幼馴染の勇者パーティーから「無能で役立たず」と言われて追放された女性は特別な能力を持っている世界最強。

第24話 幼馴染の勇者パーティー視点5

「上手くいきましたね」
「よっしゃ！これで美味いものが食えるぜ」
「でも、まさか違う強盗集団があの男を狙っていたなんてね……」
「結果的に僕たちがあの商人の命を救ったことには変わりないんだから良いじゃないか？」
「それもそうね。ほんと私たちって幸運に恵まれているわ！」

勇者パーティーは、自然な喜びを感じで誰彼ともなく抱き合って、愉快でたまらない表情を隠せないでいた。自分たちが強盗しようと思っていた男を助けて、大いに感謝されてお金まで貰ったのだ。みんな頭の線が一本切れているが、なんとも悪運の強い連中の集まりであろうか？

どうやら客が来たようで商人の男は少しの間、席を外していた。来客との話を終えて部屋へ戻ってくる。勇者パーティーの一同は、部屋をノックする音が聞こえるとだらけた姿勢を正して迎えた。

「失礼いたしました。急な来客の対応をしておりました」
「いえいえ、お気になさらずに」

男は30分ほど離席していたことを詫びてから腰をおろす。アルスは飛び入りで客が来たら仕方ありませんよと、男に対して理解ある受け答えをした。

「あの、それでですね。よろしければ今日は泊まっていかれませんか？」

男は席に着くなり、気後れした曖昧あいまいな態度で話しはじめた。驚いたことに勇者パーティーにうちに宿泊しませんか？と言う。男の家は城みたいな大豪邸で、家族と多くの使用人と暮らしている。部屋の数はゆうに50は超えているであろう。しかもどの室内にも華美な装飾が施ほどこされている。

「え……？」
「申し訳ございません。やっぱり無理ですよね？勇者様はお忙しいですから……」

勇者パーティーの全員は、思いもよらない家主からの言葉に意外という顔つきで固まった。するとそれを察した男は慌てた様子で謝罪する。彼らは国王陛下に認められた勇者パーティーなのです。とても忙しい毎日を送っているに違いないだろうと考えた。

男が申し訳なさそうに言ったのは、良かれと思ってやった行動でも相手に迷惑をかけるのでは？と不意に思ったのだ。ですが自分を強盗集団から救ってくれた恩人である。彼らが助けてくれなかったら殺される運命だったかもしれない。そんな最大の恩人に義理を果たしたいと思うのは当たり前の感情でした。

「いや、特に予定はないから問題はないよ。なぁ皆」

アルスは、はっと気づいた表情になって言葉を口にする。現在自分たちは、予定がぎっしりと詰まっているというわけではない。何しろ男と会うまで無類のギャンブル好きの彼らはギャンブル場で、有り金を全部つぎ込んでしまった救いようのないバカなのである。

さらに金が無くなって困り果てて、正面に座っている男を襲撃しようと計画していた。異常者のそれに他ならない危険すぎる奴らなのです。