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高校一年生、桜川高等学校合唱部
16話「星子の気持ち」
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・・・・
<ルアピーに星子ちゃんの心を開けるはずがない>
雪葉先輩の言った目を、見て私は怖かった。
・・・感情のない、こちらを、本当に無駄な行為と思ってる。
まるで、人間じゃないかのように、冷たい目。
寮の廊下を走る。
寮が、星子はどこなのだろうか。
寮のエントランスに戻る。
張り出されていたのは、寮の場所。
星子・・・・601号室。
エレベーターへ駆け出した
エントランスの入口に、もう、雪葉先輩はいなかった。
6階のボタンを押す。
エレベーターがとても、遅い。
早く・・・・・・
605・・・604・・・603・・・602・・601!!!!
ピーンポーン
チャイムを押した。
「・・・何ですか」
星子が寝ぼけた声でインターホンから声を出すが、
すぐにインターホンに写った私を見て、インターホンを切った。
だが、もう一回押す。
ピーンポーン
ピッ
また切られる。何度も何度も、押しては切られる。
10回目、息継ぎをしながら星子はいう。
「やめてよ。もう・・・やめて。インターホン連打なんて・・・
学園長に言うわよ」
私を星子は脅す。
「別にいいよ」
私は胸を張って言う。
「別に、いい。退学になっても。
怒られても。
言っていいよ。だけど・・・一つ、言いたいことがある。
部活、本当にやめるの?」
しばしの沈黙。インターホンは切れない。
「・・・辞めるに決まってるでしょ、合唱部なんて」
「なんで?今からなら、まだ、再オーディションを申し出る事はできるのに。」
「辞めるの、絶対!!!」
「なんで?時の旅人そんなに歌いたいの?」
「当たり前でしょ・・・!!!
あんなに、練習したのに。
あんなに、あんなに、練習したのに。
星空の麗なんて・・・聞きたくもないッッッ!!!
ただでさえ・・・コーラスなのにっ・・・なんで・・・不利に・・・」
泣くような声。
・・・「私も、嫌だった。星空の麗なの。
河原で3人で歌って、練習したのに。
なんで・・・こんな、ことに。そう思ったよ。
・・・でも、ね」
すぅっ・・・・大きく息を吸う。
そして、星空の麗を歌う。
「やめて!!やめてっ星空の麗なんて・・・嫌ああああっ!!!」
星子が叫ぶ、私は、「・・・
星空の麗、いい、歌だよ」
優しく笑う。
星子は
「・・・それは。
あんたがメンバーだからでしょ!!!?
メロディだしっ!!!!
そもそも!!!なんで、アタシに構うのよっ!!
あっち行ってよ!あんたとアタシなんて関係ないでしょ!!!!!!」
「・・・そうだよ。
私は、メンバーだし、メロディだよ。
でも・・・・・・・・星子と私が関係ないのは間違ってる。」
「は?その通りでしょ。アタシとあんた。
全くの他人よ!!!!」
「違う!!!
同じ、合唱部、同じ。だから、よびすてなのっ」
「・・あんた。なんで、あたしを引き留めようとするわけ。
やめて。
なんで、やめさせてくれないの。」
「それは・・・・・・・・・」
少し、考える。
「嫌い、だから」
「はあ?」
「星子のことが、嫌いだから。友達に酷いこと言ってるし。」
「ならほっといてよっっっ!!!!!!!!」
「それは、無理。
だって・・ライバルだから」
「え???」
「ライバルだから。やめてほしくない」
「・・・そう」
「ねえ、これでも、辞めるの?それなら、私も諦める。
「・・・」
すると、インターホンが切れた。また押そうとすると、ドアが開く。
「星子・・・・」
「・・・ルア。アタシは、それでも。部活を辞める。
今、私は、合唱部が心から好きじゃない。
それなら辞めたい。
だから・・・私は、吹奏楽部に入る」
「え?」
「私、小学生の時、クラブで3年、金管バンドでチューバしてて。
また、やりたくなった」
「・・・そう、か。」
「だから、退部する。だけど・・・
ありがとう。」
「・・・うん。じゃあね」
自分の部屋に戻り、ベッドで泣く。
引き止められなかった。無理だった。
一人の部員が。
ピーンポーン・・・
インターホンが鳴る。歌乃や、葵、花たちは、
ドアを叩くだろう。
・・・誰???
好奇心に負けて、インターホンも確認せずに、扉を開ける。
そこには・・・雪葉先輩。
「何ですか?雪葉先輩」
「・・・涙跡、ついてる。
・・・やはり。星子ちゃんの心を開けなかったんだ」
雪葉先輩が失望したように、言う。
「・・・・開けましたよ。
名前呼び、したんですから」
むっとしたので言い返す。
「・・・そういうことじゃない。
アナタは、本当に星子ちゃんの心は開けてない。
開けてるなら、星子ちゃんは、退部届を取り消すはず。
・・・・無理よ。職員室に行ってもなにもかわってなかった。」
雪葉先輩はそういい、去っていった。
私は、その背中を、いつまでも、いつまでも、眺めていた。
後から、歌乃や葵が訪ねてきたが、集中できなかった。
私は、心を開くことなんてできなかった。
星子の、退部をやめれなかった。
翌日、星子は退部した。
つづく
<ルアピーに星子ちゃんの心を開けるはずがない>
雪葉先輩の言った目を、見て私は怖かった。
・・・感情のない、こちらを、本当に無駄な行為と思ってる。
まるで、人間じゃないかのように、冷たい目。
寮の廊下を走る。
寮が、星子はどこなのだろうか。
寮のエントランスに戻る。
張り出されていたのは、寮の場所。
星子・・・・601号室。
エレベーターへ駆け出した
エントランスの入口に、もう、雪葉先輩はいなかった。
6階のボタンを押す。
エレベーターがとても、遅い。
早く・・・・・・
605・・・604・・・603・・・602・・601!!!!
