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木の中にいる
「52話」
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「あとこいつらウッドが倒すといいニャー」
そういって俺の目の前にどさりと大きな何かをおくタマさん。
一瞬何か分からなかったが、それは先ほどタマさんが引き連れていった三つ首だった。
まだ生きているらしく、こちらを殺意のこもった目でじっと見ている……。
ただ簀巻きにされているようでこちらに襲い掛かってくるようなことはなかった。
「こいつら? ……え、どしたのそれ。てかそいつら俺じゃ倒せないんじゃ?」
倒すといいと言われても俺じゃ倒せないんじゃないかな……?
範囲攻撃でばしゅっとやらないとダメなんだよね、たしか。
だがタマさんは首を軽くふり、否定する。
そして俺の腕をぺしぺしと叩いて言葉を続ける。
「捕まえて縛り上げたニャ。 ウッドでもいけるニャ。触手だして、3本ニャ」
「触手じゃないです」
蔦だからね!
触手×オーガとか誰得なの。
まじで誰得であってくれ!
んま、とりあえずしょく……じゃなくて蔦は出しましたよっと。
これどうするのかな?
「首にかけるニャ」
「ほい」
へいへい。
首にかけましたよっと。
……首?
「絞めるニャ」
「えぐいなっ!? 結構えぐいぞタマさん!?」
タマさんまじで容赦ないぞ!
心なしか三つ首も涙目じゃないか! そんな訴えかけるような目でみられても困るんですぅ!
「ニャ。 そろそろ戻るかニャー」
一通り魔石を取り終わったところでタマさんが俺に声をかける。
あ、三つ首だけど結局蔦を耳から突っ込んでシェイクすることにしたよ。
動かなければ俺でも同時にダメージ与えるのは難しくないってことだね。 それなら無駄に苦しめる必要もないだろうと言うことでそっちを選択したのだ。
それで戻るかってことなんだけどー。
「え、でもまだ全部見てないんじゃ?」
宝箱がまだ見つかってねーのです。
全部見て回ったわけじゃないし、どこかにありそうな気がするんだよね。
何せ装備持ちが2体居たんだもの。 そりゃ宝箱の一つや二つあっても良いよねー?
「その装備一式持って帰らないとだニャ。 安心するニャ。入り口隠蔽しとくから他の人に入られることもないニャ」
「そんなこと出来るんだ……それじゃ持って帰ろうか。すごい量だよねこれ」
そういうことならしゃーない戻ろうか。
実際八ツ目の装備だけあってむちゃくちゃでかいし重いんだよねこれ。
100kgありそうな気がする。
「一つ売って、もう一つは盾を作る材料にするニャ。 材料持ち込みならそれで充分足りるはずニャ」
「いいの?」
え、ありがたいけど……これ一つ金貨300枚とかするんじゃなかったっけ?
そんだけ高いのを俺の盾だけに使っていいのだろうか。
「別に構わないニャ。 タマはこれ以上お金あっても困るニャ。 それよりウッドの装備整えるのに使ったほうがいいニャ」
「タマさんありがてえ」
タマさんの言葉を聞いてちらっと顔を伺うが、ぺろぺろと前足を舐めてる様子からは本当に気にしてなさそうな感じがした。
……ここはお言葉に甘えてしまおう。
タマさんに感謝の言葉を述べて拝んでおく。
「ニャ」
タマさんも満更ではない様子だ。
なのでもう一回拝んでおく。
今度お供えって訳じゃないけど果物何種類か用意しておこう。
あと櫛でも買ってプレゼントしようかな? もっと毛並み良くなると思うんだよね。
んじゃ、帰るざますよ。
なんやかんやでギルドにつきました。
道中の敵はこっちに近寄る間もなくタマさんが瞬殺しとったよ。ハハハ。
「……すっごい見られてる」
ギルドに入ると……というか入る前からなんだけど色んな人からガン見されまくってます。
結構小心者なんでやめてくだち。
「そりゃそうだニャ。 前も言ったけど鬼鉄は貴重、それが二つもあるんだから当然ニャ」
挙動不審な俺に対してタマさんは堂々としたものである。
まわりの視線などまるで気にしてないようだ。
さすがですわ。
俺もメンタル鍛えないとなあ。こう、視線が集中するたびに挙動不審になってたんじゃね?
「おー……ぱぱっと換金済ませてご飯にしよか」
んま、ぱぱっと換金しちゃおう。
そいでご飯たべて装備屋にいって盾作ってもらうんだ。
あ、あと注文しておいた装備もお金払って受け取らないとだ。
「ニャ」
んでいつもの如くリタさんの受付に並ぼうとしたんだけど。
「……気のせいかなリタさんがむっちゃこっち見てるんだけど。圧が凄いんだけど」
リタさんがですね、ものすっごいこっち見てるんですよ。
別の人の受付してるから顔は笑顔なんだけど目がやべえ。瞳孔開いてらっしゃる。
「気のせいニャ」
そうだね。気のせいだよね。
「……空いてるし、今日はこっち並ぼうか」
お腹すいたしね。
疲れたし、早く休みたいし、いつも隣の受付のおっちゃんがこっちガン見してたし。たまにはね?
