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第二幕 江戸の生活をシよう!
第二十六話 真夜中の訪問者
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――それから三十分後。
混浴といっても、お風呂に罪はない。隣に裸体の女性がいようとも、全戸左右に囲まれても湯舟の中で座禅をして煩悩を抹殺。股間に血液が集中するのを必死に止める努力の甲斐あって、今回は初めてムラムラせず混浴を乗り切ることに成功したのだ。
「いい湯だったぁ~!」
折りたたまれたタオルを頭上に乗せ、ほっかほかの湯気が上がったのをキープして我が家へと無事に帰還。しかし癒しの空間からのオンボロ長屋は、天国から地獄へ突き落された気分だ。カビというのか、畳の腐りかけのなんともいえない臭いで充満している。
「さてと、どうするかな」
いつもならこれから夕飯を済ませて助六と喋りに行くか、地面にエロイラストを描くか、夜の散歩の三択。携帯やパソコンがなくても一応生きていけるのは意外だったが、今日はそうもいかない。今夜何かあるはず。そうミツに告げられた。だからどこにも行かず、ずっと家にいなければならない。
「仕方ない。暇だけどここは大人しく待ってやるか」
助六からもらった芋を夕食代わりに食べてから、狭い部屋にゴロンと寝そべって気長に待つことにした。最初は部屋を綺麗にしておこうと掃除をしたり、整理整頓をしたり律儀におもてなしをしようかと思いついたりと、ソワソワとまだかまだかと落ち着かず。しかも誰が来るかとも知らされていない。千代姫が来たらどうしようなんて恋する女子中学生みたく身なりを整えて座ったり、立ったりしては一時間、二時間、そして三時間が経っただろうか。時刻は不明。でも深夜なのは確かだ。
「だ・れ・も・こ・ね・ぇ!」
外は虫の音も聞こえてこないほど静かで、すっかり暗闇に覆われており、部屋にロウソクを立てても、そんなものはわずかな明かり。手先に何があるのかやっと。長屋の住民も全員が床に就いて、目を覚ましているのは自分だけのような気がした。
「なにやってんだよ城の奴らはよ! いつどこに誰が来るかの報連相をしっかりしろっての! まさかドタキャンか? あーもークソ! 時間の無駄じゃねぇか! あー、こんなことになるなら、外に出てエロ絵でも思う存分描いときゃよかった」
地団駄を踏んでは力尽きたように、そのまま真後ろへと倒れこんでいく。畳が軋む衝撃音が散らばり、天井からパラパラと待ってくる謎の木くずたちを顔面でキャッチしながら。それでも掃うことはしなかった。そんなことよりも描きたい、エロを描きたい気持ちでいっぱいになっていると思っていたときには、自然と右の人差し指を腕ごと上へ伸ばして空中にラフ画を描いていた。
「はは、どうするかな。腰回りを今日は描きたいから上に乗馬するような体勢にして、表情は苦しんでるよりも喜んでいるような感じで……」
そうだ。俺は想像だとしても、道具を持って描いてなくとも、どんな時代で生きようとも、エロを描くのがたまらなく好きだ。大好きだ。
つい先ほどまでの腹立たしい感情はひとかけらもなくなり、体中に笑いが溢れんばかりの楽しさに満ちていた。
「待たせたな」
そんなところへ突然ミツが澄ました話し声と共に、降って湧いたように現れたのである。忍びらしく戸も開かずのご登場。それと寝転んでいる俺を跨って見下しの前斜めポーズになって現れるのはもうお約束。
だからこそ、ここで事件が発生した。ミツが来るなんて当然知らぬ俺は真上へ向かって指を突き出していたら、ちょうどその人差し指が現れたミツの右胸の中心部にぶっ刺さったのである。感触的にすぐに理解した。俺の指とミツの乳首がピンポイントで、ETのトモダチさながら繋がったことに。
混浴といっても、お風呂に罪はない。隣に裸体の女性がいようとも、全戸左右に囲まれても湯舟の中で座禅をして煩悩を抹殺。股間に血液が集中するのを必死に止める努力の甲斐あって、今回は初めてムラムラせず混浴を乗り切ることに成功したのだ。
「いい湯だったぁ~!」
折りたたまれたタオルを頭上に乗せ、ほっかほかの湯気が上がったのをキープして我が家へと無事に帰還。しかし癒しの空間からのオンボロ長屋は、天国から地獄へ突き落された気分だ。カビというのか、畳の腐りかけのなんともいえない臭いで充満している。
「さてと、どうするかな」
いつもならこれから夕飯を済ませて助六と喋りに行くか、地面にエロイラストを描くか、夜の散歩の三択。携帯やパソコンがなくても一応生きていけるのは意外だったが、今日はそうもいかない。今夜何かあるはず。そうミツに告げられた。だからどこにも行かず、ずっと家にいなければならない。
「仕方ない。暇だけどここは大人しく待ってやるか」
助六からもらった芋を夕食代わりに食べてから、狭い部屋にゴロンと寝そべって気長に待つことにした。最初は部屋を綺麗にしておこうと掃除をしたり、整理整頓をしたり律儀におもてなしをしようかと思いついたりと、ソワソワとまだかまだかと落ち着かず。しかも誰が来るかとも知らされていない。千代姫が来たらどうしようなんて恋する女子中学生みたく身なりを整えて座ったり、立ったりしては一時間、二時間、そして三時間が経っただろうか。時刻は不明。でも深夜なのは確かだ。
「だ・れ・も・こ・ね・ぇ!」
外は虫の音も聞こえてこないほど静かで、すっかり暗闇に覆われており、部屋にロウソクを立てても、そんなものはわずかな明かり。手先に何があるのかやっと。長屋の住民も全員が床に就いて、目を覚ましているのは自分だけのような気がした。
「なにやってんだよ城の奴らはよ! いつどこに誰が来るかの報連相をしっかりしろっての! まさかドタキャンか? あーもークソ! 時間の無駄じゃねぇか! あー、こんなことになるなら、外に出てエロ絵でも思う存分描いときゃよかった」
地団駄を踏んでは力尽きたように、そのまま真後ろへと倒れこんでいく。畳が軋む衝撃音が散らばり、天井からパラパラと待ってくる謎の木くずたちを顔面でキャッチしながら。それでも掃うことはしなかった。そんなことよりも描きたい、エロを描きたい気持ちでいっぱいになっていると思っていたときには、自然と右の人差し指を腕ごと上へ伸ばして空中にラフ画を描いていた。
「はは、どうするかな。腰回りを今日は描きたいから上に乗馬するような体勢にして、表情は苦しんでるよりも喜んでいるような感じで……」
そうだ。俺は想像だとしても、道具を持って描いてなくとも、どんな時代で生きようとも、エロを描くのがたまらなく好きだ。大好きだ。
つい先ほどまでの腹立たしい感情はひとかけらもなくなり、体中に笑いが溢れんばかりの楽しさに満ちていた。
「待たせたな」
そんなところへ突然ミツが澄ました話し声と共に、降って湧いたように現れたのである。忍びらしく戸も開かずのご登場。それと寝転んでいる俺を跨って見下しの前斜めポーズになって現れるのはもうお約束。
だからこそ、ここで事件が発生した。ミツが来るなんて当然知らぬ俺は真上へ向かって指を突き出していたら、ちょうどその人差し指が現れたミツの右胸の中心部にぶっ刺さったのである。感触的にすぐに理解した。俺の指とミツの乳首がピンポイントで、ETのトモダチさながら繋がったことに。
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