誕生日パーティーで婚約破棄を発表された「幼馴染が妊娠したから結婚する!」王子が体を壊して地獄の苦しみを経験する。

佐藤 美奈

文字の大きさ
7 / 66

第7話

しおりを挟む
「……アリーナ……アリーナ……」

声がかすかに耳に流れ込んでくる。誰かに呼ばれてるような騒がしい声が聞こえてアリーナは目を覚ます。昨日は散々な日であった。レオナルドの誕生日パーティーで自分たちの婚約発表のはずが、約束を破棄されたあげく、彼の幼馴染のカトリーヌの妊娠と結婚に塗り替えられてしまった。

「アリーナッ!」
「……ミ、ミレーユ?」

ふと目を開けた瞬間に親友と目が合った。寝ているアリーナの顔を覗き込んでいたようでした。突然の大声にも驚かされてドキッと心臓のとまった心地で、ミレーユを見てきょとんとした表情を浮かべる。


「昨日はレオナルド殿下に怒りが収まりませんでしたわ!アリーナに婚約破棄を宣言するなんて頭がどうかしてます!!」

今は朝食をすませた後、一緒に紅茶を飲んでいる。アリーナはしっとりと焼き上げられたケーキを口に運びながら、ミレーユの話に黙って耳を傾けていた。

昨日の誕生日パーティーでアリーナが立ち去った後に、ミレーユはレオナルドに面と向かって厳しい批判を繰り返して帰ったと言う。会場で怒ってくれたことにも、心配してくれて大急ぎで駆けつけてくれたことにも純粋にありがたく思う。

「ミレーユありがとう」
「……そんなに改まってお礼を言われると照れてしまいます……」

アリーナは冷静な気持ちでミレーユの目をじっと見つめていると、レオナルドの文句を言わずにいられなかったミレーユが左の胸がときめいて静かになる。

二人の心がひき寄せられて感謝の言葉を言うアリーナに、ミレーユは顔が少しずつ赤くなり照れくさそうな表情に変わっていく。二人に涙は流れていないが胸に何かがこみあげてきて、背中に両手を回して強く抱きしめ合う。

長年の友人のアリーナとミレーユは、こうやって互いに支え続けてきた。抱きしめ合うと体から力が抜けて興奮した気持ちが落ち着いてくるのです。今はミレーユのレオナルドに対して煮えたぎった怒りの感情はすっかり和らいでいた。

「レオナルド殿下に婚約破棄されたことは、もう気にしていません。彼には愛情の欠片かけらも残ってないです」
「それを聞いてやっと安心したわ」
「逆にとても居心地のいい心境ですよ?」
「これからあの男は神罰しんばつを受けますからね」

アリーナは負け惜しみで強がって言っているのではない。レオナルドが謝ってきても結婚なんか絶対にしないと決めた。彼が色々な病気を発症して苦しくて泣きついてきても助けないと心に固く誓ったのです。

この先レオナルドには恐ろしい悲劇が待ち受けていることを二人は知っているので、つい嬉しくて口元が自然に緩んでしまい晴れやかな笑い声をもらしていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

そんなに妹が好きなら死んであげます。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』 フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。 それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。 そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。 イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。 異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。 何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……

フッてくれてありがとう

nanahi
恋愛
「子どもができたんだ」 ある冬の25日、突然、彼が私に告げた。 「誰の」 私の短い問いにあなたは、しばらく無言だった。 でも私は知っている。 大学生時代の元カノだ。 「じゃあ。元気で」 彼からは謝罪の一言さえなかった。 下を向き、私はひたすら涙を流した。 それから二年後、私は偶然、元彼と再会する。 過去とは全く変わった私と出会って、元彼はふたたび──

