聖女の魔力を失い国が崩壊。婚約破棄したら、彼と幼馴染が事故死した。

佐藤 美奈

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9 想い人からの応援

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「クロエ様がいなくなればこの国は終わりです。今はまだクロエ様の結界があるから保っているだけで……五日も経てばどうなることか……」
「それならウィリアムも一緒にこの国を捨てませんか?」
「……申し訳ございません。私はクロエ様の護衛でしたが聖女だからこそ……結局は国に仕えている身。要望に沿うことができなくてお詫びいたします」

現在はクロエの結界が辛うじて持ちこたているが、数日も経てば消滅する。そう考えると悲しみにくれた様子のウィリアム。

一緒にこの国を放り出しましょう?クロエの落ち着き払う口調に一瞬だけ理性を失いかける。ところが眉間にしわを寄せ気の毒に感じるほど丁重に断る。

「そんなに心苦しく思わないで。仕方ありませんよ。ウィリアムの立場もありますからね」

国の公職につく騎士。クロエは遺憾に思いながら、それが彼の役目だから止むを得ないと納得する。そんな真っ正直な性格のウィリアムに心を惹かれたのです。

彼は恋のことには察しがよくないので意識に欠けていますが、整い過ぎた顔立ちで貴族の令嬢からの熱烈なファンも多い。


「それでクロエ様はどちらへ?」
「とりあえず領地に戻ってから家族と話し合って隣国に行くかもしれません」
「そうですか……やはりこの国を出て行くという方針なのですね」

少し無言の間があり、気持ちを切り替えたウィリアムは、クロエにこの後の予定を尋ねました。王都を離れてこれから治めている領地に向かうと言い、それからは隣国に歩を運ぶかもしれないと正直に話す。

――離反する。クロエが隣国へ焦点を定めると答えた時、ウィリアムは挫折感を味わう。この国には手助けしないとクロエに現実を突きつけられたようです。

「……はい、ごめんなさい」
「クロエ様が謝罪されることは何一つございません。元はと言えば、クロエ様の聖女の魔力を過小評価する殿下のせいですから」
「ウィリアムありがとう」
「クロエ様の威光を理解すれば、どこへ行かれても神聖なものとして人々から崇拝され大切に扱われますよ。この国と違ってね」

ウィリアムの心細そうな目を見ているのがクロエは辛く切ない。この国を捨て去る自分の罪を詫びる心持ちで頭を下げました。

優しい彼はクロエに、謝罪の必要はスズメの涙ほどもないと柔らかい笑顔で返してくれる。彼の顔に引き込まれて、陽だまりのような愛情を感じて胸が温かくなる。

そればかりか勇気付けてくれます。絶大な効果をもたらす聖女の権威を振りかざせば、何処もかしこも信仰の対象となり、有力者から大衆まで尊敬の眼差しを浴びることでしょう。
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