの幼馴染の子がいたから喧嘩のような議論がぶつかり互いに睨んでいがみ合った。今日のような感触なら自分の家族とも理解し合えるだろうと自然に口元が緩み心が和む。
「クロエさん!」
「…キャアアアア!!」
ソファに座り気持ちがほっこりしていたクロエに不意打ちのようにエリザベスが声をかけた。ひょこっと突然に目の前に現れた思い出したくない顔に驚きで心臓が止まりそうになり一瞬停止した後に本能的な恐怖に襲われて綺麗な高音で絶叫した。
「どうしたんだクロエ!何があった!」
恋人の尋常でない悲鳴にこれはただ事ではないと感じたジャックは疾風のごとく大急ぎでやって来る。案の定エリザベスがその場にいた。
ジャックと両親とエリザベスでの打ち合わせでは、まずはジャックが家の事情とエリザベスのことを説明するのが第一段階で最後にエリザベスが登場するという計画で準備していたのにエリザベスは気持ちが抑えきれず出てきてしまう。
エリザべスの独りよがりの行動でジャックと両親の今までの苦労が水の泡になってしまい頑張った甲斐がなくなった。
「ちょっと離して!」
現場ではエリザベスに抱きつかれたクロエが振り払おうとしているが、エリザベスはかじりつくように抱きついていて簡単に突き放すことができない様子。弱り切った感じのクロエは屈辱的仕打ちに耐えていた。視線がぶつかりクロエは悔しそうな表情で恨みのこもった瞳で視線をそらさずにじっとジャックを睨み続ける。
「何やっているんだエリザベス!まだ出てくるのが早いよ!勝手に動いたら駄目だろ!」
「クロエさんと話したくて我慢できなかったの!」
「ジャックどういうことなの!私をずっと騙してたの?手紙の言葉も偽りなの?」
「違うんだクロエ!」
「何よ!嘘つき!幼馴染とは距離を置くって言ってたじゃない!」
「クロエ待ってくれ!」
仕方ないなといった感じでジャックがエリザベスに向かって何か説教をしているみたいだが、クロエは警戒した顔になり噛みつくように非難の声を上げる。自分は最初の手紙のやり取りから誤魔化されて罠に嵌められていたのだと思い起こされ不愉快な気分になる。その間もエリザベスに抱きつかれたままなのも腹立たしくジャックを怒鳴り散らす。
「クロエさんに誠心誠意お詫びするぞ!皆床に頭をつけるんだ!ここでクロエさんの機嫌を損ねたら次の瞬間には家が潰れると思え!」
このままではクロエが怒って帰り家が崩れ落ちて全ての機能を失うと直感的に判断したジャックの父親は取り乱した声を出しながらも家族3人で並び慌てて懸命に土下座の姿勢をとって語り始める。
最初は驚いていたクロエだったがジャックの家の事情を理解すると次第に痛々しいほどの哀れな家族に、同情にあふれる瞳で涙ぐみそうになるのを我慢しながら見つめていた。どうにか納得してもらえたジャック一家は体の緊張が解けてほっと息をつく。
125
あなたにおすすめの小説
恋人に夢中な婚約者に一泡吹かせてやりたかっただけ
棗
恋愛
伯爵令嬢ラフレーズ=ベリーシュは、王国の王太子ヒンメルの婚約者。
王家の忠臣と名高い父を持ち、更に隣国の姫を母に持つが故に結ばれた完全なる政略結婚。
長年の片思い相手であり、婚約者であるヒンメルの隣には常に恋人の公爵令嬢がいる。
婚約者には愛を示さず、恋人に夢中な彼にいつか捨てられるくらいなら、こちらも恋人を作って一泡吹かせてやろうと友達の羊の精霊メリー君の妙案を受けて実行することに。
ラフレーズが恋人役を頼んだのは、人外の魔術師・魔王公爵と名高い王国最強の男――クイーン=ホーエンハイム。
濡れた色香を放つクイーンからの、本気か嘘かも分からない行動に涙目になっていると恋人に夢中だった王太子が……。
※小説家になろう・カクヨム様にも公開しています
フッてくれてありがとう
nanahi
恋愛
「子どもができたんだ」
ある冬の25日、突然、彼が私に告げた。
「誰の」
私の短い問いにあなたは、しばらく無言だった。
でも私は知っている。
大学生時代の元カノだ。
「じゃあ。元気で」
彼からは謝罪の一言さえなかった。
