誕生日パーティーで婚約破棄を発表された「幼馴染が妊娠したから結婚する!」王子が体を壊して地獄の苦しみを経験する。

佐藤 美奈

文字の大きさ
14 / 66

第14話

しおりを挟む
「アリーナ令嬢、息子を……どうかよろしく頼む!」
「アリーナ様……お願いだからうちの子と付き合ってあげて……」

レオナルドは、たちまち恋に落ちてアリーナを思うと気持ちが乱れると、ご両親様は流れるような口調で語り出した。夫婦で互いに協力し合って、各方面から大絶賛だいぜっさんされる神の彼女を落としにきたのです。

ほこり高く立派な人物であると世間で認められる国王は、自分の思いどおりにならなくて駄々だだをこねる子供みたいに情けない声で泣いて頼み込み、王妃はアリーナの両手を握りしめて祈るような目で見つめてくる。

心優しい女性のアリーナは、無下にしりぞける気持ちにはなれなかった。


――結局、彼のご両親様に押し切られる形で恋人として付き合い始めた。レオナルドはあこがれ続けてきた女性と結ばれた時は、嬉しくて落ち着いていられなくて部屋の中を走り回りながら声を上げていました。

彼女はその姿を見ながら、何がなんだか分からなかったけど彼が喜んでいるようなので、魅力的に見える澄んだ緑の瞳でじっと見つめて笑顔を見せる。

飛び回っているレオナルドに名前を呼ばれた時は、手を軽く振って愛想よく優しい眼差まなざしを向けていた。今まで一度も付き合ったことがないので、純粋じゅんすいな彼女は男の人はだと思っていたのです。

「私の病気を治してくれた唯一無二ゆいいつむにの女性だ。私はいつも彼女のことを思いやり永遠の愛を誓う!」

レオナルドは、付き合ってしばらくは有頂天うちょうてんになっていた。――そして1年後に婚約した。他に代わりがいない世界に一人だけの愛すべき女性として、アリーナにいつまでも尽きることない永遠の愛をちかった。

だが彼は自分のした誓いを破って遊び始める。派手な女性関係が噂されるようになった。そのことについてアリーナは一度だけ気になって問いただしてみた。

レオナルドは信じてほしいと真剣な口調で言い、しっかりと抱きしめてキスをして優しい言葉を耳に吹きこみました。無邪気むじゃきで素直な心のアリーナはその言葉を信じて疑わなかった。

「今日は少し体がだるいから回復してくれ」
「そのくらいのことで何度も呼ばないでください。もっと重い病気で苦しんでいる人たちは大勢いるのです」
「減るもんじゃないし別にいいだろ!お前はこれしか取りえがないから早く治せ!!」

それからは日頃からアリーナに、少し熱っぽくて頭痛がする、重い荷物を持ったから少し腕が痛くなった、昨日は遅くまで読書してたから今日は少し目の疲れと肩こりがする、食べ過ぎて腹が痛い、背中がかゆいと、ちょっと我慢がまんするだけで自然に治る比較的ひかくてき軽い症状の病気までアリーナに甘えて回復してもらっていた。

その後は、誕生日パーティーで婚約破棄を宣言して、幼馴染の妊娠と結婚を発表した時に、彼は大切な契約を破ってしまいで、今までにアリーナに治してもらった全ての病気がレオナルドの体に返ってきた。

彼女に、ほとんど毎日のように体を治してもらっていたので軽い病気でも、山のように積み重なれば大変でございます。彼は生まれつき体が弱くて色々な持病じびょうも相まって、とても耐えられるものではなかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】貴方の後悔など、聞きたくありません。

なか
恋愛
学園に特待生として入学したリディアであったが、平民である彼女は貴族家の者には目障りだった。 追い出すようなイジメを受けていた彼女を救ってくれたのはグレアルフという伯爵家の青年。 優しく、明るいグレアルフは屈託のない笑顔でリディアと接する。 誰にも明かさずに会う内に恋仲となった二人であったが、 リディアは知ってしまう、グレアルフの本性を……。 全てを知り、死を考えた彼女であったが、 とある出会いにより自分の価値を知った時、再び立ち上がる事を選択する。 後悔の言葉など全て無視する決意と共に、生きていく。

【完結】婿入り予定の婚約者は恋人と結婚したいらしい 〜そのひと爵位継げなくなるけどそんなに欲しいなら譲ります〜

早奈恵
恋愛
【完結】ざまぁ展開あります⚫︎幼なじみで婚約者のデニスが恋人を作り、破談となってしまう。困ったステファニーは急遽婿探しをする事になる。⚫︎新しい相手と婚約発表直前『やっぱりステファニーと結婚する』とデニスが言い出した。⚫︎辺境伯になるにはステファニーと結婚が必要と気が付いたデニスと辺境伯夫人になりたかった恋人ブリトニーを前に、ステファニーは新しい婚約者ブラッドリーと共に対抗する。⚫︎デニスの恋人ブリトニーが不公平だと言い、デニスにもチャンスをくれと縋り出す。⚫︎そしてデニスとブラッドが言い合いになり、決闘することに……。

婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。

パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。

【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね

江崎美彩
恋愛
 王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。  幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。 「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」  ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう…… 〜登場人物〜 ミンディ・ハーミング 元気が取り柄の伯爵令嬢。 幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。 ブライアン・ケイリー ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。 天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。 ベリンダ・ケイリー ブライアンの年子の妹。 ミンディとブライアンの良き理解者。 王太子殿下 婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。 『小説家になろう』にも投稿しています

あなたに未練などありません

風見ゆうみ
恋愛
「本当は前から知っていたんだ。君がキャロをいじめていた事」 初恋であり、ずっと思いを寄せていた婚約者からありえない事を言われ、侯爵令嬢であるわたし、アニエス・ロロアルの頭の中は真っ白になった。 わたしの婚約者はクォント国の第2王子ヘイスト殿下、幼馴染で親友のキャロラインは他の友人達と結託して嘘をつき、私から婚約者を奪おうと考えたようだった。 数日後の王家主催のパーティーでヘイスト殿下に婚約破棄されると知った父は激怒し、元々、わたしを憎んでいた事もあり、婚約破棄後はわたしとの縁を切り、わたしを家から追い出すと告げ、それを承認する書面にサインまでさせられてしまう。 そして、予告通り出席したパーティーで婚約破棄を告げられ絶望していたわたしに、その場で求婚してきたのは、ヘイスト殿下の兄であり病弱だという事で有名なジェレミー王太子殿下だった…。 ※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。 ※中世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物などは現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっています。 ※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。

【完結】王妃はもうここにいられません

なか
恋愛
「受け入れろ、ラツィア。側妃となって僕をこれからも支えてくれればいいだろう?」  長年王妃として支え続け、貴方の立場を守ってきた。  だけど国王であり、私の伴侶であるクドスは、私ではない女性を王妃とする。  私––ラツィアは、貴方を心から愛していた。  だからずっと、支えてきたのだ。  貴方に被せられた汚名も、寝る間も惜しんで捧げてきた苦労も全て無視をして……  もう振り向いてくれない貴方のため、人生を捧げていたのに。 「君は王妃に相応しくはない」と一蹴して、貴方は私を捨てる。  胸を穿つ悲しみ、耐え切れぬ悔しさ。  周囲の貴族は私を嘲笑している中で……私は思い出す。  自らの前世と、感覚を。 「うそでしょ…………」  取り戻した感覚が、全力でクドスを拒否する。  ある強烈な苦痛が……前世の感覚によって感じるのだ。 「むしろ、廃妃にしてください!」  長年の愛さえ潰えて、耐え切れず、そう言ってしまう程に…………    ◇◇◇  強く、前世の知識を活かして成り上がっていく女性の物語です。  ぜひ読んでくださると嬉しいです!

【完結】婚約者?勘違いも程々にして下さいませ

リリス
恋愛
公爵令嬢ヤスミーンには侯爵家三男のエグモントと言う婚約者がいた。 先日不慮の事故によりヤスミーンの両親が他界し女公爵として相続を前にエグモントと結婚式を三ヶ月後に控え前倒しで共に住む事となる。 エグモントが公爵家へ引越しした当日何故か彼の隣で、彼の腕に絡みつく様に引っ付いている女が一匹? 「僕の幼馴染で従妹なんだ。身体も弱くて余り外にも出られないんだ。今度僕が公爵になるって言えばね、是が非とも住んでいる所を見てみたいって言うから連れてきたんだよ。いいよねヤスミーンは僕の妻で公爵夫人なのだもん。公爵夫人ともなれば心は海の様に広い人でなければいけないよ」 はて、そこでヤスミーンは思案する。 何時から私が公爵夫人でエグモンドが公爵なのだろうかと。 また病気がちと言う従妹はヤスミーンの許可も取らず堂々と公爵邸で好き勝手に暮らし始める。 最初の間ヤスミーンは静かにその様子を見守っていた。 するとある変化が……。 ゆるふわ設定ざまああり?です。

【完結】幼馴染と恋人は別だと言われました

迦陵 れん
恋愛
「幼馴染みは良いぞ。あんなに便利で使いやすいものはない」  大好きだった幼馴染の彼が、友人にそう言っているのを聞いてしまった。  毎日一緒に通学して、お弁当も欠かさず作ってあげていたのに。  幼馴染と恋人は別なのだとも言っていた。  そして、ある日突然、私は全てを奪われた。  幼馴染としての役割まで奪われたら、私はどうしたらいいの?    サクッと終わる短編を目指しました。  内容的に薄い部分があるかもしれませんが、短く纏めることを重視したので、物足りなかったらすみませんm(_ _)m    

処理中です...