滅びゆく世界で英雄になれない凡人達が足掻くようです。

黒歴史を紡ぐ者

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新兵派遣

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立派な装飾に飾られた広い一室、そこに二人の男がいた。一人は椅子に深く腰をかけており、もう一人はその前に立っていた。

「へ?俺が隊長で、最前線行きですか?」

メガネをかけた、少しチャラそうな雰囲気を出す男が虚を付かれたように驚きの声を上げる。

「ああ、久木君には悪いが最前線に行ってもらう事になった。」

久木に最前線行きを告げるのは制服に数多くの勲章をぶら下げた壮年の男、ここ防衛軍本部の幹部の一人だった。

「いやぁ、まあ優秀な俺が必要なのはわかるんですけど、それくらい最前線は厳しいんですか?」

「まあな、だがそれ以上にある上からの命令でな。」

「山田さんより上からの命令って……穏やかじゃあ無いですね。」


ハァと大きなため息を吐き、山田と呼ばれた幹部の男は話の続きを告げる。

「君には新兵を一緒に連れていってもらう。君を隊長とし、その下に十人の兵士、そこに追加として三人の新兵を入れることになった。」

新兵と聞き、久木は先程最前線行きを告げられた時以上に驚く。

「新兵ですかぁ?!なぜ、新兵なんかをいきなり最前線へ?最前線へ送る兵士なんかは普通、俺がそうだったみたいに比較的安定している戦線に送って、経験を積ませてからでしょう?」

「詳しいことは聞くな。上からの命令だ。私とて不思議でならないよ。だが、断ることも出来ない。きっと上には何かしらの考えがあるんだろう。」

「いくら俺が天才だからってそれは無茶ですよ!!」

久木は声を荒らげて上官に、それも本部の幹部クラスの人物に対して抗議する。本来であれば何かしらのお咎めがあるのだろうが久木がそんな行動に出る気持ちもわかる山田は咎めることも無く、静かに久木が落ち着くのを待つ。

「何を言っても無駄だ、久木君。君の優秀さは私がよく知っている。思う所はあるだろうが頼んだぞ。」

山田のとりつく島も無い態度にこれ以上の抗議は無駄だと思ったのか久木はおとなしく引き下がる。

「久木君。これが君と共に行動する兵士達の資料だ。それと、新兵の資料だ。最前線への出発は極力早くして欲しい」

そう言うと山田は二つの資料を久木に手渡す。

「はぁ……最悪ですよ…………一番苦しいと言われる激戦区に足でまといを連れて向かうなんて……」

「本当にすまない。」

「いや、山田さんのせいじゃ無いんですけどね……」

久木は山田に敬礼をして部屋を退出する。

「なーんで、新兵を最前線に送るんだろうかねぇ……上の考えって何だよ……」

ぼそぼそと愚痴りながら久木は廊下を歩いていく。

久木はこれから先に訪れる苦難を想像して頭を抱えるのだった。
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みんなの感想(1件)

福場 三築
2016.09.21 福場 三築

 助詞の誤字脱字が所々で見られます。一度確認のために声に出して読むか、指でなぞりながら読むことをお勧めします。
 それから、半角文字を使うことはお勧めしません。縦書きにしたときに、表示がいびつになりますから。見栄えも悪いです。内容に関してはまだ全貌が見えないので何とも言えませんが、プロローグを読んだ限りだと、あまり興味をそそられるとは思えませんでした。かといって非常に読みにくいというわけでもないので、読む人は読むと思います。これは好みかと。
 あと、別にキメラの「グオオオォ」って鳴き声を文字に起こす必要ないと思いますよ。マンガじゃないんですから。

2016.09.21 黒歴史を紡ぐ者

文章のご指摘ありがとうございます。まだ文を書く事に慣れておらず、正しくない表現や使い方をしてしまうところはこれから助言を活かして、直していく努力をしていきたいと思います。

キメラの咆哮のところは消しておきました。次書く時に同じように書いてしまわないようにします。

半角に関してはスマホのキーボードのやつがよくわかんないので今現在この文字が半角であるのならきっとこれから先も直すことは難しいと思います。

内容は思いつきで書いてるような所もありますので大して期待せずにのんびり待っていただけたらと思います。

こんな未熟な内容の文章を読んでいただき、わざわざご指摘までして頂いてありがとうございました!

解除

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