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245話 「精霊3+魔道具」
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部屋の中央に暗がりが集まっていく。
「おおおお?」
「なんかすごいねー」
「な、なんで二人ともそんな暢気なのっ!?」
明らかに他の精霊と違う登場の仕方である。
その様子を暢気に眺める二人に対し、半ば悲鳴気味に叫ぶシェイラ。
「闇の精霊さんかな?」
「多分そうだろうな」
気がつけば暗がりの中に暗い小さな子供ぐらいの人影がぽつりと佇んでいた。
その頭部には妙に二つの瞳がはっきりと浮かび、呼び出した加賀の方をじっと見つめている。
あたりが暗くなった事やその容姿から二人は闇の精霊だろうとあたりをつけたようである。
「……し、知らないそんなの」
「シェイラさん知らないんだ?」
闇の精霊と言えば加賀や八木の感覚で言えば割と有名どこであるがシェイラは知らない様子である。
(ふだん姿見せないから)
「あーそうなのね」
加賀の疑問にシェイラが答えるよりも早く、頭に直接語りかけるように闇の精霊がその理由を伝える。
どうもこの精霊は恥ずかしがり屋というか面倒くさがり屋というか。とにかくあまり人前に出ることはないらしい。シェイラが知らなかったのもその為だ。
そんな闇の精霊であるが実は前に一度だけ加賀の前で姿を現した事がある。
「闇の精霊さんもあの時助けてくれたよね? ありがとう」
(気付いてたんだ?)
「うん、ちらっと黒い靄みたいのが……あれそうだよね?」
(そうだよ)
異世界にきた初日にウォーボアに襲われた加賀は精霊に助けを求めた。そのさい動いた精霊の内、目を覆って視界を奪ったのが闇の精霊であった。
「でもなー……こんなに居たとはねー」
一通り精霊の姿を見て満足した加賀であるが周りを囲むように存在する精霊達を見渡して呟くように言葉を口にする。
「どうかしたのか?」
「やー……あのご飯の量じゃ絶対たらないよねー……」
加賀は精霊に助けられて以来毎日欠かさずご飯を精霊達に供える様にしているが、その量は精々4人前程度。
今居る精霊の数や、火トカゲの本来の大きさなどを考えれば絶対足らないだろうと考えた様だ。
「あーたしかに」
(ほとんど何もしてないのに貰える量としては十分すぎる)
闇の精霊が言うには魔力代わりにご飯を貰っているが、それは働きからすれば貰いすぎになるらしい。
「んー……でも満腹ではないんだよね」
ただそうは言われても実際精霊の姿を見てしまった後では納得し難い部分もある。
「バクスさんに相談して増やすようにするよ」
結局加賀はバクスの相談の上量を増やす事にしたようだ。
精霊達も喜んでいるので魔力の代わりとしてはともかくもっと食べたいとは思っていたのだろう。
「……今気がついたけどさ」
呼んだ精霊達に礼を言い元に戻って貰った後、八木が何かに気がついたようにポツリと呟く。
「加賀が作ったお菓子あたりを対価にすれば俺も精霊魔法使えるんじゃ……」
「たぶんいけると思う」
闇の精霊のご飯を魔力代わりに貰っているとの発言から、それを利用すれば魔力が少ない自分でも精霊魔法が使えることに気がついた八木。
加賀も同じ考え……と言うよりかは薄々感づいていたのかも知れない。
ちらりと加賀がシェイラの様子を窺う。
「……私には無理かな。うまく伝えられないもん」
もしそんな事が皆出来るなら影響はでかそう……そう考えたが、シェイラ曰くそうはならないらしい。
