地方の田舎に住む女性、妹に幼馴染の彼をとられたけど、生徒に溺愛される医療魔法師

佐藤 美奈

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第4話

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その日も、私はいつも通り、午前の授業を終えて、昼食の準備をしていた。今日のメニューは、昨日焼いたパンと、庭で採れた野菜たっぷりのスープ。我ながら完璧な組み合わせだわ、なんて鼻歌交じりに鍋をかき混ぜていると、外が急に騒がしくなった。

「なんだろう?」

窓から顔を出すと、そこには信じられない光景が広がっていた。私の小さな教室の前に、目を奪うほどに華やかな馬車が停まっていたのだ。金色の装飾が施され、純白の馬が四頭も繋がれている。そして、馬車の扉には、王家の紋章が光を受けて気高く輝いていた。

「え……? 王家……?」

何かの間違いでは。こんな田舎に、王家の馬車が来る理由なんて一つもない。近所の住民たちも、何事かと遠巻きに馬車を眺めている。

やがて、馬車の扉がゆっくりと開き、中から一人の青年が降りてきた。陽光を反射してきらめく銀色の髪、澄み切った空を映したような蒼い瞳。モデルのようにすらりとした長身に、上質な生地で作られたであろう純白の制服がよく映えている。その立ち姿は、まるで物語に出てくる王子様のようで、あまりの美しさに、私は息を呑んだ。

彼は周囲を一度見渡すと、まっすぐに私の教室の扉に向かって歩いてくる。

心臓が、どきん、と大きく跳ねた。私に何の用だろう? いや、人違いに決まっている。こんな美しい人が、私に用があるわけがない。

コン、コン。

控えめなノックの音に、私はびくりと肩を震わせる。どうしよう。居留守を使う? いや、でも王家の紋章が……。意を決して、私は震える手で扉を開けた。

「……はい、どなたでしょうか」

目の前に立った青年は、私をじっと見つめると、ふわりと、花が綻ぶように微笑んだ。その笑顔は、どこか懐かしいような気がした。

「セシリア先生。お久しぶりです。僕のこと、覚えていらっしゃいますか?」

「え……?」

先生? 私を? 彼の口からこぼれた言葉に、私の頭は混乱する。こんな立派な青年を、私は教えた覚えがない。誰かと間違えているのでは……。

青年は、困ったように少し眉を下げると、いたずらっぽく笑った。

「レオです。レオナール・アシュフィールド。昔、先生の教室で一番やんちゃだった」

「……レオ、ナール……?」

その名前に、私の記憶の扉がゆっくりと開いていく。レオナール。確かに、そんな名前の生徒がいた。銀色の髪をした、利発だけど少し落ち着きのない男の子。いつも怪我ばかりして、私が治してやると、『先生は魔法使いみたいだ!』と目を輝かせていた、あの……。

「まさか……あの、レオ……?」

「はい。やっと気づいてくれましたか、先生」

目の前の見目麗しい青年と、私の記憶の中にいるわんぱくな少年が、どうしても結びつかない。信じられない、という顔をしている私を見て、レオナールは嬉しそうに目を細めた。
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