聖女の魔力を失い国が崩壊。婚約破棄したら、彼と幼馴染が事故死した。

佐藤 美奈

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15 部下達の反発

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「クロエからしたら恩を仇で返すような僕とは別れて正解だっただろう」

今まで影ながら国を守り続けてくれた元婚約者に思いを募らせる。心労でぐったりした顔のガブリエル殿下は、食事もままならず体重が日々減量していた。

魔物によってこの国は無残に崩壊し、現在は復興に向けて生き残った人々と歩み続けている。だが、予想以上の過酷な現実に誰もが耐えられるわけもなく、心の折れた国民は悲しく命の花を散らす。

このような絶望的な状況になっているのは、聖女クロエを追い出したガブリエルのせいに他ならない。最近は王子に対して側近達も厳しい意見を交わしている。

「我々は今、絶望の淵に立たされている。その原因は全て殿下にある」
「婚約者の聖女様を振って追放したのだろう?」
「あの絶世の美女のクロエ様を……信じられない。頭がいかれてる」
「殿下はクロエ様の気持ちを考えられない情けない生き物だ」

城も崩れて会議室も無くなり、簡易施設ともいえないボロい小屋の中。国が活気に満ちていた時に大臣の地位にいた者達が、5人ほどで一緒にこの小屋で暮らしていた。

莫大な富を築いていたのに国が沈み、生きた心地のしない暮らしに底知れぬ失望と悲しみ。自分達が生きてるか死んでるかも分からなくなっている。

口から出るのはため息ばかり。後は王子の悪口で会話が膨らむ。何十年間生きてきて、最初はこんな屈辱的な生活は耐えられなかったけどすっかり慣れてしまった。


「今からでもクロエに謝ればどうにかなるかな?お前達どう思う?意見を聞かせてほしい」

数日後、ガブリエルと側近達は話し合いをしていた。場所は王子が住んでいる吹けば飛ぶような家屋。壁のところどころに穴が開いていて、今の季節は寒く王子はいつも鼻水をみっともなく垂らして凍えそうです。

「殿下よろしいでしょうか?」
「なんだ?」
「もはや国とは呼べませんが、反省するのは殿下自身だと考えております」
「僕もその通りだと思う」
「殿下は人としてダメだ!お前は人間失格!」
「今さら謝罪してもクロエ様の信頼が戻ることは絶対にないぞ!」
「王子みたいなアホ垂れを捨てたクロエ様のご判断は正しいと思います」
「そうだな……」
「それに現在はどこにいらっしゃるのかも分からない……」
「クロエ様はあんな男と結婚することにならなくて良かったと、今頃は美男子に温かく慰められているだろうな」

好き放題に暴言を浴びせられるガブリエル。しかし本当のことなので反論もできない。自分の批判で側近達の気が晴れるならと甘んじて受ける。

彼は国を地獄に変えた張本人なのだから、この程度の憎まれ口では、むしろ生ぬるいだろう。だが彼のストレスも半端なく、王子と側近達が絶交する日も近い。


*****
新作「婚約者の王子が結婚している幼馴染を妊娠させる。婚約破棄になって別れたけど助けてと泣きついてきた。」を投稿しました。よろしくお願いします。
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