といった感じでおっちゃんの列にならんだんだけど、なんか結局リタさんの列に戻されたぞ。
どういうことなのっ。
そういって俺の目の前にどさりと大きな何かをおくタマさん。
一瞬何か分からなかったが、それは先ほどタマさんが引き連れていった三つ首だった。
まだ生きているらしく、こちらを殺意のこもった目でじっと見ている……。
ただ簀巻きにされているようでこちらに襲い掛かってくるようなことはなかった。
「こいつら? ……え、どしたのそれ。てかそいつら俺じゃ倒せないんじゃ?」
倒すといいと言われても俺じゃ倒せないんじゃないかな……?
範囲攻撃でばしゅっとやらないとダメなんだよね、たしか。
だがタマさんは首を軽くふり、否定する。
そして俺の腕をぺしぺしと叩いて言葉を続ける。
「捕まえて縛り上げたニャ。 ウッドでもいけるニャ。触手だして、3本ニャ」
「触手じゃないです」
蔦だからね!
触手×オーガとか誰得なの。
まじで誰得であってくれ!
んま、とりあえずしょく……じゃなくて蔦は出しましたよっと。
これどうするのかな?
「首にかけるニャ」
「ほい」
へいへい。
首にかけましたよっと。
……首?
「絞めるニャ」
「えぐいなっ!? 結構えぐいぞタマさん!?」
タマさんまじで容赦ないぞ!
心なしか三つ首も涙目じゃないか! そんな訴えかけるような目でみられても困るんですぅ!
「ニャ。 そろそろ戻るかニャー」
一通り魔石を取り終わったところでタマさんが俺に声をかける。
あ、三つ首だけど結局蔦を耳から突っ込んでシェイクすることにしたよ。
動かなければ俺でも同時にダメージ与えるのは難しくないってことだね。 それなら無駄に苦しめる必要もないだろうと言うことでそっちを選択したのだ。
それで戻るかってことなんだけどー。
「え、でもまだ全部見てないんじゃ?」
宝箱がまだ見つかってねーのです。
全部見て回ったわけじゃないし、どこかにありそうな気がするんだよね。
何せ装備持ちが2体居たんだもの。 そりゃ宝箱の一つや二つあっても良いよねー?
「その装備一式持って帰らないとだニャ。 安心するニャ。入り口隠蔽しとくから他の人に入られることもないニャ」
「そんなこと出来るんだ……それじゃ持って帰ろうか。すごい量だよねこれ」
そういうことならしゃーない戻ろうか。
実際八ツ目の装備だけあってむちゃくちゃでかいし重いんだよねこれ。
100kgありそうな気がする。
「一つ売って、もう一つは盾を作る材料にするニャ。 材料持ち込みならそれで充分足りるはずニャ」
「いいの?」
え、ありがたいけど……これ一つ金貨300枚とかするんじゃなかったっけ?
そんだけ高いのを俺の盾だけに使っていいのだろうか。
「別に構わないニャ。 タマはこれ以上お金あっても困るニャ。 それよりウッドの装備整えるのに使ったほうがいいニャ」
「タマさんありがてえ」
タマさんの言葉を聞いてちらっと顔を伺うが、ぺろぺろと前足を舐めてる様子からは本当に気にしてなさそうな感じがした。
……ここはお言葉に甘えてしまおう。
タマさんに感謝の言葉を述べて拝んでおく。
「ニャ」
タマさんも満更ではない様子だ。
なのでもう一回拝んでおく。
今度お供えって訳じゃないけど果物何種類か用意しておこう。
あと櫛でも買ってプレゼントしようかな? もっと毛並み良くなると思うんだよね。
んじゃ、帰るざますよ。
なんやかんやでギルドにつきました。
道中の敵はこっちに近寄る間もなくタマさんが瞬殺しとったよ。ハハハ。
「……すっごい見られてる」
ギルドに入ると……というか入る前からなんだけど色んな人からガン見されまくってます。
結構小心者なんでやめてくだち。
「そりゃそうだニャ。 前も言ったけど鬼鉄は貴重、それが二つもあるんだから当然ニャ」
挙動不審な俺に対してタマさんは堂々としたものである。
まわりの視線などまるで気にしてないようだ。
さすがですわ。
俺もメンタル鍛えないとなあ。こう、視線が集中するたびに挙動不審になってたんじゃね?
「おー……ぱぱっと換金済ませてご飯にしよか」
んま、ぱぱっと換金しちゃおう。
そいでご飯たべて装備屋にいって盾作ってもらうんだ。
あ、あと注文しておいた装備もお金払って受け取らないとだ。
「ニャ」
んでいつもの如くリタさんの受付に並ぼうとしたんだけど。
「……気のせいかなリタさんがむっちゃこっち見てるんだけど。圧が凄いんだけど」
リタさんがですね、ものすっごいこっち見てるんですよ。
別の人の受付してるから顔は笑顔なんだけど目がやべえ。瞳孔開いてらっしゃる。
「気のせいニャ」
そうだね。気のせいだよね。
「……空いてるし、今日はこっち並ぼうか」
お腹すいたしね。
疲れたし、早く休みたいし、いつも隣の受付のおっちゃんがこっちガン見してたし。たまにはね?
といった感じでおっちゃんの列にならんだんだけど、なんか結局リタさんの列に戻されたぞ。
どういうことなのっ。
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