ドリームミュージカル

ぱっりん

文字の大きさ
32 / 61
高校一年生、桜川高等学校合唱部

31話「入学試験」

しおりを挟む
宇宙学園入学試験まで、あとほんの少し…
ルアは、バレエ教室に通い、声楽、演技の勉強をするため、
バレエ教室、声楽教室、ミュージカル教室に通い詰めてるため、
歌乃と帰ることは少なくなった。
美里子のバレエ教室は、最近はついていけるようになった。
グランプリエをする。
寒いので長袖レオタード。
レッスンが終わると、タオルで汗をかく。
ここからは毎日レッスンだ。しっかりしなくては。
一時間のレッスンが終わると、いつも汗だくだ。
水を飲み干すと、かはぁーという声をわざとらしく出す。
帰りは、寒いので、長袖のダウンを着る。
長いので、レオタードだとバレない。
団子と前髪ピンを取る。
着替え場はあるのだが、恥ずかしい時もあるものなのだ。
男のバレリーナもいるので、やはり恥ずかしい。
個室でも。
「ルアちゃん」
タタタと、スニーカーが、床を蹴る。
バレエ場の、床はギシリ、と音を出す。
玄関だ。
「森先輩、お疲れ様です」
声を出す。
森先輩は、ルアと一つ上のクラスである。

ルアはコンクールクラス、森先輩は留学クラスなのだ。
コンクールクラスと留学クラスは、二回に一度くらい合同なので、
こうなっている。
「今日、美里子先生、何か気合い入ってるよねー。
だって、ガチコーデだったもん」
ガチコーデとは、うちでは、先生がレオタードとタイツのことだ。
「そうですねー。何かあったんでしょうか」
ケラリと愛想笑いをする。踵がズキリと痛いのだ。
「いてて‥」
「どうしたの」
「踵痛くて」
「あ、分かるわ。トゥシューズだと、足いためんだよね」
花乃が、スニーカーを脱ぐ。ほら、と、靴下の下の爪先。
黒ずんでて、痛々しかった。二人は、外にでた。ありがとうございました、と
大声を出して、はーいと言う声が聞こえたから。
「森先輩って、何歳からバレエやってるんですか」
「3歳かなあ。
将来は、バレリーナになりたくて、宇宙学園でダンサー経験つめば、
なれないかな、って」
森先輩が笑う。トゥシューズは9歳から履いているようだ。
「ルアちゃんは?」
「私、私小3です、ピアノも歌も、ぜーんぶ。」
「そーなんだー、ねー入学試験後少しだね」
「ですね」
「私明日転校するから」
別れ道で、花乃はいった。え、と固まるルアに、
またね!と言って、去っていった。
桜川高等学校の、寮の中にある、
ピアノ教室と声楽教室と、ミュージカル教室のうち、
ピアノ教室にはいる。
宇宙学園ではピアノも勉強だ。
すっかり進んで、ソナチネをやる。
ピアノ教室から出ると、寮の入り口から、歌乃が入ってくる。
「歌乃」
そう呟くと、歌乃はこっちをチラリと見て、
カードキーでオートロックを外しさらに、もう一つのオートロックを
動脈認証で解除する。
その二つを超えないと教室はない。つまり、生徒や許可されたもの専用。
もちろん、エレベーターのロックは、ホントに生徒しか行けない。
「何」
歌乃の美しい口が動く。
「んーん、何でも。どこ行ってたの?」
「パン屋さん、今日夕飯パンにするから」
ほら、と歌乃が、パン屋の袋を見せる。
レディーパンとかかれたその袋は、高級パン屋の袋である。
「おいしそーだね。私も今から買い物行くよ」
というと、歌乃は、
「食べる?パン」と言った。いいの!?とルアが言うと、歌乃は
「その分、ルアも何かつくってね」
と言った。
スーパーにいき、歌乃のために、二人分ハンバーグの材料を買う。
割引なので、ヨーグルトも。
二重オートロックを通り抜ける。そして、教室の前を通り抜けると、
ガラスの壁。エレベーターホールのロックだ。動脈認証で解除して、進む。
エレベーターに乗り、カードキーをかざすと、部屋の階に動く。
女子側のオートロックをカードキーで解除し、部屋の、鍵を開ける。
そして、準備して歌乃の部屋に向かった。
「ようこそ」
歌乃の部屋は、前のように綺麗だった。テーブルには、五つのパンが並んでる。
「じゃ、私も作るね」
作り終わって、ハンバーグを差し出す。
いただきます、と二人が声をそろえる。
歌乃が器用に、ナイフでケチャップのついたハンバーグを切ると、肉汁がふわりと
溢れた。フォークで、パクリと食べると、歌乃は、美味しいと感動している。
ルアも食べる。美味しい。
歌乃の家のフライパンのがいいのかもしれない。
「後で洗い物しないと」すると歌乃は、
「アタシ、自動洗浄機あるからいいよ」といった。
セレブ!
貰ったコロッケパンを食べる。
さくり、と鳴るコロッケは、ソースがたっぷり染みていて、
甘いパンとマッチしておいしかった。


その後、部屋に戻る。
花乃の言葉を想いだし、胸を押さえる。
明日転校なんだ!見空は喜ぶのだろうか。
羽毛布団に倒れ込み、ルアは眠りについた。

つづく
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...