ピーンポーン
チャイムを押した。
「・・・何ですか」
星子が寝ぼけた声でインターホンから声を出すが、
すぐにインターホンに写った私を見て、インターホンを切った。
だが、もう一回押す。
ピーンポーン
ピッ
また切られる。何度も何度も、押しては切られる。
10回目、息継ぎをしながら星子はいう。
「やめてよ。もう・・・やめて。インターホン連打なんて・・・
学園長に言うわよ」
私を星子は脅す。
「別にいいよ」
私は胸を張って言う。
「別に、いい。退学になっても。
怒られても。
言っていいよ。だけど・・・一つ、言いたいことがある。
部活、本当にやめるの?」
しばしの沈黙。インターホンは切れない。
「・・・辞めるに決まってるでしょ、合唱部なんて」
「なんで?今からなら、まだ、再オーディションを申し出る事はできるのに。」
「辞めるの、絶対!!!」
「なんで?時の旅人そんなに歌いたいの?」
「当たり前でしょ・・・!!!
あんなに、練習したのに。
あんなに、あんなに、練習したのに。
星空の麗なんて・・・聞きたくもないッッッ!!!
ただでさえ・・・コーラスなのにっ・・・なんで・・・不利に・・・」
泣くような声。
・・・「私も、嫌だった。星空の麗なの。
河原で3人で歌って、練習したのに。
なんで・・・こんな、ことに。そう思ったよ。
・・・でも、ね」
すぅっ・・・・大きく息を吸う。
そして、星空の麗を歌う。
「やめて!!やめてっ星空の麗なんて・・・嫌ああああっ!!!」
星子が叫ぶ、私は、「・・・
星空の麗、いい、歌だよ」
優しく笑う。
星子は
「・・・それは。
あんたがメンバーだからでしょ!!!?
メロディだしっ!!!!
そもそも!!!なんで、アタシに構うのよっ!!
あっち行ってよ!あんたとアタシなんて関係ないでしょ!!!!!!」
「・・・そうだよ。
私は、メンバーだし、メロディだよ。
でも・・・・・・・・星子と私が関係ないのは間違ってる。」
「は?その通りでしょ。アタシとあんた。
全くの他人よ!!!!」
「違う!!!
同じ、合唱部、同じ。だから、よびすてなのっ」
「・・あんた。なんで、あたしを引き留めようとするわけ。
やめて。
なんで、やめさせてくれないの。」
「それは・・・・・・・・・」
少し、考える。
「嫌い、だから」
「はあ?」
「星子のことが、嫌いだから。友達に酷いこと言ってるし。」
「ならほっといてよっっっ!!!!!!!!」
「それは、無理。
だって・・ライバルだから」
「え???」
「ライバルだから。やめてほしくない」
「・・・そう」
「ねえ、これでも、辞めるの?それなら、私も諦める。
「・・・」
すると、インターホンが切れた。また押そうとすると、ドアが開く。
「星子・・・・」
「・・・ルア。アタシは、それでも。部活を辞める。
今、私は、合唱部が心から好きじゃない。
それなら辞めたい。
だから・・・私は、吹奏楽部に入る」
「え?」
「私、小学生の時、クラブで3年、金管バンドでチューバしてて。
また、やりたくなった」
「・・・そう、か。」
「だから、退部する。だけど・・・
ありがとう。」
「・・・うん。じゃあね」
自分の部屋に戻り、ベッドで泣く。
引き止められなかった。無理だった。
一人の部員が。
ピーンポーン・・・
インターホンが鳴る。歌乃や、葵、花たちは、
ドアを叩くだろう。
・・・誰???
好奇心に負けて、インターホンも確認せずに、扉を開ける。
そこには・・・雪葉先輩。
「何ですか?雪葉先輩」
「・・・涙跡、ついてる。
・・・やはり。星子ちゃんの心を開けなかったんだ」
雪葉先輩が失望したように、言う。
「・・・・開けましたよ。
名前呼び、したんですから」
むっとしたので言い返す。
「・・・そういうことじゃない。
アナタは、本当に星子ちゃんの心は開けてない。
開けてるなら、星子ちゃんは、退部届を取り消すはず。
・・・・無理よ。職員室に行ってもなにもかわってなかった。」
雪葉先輩はそういい、去っていった。
私は、その背中を、いつまでも、いつまでも、眺めていた。
後から、歌乃や葵が訪ねてきたが、集中できなかった。
私は、心を開くことなんてできなかった。
星子の、退部をやめれなかった。
翌日、星子は退部した。
つづく
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