下を向き、私はひたすら涙を流した。
それから二年後、私は偶然、元彼と再会する。
過去とは全く変わった私と出会って、元彼はふたたび──
元平民の義妹は私の婚約者を狙っている
カレイ
恋愛
伯爵令嬢エミーヌは父親の再婚によって義母とその娘、つまり義妹であるヴィヴィと暮らすこととなった。
最初のうちは仲良く暮らしていたはずなのに、気づけばエミーヌの居場所はなくなっていた。その理由は単純。
「エミーヌお嬢様は平民がお嫌い」だから。
そんな噂が広まったのは、おそらく義母が陰で「あの子が私を母親だと認めてくれないの!やっぱり平民の私じゃ……」とか、義妹が「時々エミーヌに睨まれてる気がするの。私は仲良くしたいのに……」とか言っているからだろう。
そして学園に入学すると義妹はエミーヌの婚約者ロバートへと近づいていくのだった……。
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
幼馴染の王女様の方が大切な婚約者は要らない。愛してる? もう興味ありません。
藍川みいな
恋愛
婚約者のカイン様は、婚約者の私よりも幼馴染みのクリスティ王女殿下ばかりを優先する。
何度も約束を破られ、彼と過ごせる時間は全くなかった。約束を破る理由はいつだって、「クリスティが……」だ。
同じ学園に通っているのに、私はまるで他人のよう。毎日毎日、二人の仲のいい姿を見せられ、苦しんでいることさえ彼は気付かない。
もうやめる。
カイン様との婚約は解消する。
でもなぜか、別れを告げたのに彼が付きまとってくる。
愛してる? 私はもう、あなたに興味はありません!
一度完結したのですが、続編を書くことにしました。読んでいただけると嬉しいです。
いつもありがとうございます。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
沢山の感想ありがとうございます。返信出来ず、申し訳ありません。
旦那様は私より幼馴染みを溺愛しています。
香取鞠里
恋愛
旦那様はいつも幼馴染みばかり優遇している。
疑いの目では見ていたが、違うと思い込んでいた。
そんな時、二人きりで激しく愛し合っているところを目にしてしまった!?
婚約者は幼馴染みを選ぶようです。
香取鞠里
恋愛
婚約者のハクトには過去に怪我を負わせたことで体が不自由になってしまった幼馴染がいる。
結婚式が近づいたある日、ハクトはエリーに土下座して婚約破棄を申し出た。
ショックではあったが、ハクトの事情を聞いて婚約破棄を受け入れるエリー。
空元気で過ごす中、エリーはハクトの弟のジャックと出会う。
ジャックは遊び人として有名だったが、ハクトのことで親身に話を聞いて慰めてくれる。
ジャックと良い雰囲気になってきたところで、幼馴染みに騙されていたとハクトにエリーは復縁を迫られるが……。
【完結】精神的に弱い幼馴染を優先する婚約者を捨てたら、彼の兄と結婚することになりました
当麻リコ
恋愛
侯爵令嬢アメリアの婚約者であるミュスカーは、幼馴染みであるリリィばかりを優先する。
リリィは繊細だから僕が支えてあげないといけないのだと、誇らしそうに。
結婚を間近に控え、アメリアは不安だった。
指輪選びや衣装決めにはじまり、結婚に関する大事な話し合いの全てにおいて、ミュスカーはリリィの呼び出しに応じて行ってしまう。
そんな彼を見続けて、とうとうアメリアは彼との結婚生活を諦めた。
けれど正式に婚約の解消を求めてミュスカーの父親に相談すると、少し時間をくれと言って保留にされてしまう。
仕方なく保留を承知した一ヵ月後、国外視察で家を空けていたミュスカーの兄、アーロンが帰ってきてアメリアにこう告げた。
「必ず幸せにすると約束する。どうか俺と結婚して欲しい」
ずっと好きで、けれど他に好きな女性がいるからと諦めていたアーロンからの告白に、アメリアは戸惑いながらも頷くことしか出来なかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる