妹の婚約者が子供の時に好きだった人で誘惑すると、彼は妹に婚約破棄を告げた

佐藤 美奈

文字の大きさ
6 / 8

第6話

しおりを挟む
「今日は疲れたな」
「もう寝ちゃうの?」
「明日も忙しいし」
「ねえハリー」

婚約しているのにハリーとイザベルの会話はそっけない。正確にはハリーがひんやりと冷めた口ぶりでイザベルは度々泣いていた。

最近まともに取り合わないような受け答えをする彼にベッドで夜の営みを誘っても疲れているが口癖で相変わらず相手にしてくれない。

数日前に婚約を考え直してほしいと告げられたが、その翌日にはこの前はおかしなことを言ってごめんと謝られたけど急にぎこちない対応するようになった。

彼が私のことを面倒くさいって思ってるかな?と結婚する前にこのような心ない扱われ方にイザベルは幸せになれるのかと不安が心の奥底に消え去らずにいる。

「しばらく会えない」
「なんで?」
「試合があるから専念したい」
「そう、わかった」

デートをして向かい合って食事をしながらハリーは少しの間距離を置こうと何気なく話す。イザベルが問いただすとクラブ活動の試合を理由として用いる。

彼女は今にも泣き出しそうな顔で正直に言うと質問したいことはたくさんあるのに、彼が話しにくそうなのでそれ以上怖くて聞かなかった。

まさか自分の姉ヴィオラと婚約者のハリーがただならぬ関係なんて想像もしていない。自分の愛情にうぬぼれて彼は無愛想で冷たく突き放すようになったのかなと思うようになる。

「パッと見た感じとてもスタイルがいいね」
「いや、そんなことないです」
「お美しいなあ」
「ありがとう」
「名前を教えて」
「イザベル」
「引き込まれて思わず声をかけたよ。高嶺の花ってイメージしてたんだけど話しやすいね」
「そうですか?」
「気さくで安心した」

彼が最近冷たい。その腹いせに遊び心でイザベルは他の異性を求めて街へ繰り出す。騒々しさがあふれていたが、その雑音が寂しさを紛らわせてくれて僅かな人の温かみが感じられた。

貴族の令嬢だと思われないように装飾がそれほどないドレスを着てあてもなく歩き回っていると愛らしい顔立ちにあっという間に言い寄られ現在ナンパをされている。

気安く声をかけられるが褒め上げられると悪い気はしなく愛嬌のいい声で言葉を返す。恋人のように肩をくっつけて寄り添う少し強引な男性だった。

「さっきも口説かれてたよね。俺みたいに寄って来る奴が多くて困るでしょ?」
「いえ…」
「今は交際してる人はいるの?」
「いません」
「こんな可愛いのに嘘でしょ?」

先ほども異性に目を向けられ歯を浮くようなさまざまなセリフで誘われるがどうにか断った。しかし途切れることなく入れ替わり立ち替わり男性から甘い言葉でささやかれ好意を持たれる。

イザベルは恋人はいるのかと質問され婚約者がいますとは正直に答えませんでした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

あなたが後悔しても、私の愛はもう戻りません

藤原遊
恋愛
婚約者のアルベルトは、優しい人だった。 ただ――いつも、私より優先する存在がいただけで。 「君は分かってくれると思っていた」 その一言で、リーシェは気づいてしまう。 私は、最初から選ばれていなかったのだと。 これは、奪われた恋を取り戻す物語ではない。 後悔する彼と、もう戻らないと決めた私、 そして“私を選ぶ人”に出会うまでの、静かな恋の終わりと始まりの物語。

【完結】さよなら、馬鹿な王太子殿下

花草青依
恋愛
ビーチェは恋人であるランベルト王太子の傍らで、彼の“婚約破棄宣言”を聞いていた。ランベルトの婚約者であるニナはあっさりと受け入れて去って行った。それを見て、上手く行ったと満足するビーチェ。しかし、彼女の目的はそれだけに留まらず、王宮の平和を大きく乱すものだった。 ■主人公は、いわゆる「悪役令嬢もの」の原作ヒロインのポジションの人です ■画像は生成AI (ChatGPT)

真実の愛は水晶の中に

立木
恋愛
学園の卒業を祝うパーティーの最中、レイシア・マレーニ侯爵令嬢は第三王子とピンク髪の女、その取り巻きたちによって断罪されようとしていた。 しかし断罪劇は思わぬ方向へ進んでいく。 ※AIイラスト使用 ※「なろう」にも重複投稿しています。

貴方に私は相応しくない【完結】

迷い人
恋愛
私との将来を求める公爵令息エドウィン・フォスター。 彼は初恋の人で学園入学をきっかけに再会を果たした。 天使のような無邪気な笑みで愛を語り。 彼は私の心を踏みにじる。 私は貴方の都合の良い子にはなれません。 私は貴方に相応しい女にはなれません。

【完結】六歳下の幼馴染に溺れた夫。白い結婚を理由に離縁を申し立てたら、義弟(溺愛)に全力で求婚されました

恋せよ恋
恋愛
夫が愛でるのは、守ってあげたくなるような「可憐な少女」。 夫が疎むのは、正論で自分を追い詰める「完璧な妻」。 「シンシア、君はしっかりしているから、大丈夫だろう?」 六歳年下の幼馴染ジェニファー子爵令嬢を気遣う貴方。 私たちは、新婚初夜さえ済ませていないのよ? 完璧な家政、完璧な社交。私が支えてきたこの家から、 ニコラス、貴方って私がいなくなったらどうなるか……。 考えたこともないのかしら? 義弟シモンは、学生時代の先輩でもあるシンシアを慕い 兄ニコラスの態度と、幼馴染ジェニファーを嫌悪する。 泣いて縋るあざとい少女と、救世主気取りの愚かな夫。 そして、義姉であるシンシアを慕うシモン。 これは、誇り高き伯爵夫人、シンシアの物語である。 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

【完結】貴方の後悔など、聞きたくありません。

なか
恋愛
学園に特待生として入学したリディアであったが、平民である彼女は貴族家の者には目障りだった。 追い出すようなイジメを受けていた彼女を救ってくれたのはグレアルフという伯爵家の青年。 優しく、明るいグレアルフは屈託のない笑顔でリディアと接する。 誰にも明かさずに会う内に恋仲となった二人であったが、 リディアは知ってしまう、グレアルフの本性を……。 全てを知り、死を考えた彼女であったが、 とある出会いにより自分の価値を知った時、再び立ち上がる事を選択する。 後悔の言葉など全て無視する決意と共に、生きていく。

【完結】私の事は気にせずに、そのままイチャイチャお続け下さいませ ~私も婚約解消を目指して頑張りますから~

山葵
恋愛
ガルス侯爵家の令嬢である わたくしミモルザには、婚約者がいる。 この国の宰相である父を持つ、リブルート侯爵家嫡男レイライン様。 父同様、優秀…と期待されたが、顔は良いが頭はイマイチだった。 顔が良いから、女性にモテる。 わたくしはと言えば、頭は、まぁ優秀な方になるけれど、顔は中の上位!? 自分に釣り合わないと思っているレイラインは、ミモルザの見ているのを知っていて今日も美しい顔の令嬢とイチャイチャする。 *沢山の方に読んで頂き、ありがとうございます。m(_ _)m

処理中です...