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10 道中のトラブル
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「どうかしたのかしら?」
領地に向かう馬車の中。王都から離れて小窓から景色を眺めていると突然馬車が停止する。まだ予定している到着に早いのでクロエは不思議に思う。
「少し確認してきます」
何かあったのか?どうやら前方で馬車が止まっているらしい。御者がそう言うと馬車の隣を馬で並走していた冒険者風の護衛の数人と共に向かった。
「……」
クロエは心配そうな顔で物思いにふける。
しばらくしたら戻ってきました。誰も彼も浮かない面持ちにクロエは不安を感じます。
「魔物に襲われたそうでほとんどの者が傷を負って休憩していましたよ」
「それは大変……!直ぐに治癒魔法で回復を……」
「クロエ様よろしいのですか?クロエ様の旅路に悪影響がもたらされるかも……」
「どのような方々でしたか?」
「あれは隣国の騎士団でしょうな。団長は言葉遣いも丁寧で人柄も問題はなさそうですが……実際のところは分かりません」
話を聞かせてもらったところ、クロエは迷いを捨てて手助けする決意をした。しかし、おっしゃる通りと容易に頷くわけにいかない。
彼らはクロエの道中の護衛。無事に領地に連れて行くのが任務であり、厄介ごとを回避するのは当然の判断。仮に危害を加えられる可能性もある。わざわざクロエを危険な目にあわせる必要はない。
混乱に見舞われるかもしれないと忠告されました。でもクロエは見て見ぬ振りは出来ないと答える。そして相手の人格を尋ねるのです。
詳しくは分からないけど隣国の騎士団だという。代表者は礼節をわきまえた男性で当たり障りなく、このような悲惨な状況になった理由を説明してくれた。
「これはひどい……!」
数十人の騎士達が弱々しい顔つきで横たわっている。比較的軽症の人に、瀕死の重傷を負ってる人もそれなりにいて、即刻治療しなければ命が危ない。
「大丈夫ですか?」
「くっ……なんだ嬢ちゃん……魔物に襲われて情けないがごらんの有り様だよ」
「痛ましい」
さっそくクロエは話しかけると、痛みが全身を駆け抜けて苦しみの声を上げる。クロエは気の毒で心の中がすさむ。
「薬を持っていれば金は払うから譲ってくれないか?足りないんだ……」
「申し訳ありませんが薬は備えておりません」
「そうかい……」
「ですが、こんなことができますよ」
仲間達の怪我で薬は全て使い果たす。クロエに薬を引き渡してほしいと援助を求める目で悲願しますが、薬の持ち合わせはない。そう告げると男性は無念の表情を浮かべて視線を下に向ける。
クロエが手で触れて回復魔法を念じると温かい光に包まれ、深くダメージを負っていた腕の傷があっと言う間にふさがっていく。
領地に向かう馬車の中。王都から離れて小窓から景色を眺めていると突然馬車が停止する。まだ予定している到着に早いのでクロエは不思議に思う。
「少し確認してきます」
何かあったのか?どうやら前方で馬車が止まっているらしい。御者がそう言うと馬車の隣を馬で並走していた冒険者風の護衛の数人と共に向かった。
「……」
クロエは心配そうな顔で物思いにふける。
しばらくしたら戻ってきました。誰も彼も浮かない面持ちにクロエは不安を感じます。
「魔物に襲われたそうでほとんどの者が傷を負って休憩していましたよ」
「それは大変……!直ぐに治癒魔法で回復を……」
「クロエ様よろしいのですか?クロエ様の旅路に悪影響がもたらされるかも……」
「どのような方々でしたか?」
「あれは隣国の騎士団でしょうな。団長は言葉遣いも丁寧で人柄も問題はなさそうですが……実際のところは分かりません」
話を聞かせてもらったところ、クロエは迷いを捨てて手助けする決意をした。しかし、おっしゃる通りと容易に頷くわけにいかない。
彼らはクロエの道中の護衛。無事に領地に連れて行くのが任務であり、厄介ごとを回避するのは当然の判断。仮に危害を加えられる可能性もある。わざわざクロエを危険な目にあわせる必要はない。
混乱に見舞われるかもしれないと忠告されました。でもクロエは見て見ぬ振りは出来ないと答える。そして相手の人格を尋ねるのです。
詳しくは分からないけど隣国の騎士団だという。代表者は礼節をわきまえた男性で当たり障りなく、このような悲惨な状況になった理由を説明してくれた。
「これはひどい……!」
数十人の騎士達が弱々しい顔つきで横たわっている。比較的軽症の人に、瀕死の重傷を負ってる人もそれなりにいて、即刻治療しなければ命が危ない。
「大丈夫ですか?」
「くっ……なんだ嬢ちゃん……魔物に襲われて情けないがごらんの有り様だよ」
「痛ましい」
さっそくクロエは話しかけると、痛みが全身を駆け抜けて苦しみの声を上げる。クロエは気の毒で心の中がすさむ。
「薬を持っていれば金は払うから譲ってくれないか?足りないんだ……」
「申し訳ありませんが薬は備えておりません」
「そうかい……」
「ですが、こんなことができますよ」
仲間達の怪我で薬は全て使い果たす。クロエに薬を引き渡してほしいと援助を求める目で悲願しますが、薬の持ち合わせはない。そう告げると男性は無念の表情を浮かべて視線を下に向ける。
クロエが手で触れて回復魔法を念じると温かい光に包まれ、深くダメージを負っていた腕の傷があっと言う間にふさがっていく。
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