「私も新婚旅行に一緒に行きたい」彼を溺愛する幼馴染がお願いしてきた。彼は喜ぶが二人は喧嘩になり別れを選択する。

佐藤 美奈

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第16話

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「イリス様どうかお怒りにならないでください」
「駄目です!旅行から帰ったら私はハリーと別れます。あなたのご両親も交えて話し合い、かなり重い罰を与えることになるでしょうね」

このままでは本格的にヤバいのかもしれない。自分に怒りの矛先を向けられてしまったエレナは、イリスの怒りをやわらげるよう全力を尽くして努めました。

イリスは高らかにハリーとの離婚を宣言する。とんでもない事態にまで発展してしまった。エレナは背筋に冷や汗を流して震え始める。どんなに頑張って身体を手で押さえても震えが止まらない。

どのような災難が自分に振りかかってくるのか?そう考えただけでエレナは、収拾がつかないほど感情が戸惑いを覚える。

「今までのご無礼を、お許し願います!」

神経を刺激するエレナの助けを求める悲痛な叫びが響く。エレナは床に額をこすりつけて何度も謝罪の言葉を口にした。

エレナは半泣きになって、気の毒に思うほどの惨めな姿をしていたが、イリスは平常心を保って腕を組んで冷たく見下ろしている。

「許すつもりはないので謝罪の言葉は必要ありません。悪あがきしないでもう諦めなさい」

誰に対しても、慈悲の心に溢れる愛情のこもったイリスの顔からは、感情が限りなく消えて冷たい声でこう告げた。

「この状況から私はどうすれば助かるの……?」

顔を伏せながら吐息のような声でエレナはつぶやく。公爵令嬢のイリスと子爵令嬢のエレナでは影響力に圧倒的な差がある。格下ならどうにかなるかもしれないが相手が悪すぎる。

公爵家と言えば、国家の中にある権力を掌握していると言っても決して大げさではない。元々一方的に非があるエレナの主張する意見など問答無用で排除されるだろう。

そんな相手の娘に喧嘩を売ってしまったことに、今さら遅いが自分の認識の甘さを深く反省しているのであった。

エレナが恐れていることは他にもある。この出来事が世間に公になれば、エレナの子爵家はお家取り潰しになって当主である父は爵位を剥奪されるだけでなく、全ての財産を没収される。

両親はそれで許されるだろうが、この問題を引き起こした原因のエレナは処刑されるかもしれない。まず間違いなく死が待っているとエレナは確信していた。

仮に命は助かったとしても、一生涯を獄中に幽閉された状態で孤独にあの世に旅立つことになる。どうにか牢屋に入らなくて済んでも、没落した貴族令嬢の末路は情けないもので貧しい生活へと落ちていく。

「ハリーは何やってるの?」

エレナはイリスに謝るのに夢中になるあまり、頭が混乱していたのでハリーの存在をすっかり忘れていた。
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