9 / 17
9 想い人からの応援
しおりを挟む
「クロエ様がいなくなればこの国は終わりです。今はまだクロエ様の結界があるから保っているだけで……五日も経てばどうなることか……」
「それならウィリアムも一緒にこの国を捨てませんか?」
「……申し訳ございません。私はクロエ様の護衛でしたが聖女だからこそ……結局は国に仕えている身。要望に沿うことができなくてお詫びいたします」
現在はクロエの結界が辛うじて持ちこたているが、数日も経てば消滅する。そう考えると悲しみにくれた様子のウィリアム。
一緒にこの国を放り出しましょう?クロエの落ち着き払う口調に一瞬だけ理性を失いかける。ところが眉間にしわを寄せ気の毒に感じるほど丁重に断る。
「そんなに心苦しく思わないで。仕方ありませんよ。ウィリアムの立場もありますからね」
国の公職につく騎士。クロエは遺憾に思いながら、それが彼の役目だから止むを得ないと納得する。そんな真っ正直な性格のウィリアムに心を惹かれたのです。
彼は恋のことには察しがよくないので意識に欠けていますが、整い過ぎた顔立ちで貴族の令嬢からの熱烈なファンも多い。
「それでクロエ様はどちらへ?」
「とりあえず領地に戻ってから家族と話し合って隣国に行くかもしれません」
「そうですか……やはりこの国を出て行くという方針なのですね」
少し無言の間があり、気持ちを切り替えたウィリアムは、クロエにこの後の予定を尋ねました。王都を離れてこれから治めている領地に向かうと言い、それからは隣国に歩を運ぶかもしれないと正直に話す。
――離反する。クロエが隣国へ焦点を定めると答えた時、ウィリアムは挫折感を味わう。この国には手助けしないとクロエに現実を突きつけられたようです。
「……はい、ごめんなさい」
「クロエ様が謝罪されることは何一つございません。元はと言えば、クロエ様の聖女の魔力を過小評価する殿下のせいですから」
「ウィリアムありがとう」
「クロエ様の威光を理解すれば、どこへ行かれても神聖なものとして人々から崇拝され大切に扱われますよ。この国と違ってね」
ウィリアムの心細そうな目を見ているのがクロエは辛く切ない。この国を捨て去る自分の罪を詫びる心持ちで頭を下げました。
優しい彼はクロエに、謝罪の必要はスズメの涙ほどもないと柔らかい笑顔で返してくれる。彼の顔に引き込まれて、陽だまりのような愛情を感じて胸が温かくなる。
そればかりか勇気付けてくれます。絶大な効果をもたらす聖女の権威を振りかざせば、何処もかしこも信仰の対象となり、有力者から大衆まで尊敬の眼差しを浴びることでしょう。
「それならウィリアムも一緒にこの国を捨てませんか?」
「……申し訳ございません。私はクロエ様の護衛でしたが聖女だからこそ……結局は国に仕えている身。要望に沿うことができなくてお詫びいたします」
現在はクロエの結界が辛うじて持ちこたているが、数日も経てば消滅する。そう考えると悲しみにくれた様子のウィリアム。
一緒にこの国を放り出しましょう?クロエの落ち着き払う口調に一瞬だけ理性を失いかける。ところが眉間にしわを寄せ気の毒に感じるほど丁重に断る。
「そんなに心苦しく思わないで。仕方ありませんよ。ウィリアムの立場もありますからね」
国の公職につく騎士。クロエは遺憾に思いながら、それが彼の役目だから止むを得ないと納得する。そんな真っ正直な性格のウィリアムに心を惹かれたのです。
彼は恋のことには察しがよくないので意識に欠けていますが、整い過ぎた顔立ちで貴族の令嬢からの熱烈なファンも多い。
「それでクロエ様はどちらへ?」
「とりあえず領地に戻ってから家族と話し合って隣国に行くかもしれません」
「そうですか……やはりこの国を出て行くという方針なのですね」
少し無言の間があり、気持ちを切り替えたウィリアムは、クロエにこの後の予定を尋ねました。王都を離れてこれから治めている領地に向かうと言い、それからは隣国に歩を運ぶかもしれないと正直に話す。
――離反する。クロエが隣国へ焦点を定めると答えた時、ウィリアムは挫折感を味わう。この国には手助けしないとクロエに現実を突きつけられたようです。
「……はい、ごめんなさい」
「クロエ様が謝罪されることは何一つございません。元はと言えば、クロエ様の聖女の魔力を過小評価する殿下のせいですから」
「ウィリアムありがとう」
「クロエ様の威光を理解すれば、どこへ行かれても神聖なものとして人々から崇拝され大切に扱われますよ。この国と違ってね」
ウィリアムの心細そうな目を見ているのがクロエは辛く切ない。この国を捨て去る自分の罪を詫びる心持ちで頭を下げました。
優しい彼はクロエに、謝罪の必要はスズメの涙ほどもないと柔らかい笑顔で返してくれる。彼の顔に引き込まれて、陽だまりのような愛情を感じて胸が温かくなる。
