リュウのケイトウ

きでひら弓

文字の大きさ
34 / 188

34合宿11昼食時 事変

しおりを挟む
C組一行は第三ハンガーを後に
ぞろぞろと
中庭へ向かう。
この場所もそろそろ、
このクラスの昼休憩の
定番の憩いの場に
成りつつあった。
今日も朝から良い天気で
花壇の花々からは甘い
蜜の香り。
少し木陰になっている
芝にはシロツメクサの
可愛らし白い花も見られる。
そこにレジャーシートを
広げると車座になり、
ティタ特製の弁当を
広げて準備万端。
『それでは頂こうか。』
『いただきます。』
ミゥの号令で昼食が始まった。

『ティタ、
           ありがとね。
こんなに沢山作るの
        大変だったんじゃない?。』
『ごめんねティタ、
        今日は私、
            少しも手伝え無くて。』
千陽と夏がティタに
労い(ねぎらい)の言葉を
掛ける。
『大丈夫ですよ。
好きでやってる事ですから。
気にぜず、沢山食べて下さいね。
それに迩椰にも手伝って貰って
いますから。』

『迩椰がちゃんと
       お手伝いしてるから
                 大丈夫。
   慧人、迩椰が詰めた
         プチトマト美味しいから
                   食べて。』
二人からの労いに応えるも、
ティタと迩椰の興味は
慧人が美味しいそうに
食べてるかどうかに関心が
行っていて
会話や食事には
気もそぞろだった。
『ああ、勿論美味いぞ。
               何時も感謝している。』
慧人の言葉にティタも
迩椰も花綻ばんばかりの
笑みで満足の表情をたたえている。
『ねえ、
       慧人君、この学校に
    編入して来たのって
        二人と一緒に
            居たかったからなの?。』
三人の和気藹々(わきあいあい)
とした様子を見ていた千陽から
少し冷めた質問が飛んで来た。
(尚、夏はティタと迩椰の
      行動に遅れをとり、
          アタフタしている。)

『それは…』

『迩椰が頼んだんだよ。
       "カムイがヘボい"から、
               ナントかしてって。』
慧人が答えるより早く
迩椰が真相を語る。
『それで、わざわざ
         この学校に来たの?。
    まさか、それだけの為じゃ
             無いよね?。』
千陽は質問の聞こえ方が
キツイ物にならないよう
声色を選んで柔らか目に
慧人を問い質して(ただして)
行く。
食事に夢中だった智と康太も
聞き耳をそばだてている。
『たしかに、それだけの
       為では無いが、迩椰の
   頼みにも答えてやりたかった。
       この頼みは迩椰だけの物では
    無かったのだが。
カムイのOSを何とかしなければ
ならなかったのは急務だったのだ。』
『それは、
       慧人君でなければ
          出来無かった事なの?。』
『俺で無くもと
      良かったのかもしれない。
が、俺が適任だった事も確かだ。』
『何故、慧人君が
         適任だったと言えるの。
    OSの専門家ならもっと他にも
          いたんじゃないの?。』
千陽の追求が内容を深く
掘り下げる物になって来ていた。
これ以上話すべきか、
一度 慧人はミゥに目配せすると
ある程度の内容なら明かしても
いい事を覚り、続きを話す事に
決めたのだった。
『自分はここに来る前、
同系列学園のシステム開発部の
研究学生として機動兵器用の
OS開発に携わっていたんだ。
カムイに当初使われていたOSが
元々カムイに則した物では
無かった事は
既に分かっていた。
なのでその開発室で研究も兼ね、
カムイに使えるOSの開発を
模索していたんだ。
最終的に言えば研究開発は
成功だったと言えるのだろう。』

あまりの内容に一瞬この場が
静まり返る。

『自分で質問しといて
      なんだけど、
  慧人君、
      頭良すぎるんじゃないの?。
  OS開発なんて一介の学生が
           出来る事じゃないよ。』
千陽が溜め息混じりに
少々飽きれた声を上げる。
慧人の編入試験の使用時間と
成績内容を知ったらそれどころでは
無かったかもしれないが。

『千陽、それは買い被り過ぎだ。
   俺が中心になって開発した
           訳じゃない。
   あくまでも一学生として
   手伝っただけに過ぎない。』
(実際には慧人が中心となって
   ほぼ慧人が一人で開発した
             OSなのだが。)
千陽の溜め息は益々
大きな物になる。
『それでもだよ。
      OS開発の手伝いなんて
   そんじょそこらの学生には
      無理でしょ。
ねえ、この際、聞いちゃうけど
慧人君のカムイへの
適正値って幾つだったの?。
一人だけ蚊帳の外みたいに
慌てる素振りも無いから
3以上なのは解るけど。』
この質問には智も康太も
頷いている様だ。
『4以上だ。
       それ以上は計測不能だ。』
実際は5以上が計測不能なのだが
余りに異常な数値を伝えても、
混乱させると考え、
4などと言ってお茶を濁して
おく慧人なのだが、
それでも決して場の空気は
和んだりはしなかった。
『まあまあ、千陽。
       慧人さんは、悪い事を
    してる訳じゃ無いのよ。
ちょっと普通の人の物差しで
     測れ無いだけなんだから。』
『慧人は
           これが普通。
    こんなんで驚いてたら、
    この先一緒に居られなくなる。』
ティタも迩椰もフォローを
入れるが、
より慧人の異常さが浮き彫りに
なってしまっていた。
この異常事態を知ると
夏は益々慧人に心酔して行き、
ミゥは我が事の様なドヤ顔に
なっていた。
智と康太の二人は昼食も喉を通らず
ただ飽きれて口を開けたまま
事態の推移を
見守るしか無かった。



しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

弁えすぎた令嬢

ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
 元公爵令嬢のコロネ・ワッサンモフは、今は市井の食堂の2階に住む平民暮らしをしている。彼女が父親を亡くしてからの爵位は、叔父(父親の弟)が管理してくれていた。  彼女には亡き父親の決めた婚約者がいたのだが、叔父の娘が彼を好きだと言う。  彼女は思った。 (今の公爵は叔父なのだから、その娘がこの家を継ぐ方が良いのではないか)と。  今後は彼らの世話にならず、一人で生きていくことにしよう。そんな気持ちで家を出たコロネだった。  小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

処理中です...