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高校一年生、桜川高等学校合唱部
15話「ベンチ」
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「ルア、歌うの練習、しにいかない?」
歌乃がニコリと笑う。
「いいけど、どこにする?」
今日は珍しく部活が休みだ。
それなのに練習とは、流石、歌乃である。
「ん~、駅前の、少し行った先にあるベンチは?」
「え?...あ、あそこか!」
「そうそう。」
「じゃ、そこにしよう。
行こうか。」
バッグを、寮に置きに行く。
財布とカードキーのみ持つ。
カチャ。
寮の廊下で歌乃がいた。
黒のブレザーだ。
「黒?」が
「ん。色、迷ったけど、今の気分こっち」
そう言ってビラビラする。
雰囲気が違うような。
「じゃ、行こ」
タタタ...お話しながらだと、10分程度はあっという間である。
ベンチにつく。
カタッ。
「...何か違うと思ったら、歌乃、カラコンつけてるでしょ!」
ベンチから思わず立ち上がる。
「ん。茶色のカラコン。」
「...歌乃には、青い綺麗なサファイア色が似合ってたのに」
「でもあれ、遺伝の目で、コンプレックスなんだよね」
「凄くいい色なのに~。」
ちょっとむくれる。青い目は綺麗で、潤った気分になれたのに。
「それより、ルア、一旦座りなよ。疲れるよ」
私の頭に歌乃が手をかける。
「む~」
座ると歌乃が、ポンと肘で押してくる。ポン!とやり返す。
「星空の麗。歌おうか。」
私が言うと、「うん。」と歌乃は言う。
「~♪」
隣に座る美少女の、透き通った声に、通りかかる人皆が目を釘付けにする。
皆、歌乃を見ている。
歌乃は、愛らしいし、大好きな、親友だ。だが,,.
悔しい、私も、注目される、トップになりたい。
そう、思う。夏祭りで、歌乃には、
応援してる、と言ったはずなのに
今、どんどん集まる人だかりは、きっと皆、歌乃に注目してる。
私の、歌声よりも。
グッと拳を強くする。
深呼吸しながら歌う。
大きく、ハキハキと。やはり、歌乃との、一年の差は大きい。
歌乃は、世界レベルだ。
歌い終わると大きな拍手。視線は、歌乃。
ギュッと歌乃の手を握り、路地裏に行く。
「?ルア。どうしたの」
歌乃が路地裏で、顔を傾げる。可愛い。動作全部、この子は可愛い。
「う、歌乃!ごめんなさい!」
歌乃に頭を下げる。
「え、え?」歌乃が困惑する。
「私、夏祭りで、歌乃のトップになりたい。って夢、応援するよ、って言ったよね。
でも、さっき、私、自分も注目されたい、トップになりたい。って思っちゃって。
ごめんなさい!」
大きく頭を下げる。
歌乃はビックリした顔をしながら、こう言う。
「謝らなくていいよ。
だって、トップを目指す、つまり意欲があるんでしょ。
それって素晴らしい事でしょ。
一緒に、トップを目指そう」
歌乃が笑う。
「うん!ありがとう」
私も笑う。
帰る途中、葵に会った。
「...お、ルアと高島じゃん。」
いつも、葵は私の、癖っ毛をクシャクシャして、よっ、と言う。
今回もだ。ハイタッチをする。
「葵。なんで、浅草駅の辺りにいるの?」
「それはこっちの台詞。
俺、この辺のカラオケで、歌。練習してたんだよ」
葵が言う。
「ふーん。」
「な、ルア。高島。
知ってるか、四川さん。合唱部、退部するらしいぜ」
葵がヒソヒソと、困った顔で言う。
「えーっ!星子さんが?」
「それって、メンバーになれなかったから?」
歌乃が感づいた表情でいう。
「たぶん。俺、
西野森先輩が、港先生と、職員室で話してるので知ったんだよ」
「...星子さん、今どこにいるかな」
「さ、さあ?寮じゃねぇか?」
葵のその言葉を聞いて、寮まで走る。
「ルア!?」
葵と歌乃が叫ぶ。
「ごめん!私、星子さんの所へ行かないと!」
寮まで全速力で走る。息切れを起こす。
あんなに、友達に酷いこと言って、悪い態度だった、
星子を、退部から引き留めようとしてる自分が言う。
たぶん、それは、きっと..,
寮の入口。そこには、部長が、いた。
「部長...」
「部長だなんて、堅苦しいなあ。
雪葉先輩って呼んでよ。」
「...雪葉先輩。そこをどいてください。」
「イヤだ。星子ちゃんの所へ行く気でしょ。
星子ちゃんは、ルアちゃんを求めていないし
退部届けも本人が出した」
雪葉先輩は、そう言う。
「だから何ですか。」
「だから、あっち行けって事。」
「イヤです!そっちが動かない気なら、
私だって、ここから動きません!」
ピンと背を立てる。
「...どうせ、私を突き飛ばしてでも行くんでしょ。