そればかりか勇気付けてくれます。絶大な効果をもたらす聖女の権威を振りかざせば、何処もかしこも信仰の対象となり、有力者から大衆まで尊敬の眼差しを浴びることでしょう。
31
あなたにおすすめの小説
婚約破棄の日の夜に
夕景あき
恋愛
公爵令嬢ロージーは卒業パーティの日、金髪碧眼の第一王子に婚約破棄を言い渡された。第一王子の腕には、平民のティアラ嬢が抱かれていた。
ロージーが身に覚えのない罪で、第一王子に糾弾されたその時、守ってくれたのは第二王子だった。
そんな婚約破棄騒動があった日の夜に、どんでん返しが待っていた·····
妹のために犠牲になることを姉だから仕方ないで片付けないでください。
木山楽斗
恋愛
妹のリオーラは、幼い頃は病弱であった。両親はそんな妹を心配して、いつも甘やかしていた。
それはリオーラが健康体になってからも、続いていた。お医者様の言葉も聞かず、リオーラは病弱であると思い込んでいるのだ。
リオーラは、姉である私のことを侮っていた。
彼女は両親にわがままを言い、犠牲になるのはいつも私だった。妹はいつしか、私を苦しめることに重きを置くようになっていたのだ。
ある時私は、妹のわがままによって舞踏会に無理な日程で参加することになった。
そこで私は、クロード殿下と出会う。彼との出会いは、私の現状を変えていくことになるのだった。
姉妹同然に育った幼馴染に裏切られて悪役令嬢にされた私、地方領主の嫁からやり直します
しろいるか
恋愛
第一王子との婚約が決まり、王室で暮らしていた私。でも、幼馴染で姉妹同然に育ってきた使用人に裏切られ、私は王子から婚約解消を叩きつけられ、王室からも追い出されてしまった。
失意のうち、私は遠い縁戚の地方領主に引き取られる。
そこで知らされたのは、裏切った使用人についての真実だった……!
悪役令嬢にされた少女が挑む、やり直しストーリー。
虐げられたアンネマリーは逆転勝利する ~ 罪には罰を
柚屋志宇
恋愛
侯爵令嬢だったアンネマリーは、母の死後、後妻の命令で屋根裏部屋に押し込められ使用人より酷い生活をすることになった。
みすぼらしくなったアンネマリーは頼りにしていた婚約者クリストフに婚約破棄を宣言され、義妹イルザに婚約者までも奪われて絶望する。
虐げられ何もかも奪われたアンネマリーだが屋敷を脱出して立場を逆転させる。
※小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
婚約破棄はまだですか?─豊穣をもたらす伝説の公爵令嬢に転生したけど、王太子がなかなか婚約破棄してこない
nanahi
恋愛
火事のあと、私は王太子の婚約者:シンシア・ウォーレンに転生した。王国に豊穣をもたらすという伝説の黒髪黒眼の公爵令嬢だ。王太子は婚約者の私がいながら、男爵令嬢ケリーを愛していた。「王太子から婚約破棄されるパターンね」…私はつらい前世から解放された喜びから、破棄を進んで受け入れようと自由に振る舞っていた。ところが王太子はなかなか破棄を告げてこなくて…?
なんでも思い通りにしないと気が済まない妹から逃げ出したい
木崎優
恋愛
「君には大変申し訳なく思っている」
私の婚約者はそう言って、心苦しそうに顔を歪めた。「私が悪いの」と言いながら瞳を潤ませている、私の妹アニエスの肩を抱きながら。
アニエスはいつだって私の前に立ちはだかった。
これまで何ひとつとして、私の思い通りになったことはない。すべてアニエスが決めて、両親はアニエスが言うことならと頷いた。
だからきっと、この婚約者の入れ替えも両親は快諾するのだろう。アニエスが決めたのなら間違いないからと。
もういい加減、妹から離れたい。
そう思った私は、魔術師の弟子ノエルに結婚を前提としたお付き合いを申し込んだ。互いに利のある契約として。
だけど弟子だと思ってたその人は実は魔術師で、しかも私を好きだったらしい。
堅実に働いてきた私を無能と切り捨てたのはあなた達ではありませんか。
木山楽斗
恋愛
聖女であるクレメリアは、謙虚な性格をしていた。
彼女は、自らの成果を誇示することもなく、淡々と仕事をこなしていたのだ。
そんな彼女を新たに国王となったアズガルトは軽んじていた。
彼女の能力は大したことはなく、何も成し遂げられない。そう判断して、彼はクレメリアをクビにした。
しかし、彼はすぐに実感することになる。クレメリアがどれ程重要だったのかを。彼女がいたからこそ、王国は成り立っていたのだ。
だが、気付いた時には既に遅かった。クレメリアは既に隣国に移っており、アズガルトからの要請など届かなかったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる