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高校二年生、一年生とのギスギス
10話「追いかけて」
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校内を探し回る。
二階の教室を手当たり次第に探すが、大して手がかりは得られない。
最後の教室をあける。
杏奈がいた。
「杏奈ちゃん」
話しかけて、ルアはしゃがみ込んでいる杏奈に手をのばす。
その手は、弾かれた。
「うざいです」
「え」
「ルア先輩には関係ないですよね?
だってメンバーなんだから。
なのにしゃしゃり出てくんの、心の底から鬱陶しい」
杏奈が憎そうに顔を歪めて呟く。
「だけど、部長が言ってたから」
「ほら、それだけじゃないですか。
正義ぶって話すくせに中身はいい子ちゃん。
あんた、中身無いんじゃないの?」
つげつげと口調を荒らげる杏奈を見る。
なぜ、ここまで言われなくてはならないのだ。
「杏奈ちゃんは、
なんで美雪ちゃんが嫌なの?」
「ああん?話聞いてなかったのかよ。
盗み聞きして余計な手間まで
かけさせんのかよ、この無能が」
ヤンキーのような口癖に思わずため息を吐く。
「あいつより私の方が上手いって言ってんの。
オーディションですら緊張して
歌わないような女が、本番で
ちゃんと歌えるわけがねぇだろ。
アホなんじゃないの?」
キリッと睨む彼女の目は、鋭く赤かった。
確かに彼女の主張には、一理ある。
だが、美雪の歌の上手さを、ルアは知ってる。
それを外すのは、如何なものか。
しかし、この後輩には、
同じことをまた言われてしまうであろう。
「じゃあ、美雪先輩が、
杏奈ちゃんの前で、歌えたら認める?」
「ああん?」
「杏奈ちゃんと美雪ちゃんで、
オーディションをするの」
2つの椅子が教室の真ん中にならび、
杏奈と美雪は向かい合う体制。
美雪は、怯えた顔を浮かべている。
それを囲うように、
部長と、発言者である、
ルア、その他、からかい半分でやってきた
2年生と1年生だ。
「先輩はどっちが勝つと思います?」
莉音が話しかけてくる。
歌乃の更に隣の彼女は、
今日も可愛い。隣には桃々華がいるようだ。
「うーん、美雪先輩、かなぁ」
圧倒的に美雪先輩なのは分かっている。
だが、本番で歌えるかは、
杏奈の方に勝機があるだろう。
「えーと、じゃ、まず杏奈さんから歌って」
「わかりました」
部長の合図で彼女は歌い出す。
綺麗で模範的な歌声だった。
拍手が湧く。
「どう思う?葵」
隣にいる葵に聞く。
「普通に上手いって感じだな
先輩の方聞いてないからなんとも言えない」
「だよね」
もう一度正面を向く。
「次、美雪お願い」
「…」
彼女は何も言わず、ポケットをガサゴソしてる。
「…美雪?」
部長が不安げな表情を浮かべる。
杏奈は勝ち誇った顔で、
「ほら見ましたか!
私の方が相応しいんですよ!」
と言う。部長は、悲しそうに美雪…と、呟く。
「ゴムを貸して」
美雪が言う。いつになく強い表情に、
周囲は固まる。
「あ、あ、うん。ゴムね、は、はい」
部長が困惑しながら黒ゴムを渡す。
その時、歌声が響いた。
同じ譜面なのに、全く違う、
綺麗で美しい歌声。
その歌声に、魅了される。
ビブラートも不自然ではなく、
それでいて音楽的な深みを増してる。
水が、地面に落ちた。
杏奈が、涙を流したのだ。
「負けました」
杏奈は素直に言った。
この勝負は、美雪の勝ちだった。
二階の教室を手当たり次第に探すが、大して手がかりは得られない。
最後の教室をあける。
杏奈がいた。
「杏奈ちゃん」
話しかけて、ルアはしゃがみ込んでいる杏奈に手をのばす。
その手は、弾かれた。
「うざいです」
「え」
「ルア先輩には関係ないですよね?
だってメンバーなんだから。
なのにしゃしゃり出てくんの、心の底から鬱陶しい」
杏奈が憎そうに顔を歪めて呟く。
「だけど、部長が言ってたから」
「ほら、それだけじゃないですか。
正義ぶって話すくせに中身はいい子ちゃん。
あんた、中身無いんじゃないの?」
つげつげと口調を荒らげる杏奈を見る。
なぜ、ここまで言われなくてはならないのだ。
「杏奈ちゃんは、
なんで美雪ちゃんが嫌なの?」
「ああん?話聞いてなかったのかよ。
盗み聞きして余計な手間まで
かけさせんのかよ、この無能が」
ヤンキーのような口癖に思わずため息を吐く。
「あいつより私の方が上手いって言ってんの。
オーディションですら緊張して
歌わないような女が、本番で
ちゃんと歌えるわけがねぇだろ。
アホなんじゃないの?」
キリッと睨む彼女の目は、鋭く赤かった。
確かに彼女の主張には、一理ある。
だが、美雪の歌の上手さを、ルアは知ってる。
それを外すのは、如何なものか。
しかし、この後輩には、
同じことをまた言われてしまうであろう。
「じゃあ、美雪先輩が、
杏奈ちゃんの前で、歌えたら認める?」
「ああん?」
「杏奈ちゃんと美雪ちゃんで、
オーディションをするの」
2つの椅子が教室の真ん中にならび、
杏奈と美雪は向かい合う体制。
美雪は、怯えた顔を浮かべている。
それを囲うように、
部長と、発言者である、
ルア、その他、からかい半分でやってきた
2年生と1年生だ。
「先輩はどっちが勝つと思います?」
莉音が話しかけてくる。
歌乃の更に隣の彼女は、
今日も可愛い。隣には桃々華がいるようだ。
「うーん、美雪先輩、かなぁ」
圧倒的に美雪先輩なのは分かっている。
だが、本番で歌えるかは、
杏奈の方に勝機があるだろう。
「えーと、じゃ、まず杏奈さんから歌って」
「わかりました」
部長の合図で彼女は歌い出す。
綺麗で模範的な歌声だった。
拍手が湧く。
「どう思う?葵」
隣にいる葵に聞く。
「普通に上手いって感じだな
先輩の方聞いてないからなんとも言えない」
「だよね」
もう一度正面を向く。
「次、美雪お願い」
「…」
彼女は何も言わず、ポケットをガサゴソしてる。
「…美雪?」
部長が不安げな表情を浮かべる。
杏奈は勝ち誇った顔で、
「ほら見ましたか!
私の方が相応しいんですよ!」
と言う。部長は、悲しそうに美雪…と、呟く。
「ゴムを貸して」
美雪が言う。いつになく強い表情に、
周囲は固まる。
「あ、あ、うん。ゴムね、は、はい」
部長が困惑しながら黒ゴムを渡す。
その時、歌声が響いた。
同じ譜面なのに、全く違う、
綺麗で美しい歌声。
その歌声に、魅了される。
ビブラートも不自然ではなく、
それでいて音楽的な深みを増してる。
水が、地面に落ちた。
杏奈が、涙を流したのだ。
「負けました」
杏奈は素直に言った。
この勝負は、美雪の勝ちだった。
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