精霊に話しかける為の言葉は非常に難しく、ちょっとした発音、その時の感情など様々な要因で意味が変わってしまったり、まったく通じなくなってしまったりするようだ。
現在でも特定の行動に対する言葉しか分かっておらず、とてもご飯を対価に~等といった事は言葉に出来ないとの事。
ひとまず周りには内緒にしようと結論付け、その場は解散となった。
時は少し流れ、ある日の夕方。
食堂でダンジョン戦利品を広げるアルヴィンの姿とそれをわくわくしながら眺める加賀の姿、そしてお菓子に夢中なアイネとうーちゃんの姿があった。
「今日はアルヴィンさんなんだー?」
誰が加賀に戦利品を見せるかはその日によって様々だ。
大抵は複数人で来ることが多く、今日のようにアルヴィン一人だけ、と言うのはあまりなかったりする。
「ええ、他の連中は風呂に時間掛かるでしょうから」
アルヴィンに話を聞いてあー、と納得したような顔をする加賀。
少し前に帰ってきた探索者達であったが、返り血なのかそれとも別の何かなのかは分からないが、アルヴィンを除いた皆が何かしらの液体を全身に盛大に浴びた状態で帰ってきたのだ。
恐らく今頃風呂場で必死になって体を洗っているところだろう。
「今日もいろいろあるけど……これ、むっちゃ気になる」
いくつかある魔道具の中で特に目を引いたのは先端にデフォルメされた猫の手の様なものがついたステッキである。
あまりにも異色なその魔道具。興味を惹くなと言う方が無理がある。
「それは獣人に一時的に姿が変わる魔道具ですね」
「へー、ガイさんみたいになるのかな……でもそれって見た目ほぼ変わらないような」
獣人と言えば宿にも一人居る。
ただその見た目は普段は人とほとんど変わらず、仮に魔道具で獣人になったとしても誰も気がつかないだろう。
「見た目も変わりますよ、ガイとは種族が異なりますからね。それは猫の獣人になる魔道具です」
だが、この魔道具で変われるのはガイとは違う種族のようだ。
見た目も変わると聞いて加賀の目がキランと光る。
「えっ……も、もしかして耳とか尻尾とか生えたり?」
「ええそうですね」
「お、おぉぉ……」
この世界の獣人は皆ガイと同じタイプかと思っていたがどうやら違うらしい。
「おおおお?」
「なんかすごいねー」
「な、なんで二人ともそんな暢気なのっ!?」
明らかに他の精霊と違う登場の仕方である。
その様子を暢気に眺める二人に対し、半ば悲鳴気味に叫ぶシェイラ。
「闇の精霊さんかな?」
「多分そうだろうな」
気がつけば暗がりの中に暗い小さな子供ぐらいの人影がぽつりと佇んでいた。
その頭部には妙に二つの瞳がはっきりと浮かび、呼び出した加賀の方をじっと見つめている。
あたりが暗くなった事やその容姿から二人は闇の精霊だろうとあたりをつけたようである。
「……し、知らないそんなの」
「シェイラさん知らないんだ?」
闇の精霊と言えば加賀や八木の感覚で言えば割と有名どこであるがシェイラは知らない様子である。
(ふだん姿見せないから)
「あーそうなのね」
加賀の疑問にシェイラが答えるよりも早く、頭に直接語りかけるように闇の精霊がその理由を伝える。
どうもこの精霊は恥ずかしがり屋というか面倒くさがり屋というか。とにかくあまり人前に出ることはないらしい。シェイラが知らなかったのもその為だ。
そんな闇の精霊であるが実は前に一度だけ加賀の前で姿を現した事がある。
「闇の精霊さんもあの時助けてくれたよね? ありがとう」
(気付いてたんだ?)