元平民の義妹は私の婚約者を狙っている

カレイ
恋愛
 伯爵令嬢エミーヌは父親の再婚によって義母とその娘、つまり義妹であるヴィヴィと暮らすこととなった。  最初のうちは仲良く暮らしていたはずなのに、気づけばエミーヌの居場所はなくなっていた。その理由は単純。 「エミーヌお嬢様は平民がお嫌い」だから。  そんな噂が広まったのは、おそらく義母が陰で「あの子が私を母親だと認めてくれないの!やっぱり平民の私じゃ……」とか、義妹が「時々エミーヌに睨まれてる気がするの。私は仲良くしたいのに……」とか言っているからだろう。  そして学園に入学すると義妹はエミーヌの婚約者ロバートへと近づいていくのだった……。

「義妹に譲れ」と言われたので、公爵家で幸せになります

恋せよ恋
恋愛
「しっかり者の姉なら、婚約者を妹に譲ってあげなさい」 「そうだよ、バネッサ。君なら、わかるだろう」 十五歳の冬。父と婚約者パトリックから放たれた無慈悲な言葉。 再婚相手の連れ子・ナタリアの図々しさに耐えてきたバネッサは、 その瞬間に決意した。 「ええ、喜んで差し上げますわ」 将来性のない男も、私を軽んじる家族も、もういらない。 跡継ぎの重責から解放されたバネッサは、その類まれなる知性を見込まれ、 王国の重鎮・ヴィンセント公爵家へ嫁ぐことに。 「私は、私を一番に愛してくれる場所で幸せになります!」 聡明すぎる令嬢による、自立と逆転のハッピーエンド。 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!

【完結】貴方の後悔など、聞きたくありません。

なか
恋愛
学園に特待生として入学したリディアであったが、平民である彼女は貴族家の者には目障りだった。 追い出すようなイジメを受けていた彼女を救ってくれたのはグレアルフという伯爵家の青年。 優しく、明るいグレアルフは屈託のない笑顔でリディアと接する。 誰にも明かさずに会う内に恋仲となった二人であったが、 リディアは知ってしまう、グレアルフの本性を……。 全てを知り、死を考えた彼女であったが、 とある出会いにより自分の価値を知った時、再び立ち上がる事を選択する。 後悔の言葉など全て無視する決意と共に、生きていく。

【完結】要らないと言っていたのに今更好きだったなんて言うんですか?

星野真弓
恋愛
 十五歳で第一王子のフロイデンと婚約した公爵令嬢のイルメラは、彼のためなら何でもするつもりで生活して来た。  だが三年が経った今では冷たい態度ばかり取るフロイデンに対する恋心はほとんど冷めてしまっていた。  そんなある日、フロイデンが「イルメラなんて要らない」と男友達と話しているところを目撃してしまい、彼女の中に残っていた恋心は消え失せ、とっとと別れることに決める。  しかし、どういうわけかフロイデンは慌てた様子で引き留め始めて――

我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜
恋愛
とある侯爵家で催された夜会、伯爵令嬢である私ことアンリエットは、婚約者である侯爵令息のギルバートと逸れてしまい、彼の姿を探して庭園の方に足を運んでいた。 そこで目撃してしまったのだ。 婚約者が幼馴染みの男爵令嬢キャロラインと愛し合っている場面を。しかもギルバートは私の家の乗っ取りを企んでいるらしい。 よろしい! おバカな二人に鉄槌を下しましょう!  長くなって来たので長編に変更しました。

【完結】陛下、花園のために私と離縁なさるのですね?

ファンタジー
ルスダン王国の王、ギルバートは今日も執務を妻である王妃に押し付け後宮へと足繁く通う。ご自慢の後宮には3人の側室がいてギルバートは美しくて愛らしい彼女たちにのめり込んでいった。 世継ぎとなる子供たちも生まれ、あとは彼女たちと後宮でのんびり過ごそう。だがある日うるさい妻は後宮を取り壊すと言い出した。ならばいっそ、お前がいなくなれば……。 ざまぁ必須、微ファンタジーです。

処理中です...