母が病気で亡くなり父と継母と義姉に虐げられる。幼馴染の王子に溺愛され結婚相手に選ばれたら家族の態度が変わった。

佐藤 美奈

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第4話

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「お前を連れて行くわけにはいかない。なぜなら着ていくドレスもないしダンスもできない。ルージュの足を引っ張るようなことになるのは目に見えている。出しゃばることのないように陰でじっとしてるだけでも迷惑なのさ」

バーバラとルージュは城に向けて騒がしく出発した。その時もアイシャにとても下品な悪態をわめきちらし、城には連れて行かないと言い放つのです。恐ろしく悪魔そのものを思わせる容姿でした。

「早くドレスを探しましょう」

邪魔者がいなくなったところでアイシャは行動を開始しました。二人の部屋に行き息をのむほどの華美なドレスを見つけました。アイシャがモニカから譲り受けたは宝石はバーバラの部屋にありました。

「これでパーティに行ける」

アイシャは汚れた服を脱いでドレスに着替え城に向かう馬車に乗せてもらい到着し会場に歩を進めました。

けれどもバーバラもルージュも誰もがアイシャだとは気づかぬままで、あの美しさはどこかの国の王女ではないかと勝手に推測していたのでした。

それほどドレスを着たアイシャの姿は輝きを放ち可憐に見えて同様に繊細さと品のよさも感じられたのです。

「アイシャに似てない?」
「そんなわけないわ。あんな子が眩しい程に美しいわけないでしょう?」
「お母様それもそうですわね」

バーバラもルージュはまさかアイシャだとは認めたくもなく、今頃は家で埃まみれになって掃除でもしてるんだろうとほくそ笑んでいました。

「僕と踊ってくださいませんか」
「はい」

ナルセスはアイシャのところへ駆け寄り手を取り踊ってほしいと伝えて一緒に踊りました。

「まさかアイシャ?」
「そうよナルセス」
「美しすぎて分からなかったよ」

夢かもしれない。ナルセスはそんな感覚を抱かせるほどに見違えたアイシャの姿に心が躍り、好きだと言う気持ちを再認識する。

「ナルセス王子、私と踊っていただけませんか?」
「申し訳ない。僕にはもう心に決めた人がいるんだ」

その後は、他の女性が踊ってくださいとナルセスに声をかけても辞退して、他の誰とも踊ることはなくずっとアイシャの手を握りしめて片時も離しませんでした。

「美しいお姫様、私と少しお話しませんか?」
「この方は僕と結婚が決まった相手です」
「王子の相手ですか……これは失礼いたしました」

他の男性がアイシャに手を差し出して踊りを申し込んできてもナルセスは、自分の結婚相手だと言いその男性の手を素早く払いのける。

アイシャとナルセスは夜深くまで踊りその日結ばれました。翌日には二人の結婚を発表しパーティのフィナーレに婚礼の式が挙げられました。
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