「うん、ちらっと黒い靄みたいのが……あれそうだよね?」
(そうだよ)
異世界にきた初日にウォーボアに襲われた加賀は精霊に助けを求めた。そのさい動いた精霊の内、目を覆って視界を奪ったのが闇の精霊であった。
「でもなー……こんなに居たとはねー」
一通り精霊の姿を見て満足した加賀であるが周りを囲むように存在する精霊達を見渡して呟くように言葉を口にする。
「どうかしたのか?」
「やー……あのご飯の量じゃ絶対たらないよねー……」
加賀は精霊に助けられて以来毎日欠かさずご飯を精霊達に供える様にしているが、その量は精々4人前程度。
今居る精霊の数や、火トカゲの本来の大きさなどを考えれば絶対足らないだろうと考えた様だ。
「あーたしかに」
(ほとんど何もしてないのに貰える量としては十分すぎる)
闇の精霊が言うには魔力代わりにご飯を貰っているが、それは働きからすれば貰いすぎになるらしい。
「んー……でも満腹ではないんだよね」
ただそうは言われても実際精霊の姿を見てしまった後では納得し難い部分もある。
「バクスさんに相談して増やすようにするよ」
結局加賀はバクスの相談の上量を増やす事にしたようだ。
精霊達も喜んでいるので魔力の代わりとしてはともかくもっと食べたいとは思っていたのだろう。
「……今気がついたけどさ」
呼んだ精霊達に礼を言い元に戻って貰った後、八木が何かに気がついたようにポツリと呟く。
「加賀が作ったお菓子あたりを対価にすれば俺も精霊魔法使えるんじゃ……」
「たぶんいけると思う」
闇の精霊のご飯を魔力代わりに貰っているとの発言から、それを利用すれば魔力が少ない自分でも精霊魔法が使えることに気がついた八木。
加賀も同じ考え……と言うよりかは薄々感づいていたのかも知れない。
ちらりと加賀がシェイラの様子を窺う。
「……私には無理かな。うまく伝えられないもん」
もしそんな事が皆出来るなら影響はでかそう……そう考えたが、シェイラ曰くそうはならないらしい。
精霊に話しかける為の言葉は非常に難しく、ちょっとした発音、その時の感情など様々な要因で意味が変わってしまったり、まったく通じなくなってしまったりするようだ。
現在でも特定の行動に対する言葉しか分かっておらず、とてもご飯を対価に~等といった事は言葉に出来ないとの事。
ひとまず周りには内緒にしようと結論付け、その場は解散となった。
時は少し流れ、ある日の夕方。
食堂でダンジョン戦利品を広げるアルヴィンの姿とそれをわくわくしながら眺める加賀の姿、そしてお菓子に夢中なアイネとうーちゃんの姿があった。
「今日はアルヴィンさんなんだー?」
誰が加賀に戦利品を見せるかはその日によって様々だ。
大抵は複数人で来ることが多く、今日のようにアルヴィン一人だけ、と言うのはあまりなかったりする。
「ええ、他の連中は風呂に時間掛かるでしょうから」
アルヴィンに話を聞いてあー、と納得したような顔をする加賀。
少し前に帰ってきた探索者達であったが、返り血なのかそれとも別の何かなのかは分からないが、アルヴィンを除いた皆が何かしらの液体を全身に盛大に浴びた状態で帰ってきたのだ。
恐らく今頃風呂場で必死になって体を洗っているところだろう。
「今日もいろいろあるけど……これ、むっちゃ気になる」
いくつかある魔道具の中で特に目を引いたのは先端にデフォルメされた猫の手の様なものがついたステッキである。
あまりにも異色なその魔道具。興味を惹くなと言う方が無理がある。
「それは獣人に一時的に姿が変わる魔道具ですね」
「へー、ガイさんみたいになるのかな……でもそれって見た目ほぼ変わらないような」
獣人と言えば宿にも一人居る。
ただその見た目は普段は人とほとんど変わらず、仮に魔道具で獣人になったとしても誰も気がつかないだろう。
「見た目も変わりますよ、ガイとは種族が異なりますからね。それは猫の獣人になる魔道具です」
だが、この魔道具で変われるのはガイとは違う種族のようだ。
見た目も変わると聞いて加賀の目がキランと光る。
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この世界の獣人は皆ガイと同じタイプかと思っていたがどうやら違うらしい。
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