いいよ。でも、星子ちゃんに、ルアピーが、
心を開くことができるはすがない。」
毎日髪型を変えてる雪葉先輩のポニーテールは、
大きく揺れていた。
つづく
歌乃がニコリと笑う。
「いいけど、どこにする?」
今日は珍しく部活が休みだ。
それなのに練習とは、流石、歌乃である。
「ん~、駅前の、少し行った先にあるベンチは?」
「え?...あ、あそこか!」
「そうそう。」
「じゃ、そこにしよう。
行こうか。」
バッグを、寮に置きに行く。
財布とカードキーのみ持つ。
カチャ。
寮の廊下で歌乃がいた。
黒のブレザーだ。
「黒?」が
「ん。色、迷ったけど、今の気分こっち」
そう言ってビラビラする。
雰囲気が違うような。
「じゃ、行こ」
タタタ...お話しながらだと、10分程度はあっという間である。
ベンチにつく。
カタッ。
「...何か違うと思ったら、歌乃、カラコンつけてるでしょ!」
ベンチから思わず立ち上がる。
「ん。茶色のカラコン。」
「...歌乃には、青い綺麗なサファイア色が似合ってたのに」
「でもあれ、遺伝の目で、コンプレックスなんだよね」
「凄くいい色なのに~。」
ちょっとむくれる。青い目は綺麗で、潤った気分になれたのに。
「それより、ルア、一旦座りなよ。疲れるよ」
私の頭に歌乃が手をかける。
「む~」
座ると歌乃が、ポンと肘で押してくる。ポン!とやり返す。
「星空の麗。歌おうか。」
私が言うと、「うん。」と歌乃は言う。
「~♪」
隣に座る美少女の、透き通った声に、通りかかる人皆が目を釘付けにする。
皆、歌乃を見ている。
歌乃は、愛らしいし、大好きな、親友だ。だが,,.
悔しい、私も、注目される、トップになりたい。
そう、思う。夏祭りで、歌乃には、
応援してる、と言ったはずなのに
今、どんどん集まる人だかりは、きっと皆、歌乃に注目してる。
私の、歌声よりも。
グッと拳を強くする。
深呼吸しながら歌う。
大きく、ハキハキと。やはり、歌乃との、一年の差は大きい。
歌乃は、世界レベルだ。
歌い終わると大きな拍手。視線は、歌乃。
ギュッと歌乃の手を握り、路地裏に行く。
「?ルア。どうしたの」
歌乃が路地裏で、顔を傾げる。可愛い。動作全部、この子は可愛い。
「う、歌乃!ごめんなさい!」
歌乃に頭を下げる。
「え、え?」歌乃が困惑する。
「私、夏祭りで、歌乃のトップになりたい。って夢、応援するよ、って言ったよね。
でも、さっき、私、自分も注目されたい、トップになりたい。って思っちゃって。
ごめんなさい!」
大きく頭を下げる。
歌乃はビックリした顔をしながら、こう言う。
「謝らなくていいよ。
だって、トップを目指す、つまり意欲があるんでしょ。
それって素晴らしい事でしょ。
一緒に、トップを目指そう」
歌乃が笑う。
「うん!ありがとう」
私も笑う。
帰る途中、葵に会った。
「...お、ルアと高島じゃん。」
いつも、葵は私の、癖っ毛をクシャクシャして、よっ、と言う。
今回もだ。ハイタッチをする。
「葵。なんで、浅草駅の辺りにいるの?」
「それはこっちの台詞。
俺、この辺のカラオケで、歌。練習してたんだよ」
葵が言う。
「ふーん。」
「な、ルア。高島。
知ってるか、四川さん。合唱部、退部するらしいぜ」
葵がヒソヒソと、困った顔で言う。
「えーっ!星子さんが?」
「それって、メンバーになれなかったから?」
歌乃が感づいた表情でいう。
「たぶん。俺、
西野森先輩が、港先生と、職員室で話してるので知ったんだよ」
「...星子さん、今どこにいるかな」
「さ、さあ?寮じゃねぇか?」
葵のその言葉を聞いて、寮まで走る。
「ルア!?」
葵と歌乃が叫ぶ。
「ごめん!私、星子さんの所へ行かないと!」
寮まで全速力で走る。息切れを起こす。
あんなに、友達に酷いこと言って、悪い態度だった、
星子を、退部から引き留めようとしてる自分が言う。
たぶん、それは、きっと..,
寮の入口。そこには、部長が、いた。
「部長...」
「部長だなんて、堅苦しいなあ。
雪葉先輩って呼んでよ。」
「...雪葉先輩。そこをどいてください。」
「イヤだ。星子ちゃんの所へ行く気でしょ。
星子ちゃんは、ルアちゃんを求めていないし
退部届けも本人が出した」
雪葉先輩は、そう言う。
「だから何ですか。」
「だから、あっち行けって事。」
「イヤです!そっちが動かない気なら、
私だって、ここから動きません!」
ピンと背を立てる。
「...どうせ、私を突き飛ばしてでも行くんでしょ。
いいよ。でも、星子ちゃんに、ルアピーが、
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