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第7話
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「……アリーナ……アリーナ……」
声がかすかに耳に流れ込んでくる。誰かに呼ばれてるような騒がしい声が聞こえてアリーナは目を覚ます。昨日は散々な日であった。レオナルドの誕生日パーティーで自分たちの婚約発表のはずが、約束を破棄されたあげく、彼の幼馴染のカトリーヌの妊娠と結婚に塗り替えられてしまった。
「アリーナッ!」
「……ミ、ミレーユ?」
ふと目を開けた瞬間に親友と目が合った。寝ているアリーナの顔を覗き込んでいたようでした。突然の大声にも驚かされてドキッと心臓のとまった心地で、ミレーユを見てきょとんとした表情を浮かべる。
「昨日はレオナルド殿下に怒りが収まりませんでしたわ!アリーナに婚約破棄を宣言するなんて頭がどうかしてます!!」
今は朝食をすませた後、一緒に紅茶を飲んでいる。アリーナはしっとりと焼き上げられたケーキを口に運びながら、ミレーユの話に黙って耳を傾けていた。
昨日の誕生日パーティーでアリーナが立ち去った後に、ミレーユはレオナルドに面と向かって厳しい批判を繰り返して帰ったと言う。会場で怒ってくれたことにも、心配してくれて大急ぎで駆けつけてくれたことにも純粋にありがたく思う。
「ミレーユありがとう」
「……そんなに改まってお礼を言われると照れてしまいます……」
アリーナは冷静な気持ちでミレーユの目をじっと見つめていると、レオナルドの文句を言わずにいられなかったミレーユが左の胸がときめいて静かになる。
二人の心がひき寄せられて感謝の言葉を言うアリーナに、ミレーユは顔が少しずつ赤くなり照れくさそうな表情に変わっていく。二人に涙は流れていないが胸に何かがこみあげてきて、背中に両手を回して強く抱きしめ合う。
長年の友人のアリーナとミレーユは、こうやって互いに支え続けてきた。抱きしめ合うと体から力が抜けて興奮した気持ちが落ち着いてくるのです。今はミレーユのレオナルドに対して煮えたぎった怒りの感情はすっかり和らいでいた。
「レオナルド殿下に婚約破棄されたことは、もう気にしていません。彼には愛情の欠片も残ってないです」
「それを聞いてやっと安心したわ」
「逆にとても居心地のいい心境ですよ?」
「これからあの男は神罰を受けますからね」
アリーナは負け惜しみで強がって言っているのではない。レオナルドが謝ってきても結婚なんか絶対にしないと決めた。彼が色々な病気を発症して苦しくて泣きついてきても助けないと心に固く誓ったのです。
この先レオナルドには恐ろしい悲劇が待ち受けていることを二人は知っているので、つい嬉しくて口元が自然に緩んでしまい晴れやかな笑い声をもらしていた。
声がかすかに耳に流れ込んでくる。誰かに呼ばれてるような騒がしい声が聞こえてアリーナは目を覚ます。昨日は散々な日であった。レオナルドの誕生日パーティーで自分たちの婚約発表のはずが、約束を破棄されたあげく、彼の幼馴染のカトリーヌの妊娠と結婚に塗り替えられてしまった。
「アリーナッ!」
「……ミ、ミレーユ?」
ふと目を開けた瞬間に親友と目が合った。寝ているアリーナの顔を覗き込んでいたようでした。突然の大声にも驚かされてドキッと心臓のとまった心地で、ミレーユを見てきょとんとした表情を浮かべる。
「昨日はレオナルド殿下に怒りが収まりませんでしたわ!アリーナに婚約破棄を宣言するなんて頭がどうかしてます!!」
今は朝食をすませた後、一緒に紅茶を飲んでいる。アリーナはしっとりと焼き上げられたケーキを口に運びながら、ミレーユの話に黙って耳を傾けていた。
昨日の誕生日パーティーでアリーナが立ち去った後に、ミレーユはレオナルドに面と向かって厳しい批判を繰り返して帰ったと言う。会場で怒ってくれたことにも、心配してくれて大急ぎで駆けつけてくれたことにも純粋にありがたく思う。
「ミレーユありがとう」
「……そんなに改まってお礼を言われると照れてしまいます……」
アリーナは冷静な気持ちでミレーユの目をじっと見つめていると、レオナルドの文句を言わずにいられなかったミレーユが左の胸がときめいて静かになる。
二人の心がひき寄せられて感謝の言葉を言うアリーナに、ミレーユは顔が少しずつ赤くなり照れくさそうな表情に変わっていく。二人に涙は流れていないが胸に何かがこみあげてきて、背中に両手を回して強く抱きしめ合う。
長年の友人のアリーナとミレーユは、こうやって互いに支え続けてきた。抱きしめ合うと体から力が抜けて興奮した気持ちが落ち着いてくるのです。今はミレーユのレオナルドに対して煮えたぎった怒りの感情はすっかり和らいでいた。
「レオナルド殿下に婚約破棄されたことは、もう気にしていません。彼には愛情の欠片も残ってないです」
「それを聞いてやっと安心したわ」
「逆にとても居心地のいい心境ですよ?」
「これからあの男は神罰を受けますからね」
アリーナは負け惜しみで強がって言っているのではない。レオナルドが謝ってきても結婚なんか絶対にしないと決めた。彼が色々な病気を発症して苦しくて泣きついてきても助けないと心に固く誓ったのです。
この先レオナルドには恐ろしい悲劇が待ち受けていることを二人は知っているので、つい嬉しくて口元が自然に緩んでしまい晴れやかな笑い声をもらしていた。
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