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森の賢人
「62話」
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俺の声が聞こえなかったのか、タマさんは本当に行ってしまった。
一人取り残された俺はと言うと、まだ根っこが回収出来ず動けないでいた。
「夜の森とかまじ怖いんですけどー……」
真っ暗な森の中とかやばい。
月明かりがあればましだったかもだけど、生憎ちょっと曇っている。
こう真っ暗だとちょっとした物音でもビクッとしてしまう。
ほら、今もガサゴソと茂みが揺れて……揺れてるなあ。 揺れちゃってるよぉ……。
風……だと良いな。
ガサッ
今度は背後で物音がした。
「っ!? ……き、気のせいだよね?」
後ろを振り返るも特に何か居るわけではない……が。
もうまじ怖い。ちょっと冗談抜きで涙目になってきたんですけど、もう帰りたい……。
そして涙目で正面に振り返ると……。
暗闇にこちらを見る、無数の光る瞳が浮かんでいた。
ええ、根っこ引き千切って逃げ出しましたとも。
たぶん野犬か何かだと思うけど! てか犬いるか分かんないけど!
もう絶対夜に森の中入ったりしないからねっ!
無事宿につきました……。
部屋に入るとベッドにタマさんが寝転がってたよ。
「……ひっぐ」
「なんで泣いてるニャ」
「待ってって言ったのにー!」
タマさんのばかぁー!
もう、肉球押し当てたって許してあげないんだからね!
お腹なでさせてくれなきゃ許さないんだから!
ふぅ……。
スイカを俺の前にでんっと置くタマさん。
いや、改めて見るとサイズおかしいよねこれ。
「良い感じに冷やしておいたニャ」
「タマさんさっすがー」
スイカに触れて見るとひんやりと冷えていた。
冷えすぎず食べやすい温度にしているあたりはさすがタマさんである。
あ、俺だけどもうさっきの状態からは復帰しております。
洗い立てのタマさんのお腹はとてもふわふわしておりました。うへへ。
やっぱアニマルセラピーって有効なんだなーって思いました。まる。
「んじゃ、切るよ」
んじゃ切りますかーって……こうでかいと切るの大変だねこりゃ。
果物用にナイフ買ったんだけど、こうでかいと剣のほうが良かったかもね。
果物切る用の剣……怒られそうだけど今度買っておこうかな。
「おお……すっごいつまってる」
「ニャ! 赤いニャ。美味しそうだニャ」
なんとか半分に切ることが出来たよ。
断面はー……すごいね、むっちゃつまってる。
色も赤くて綺麗。黒い種がアクセントになっていいですね。
美味しそうです。
てかね。
美味しそうなのはいいんだけどさ、これ食い切れないよね、どう考えても。
タマさんも自分の質量以上には食えないだろうし、俺だってそんな大食いってわけじゃーないし。
……まあ、余ったら考えようか。たぶんリタさんにお裾分けとかになるんでないかな?
「よっし切り終わった……赤い部分だけ食べてね。皮は美味しくないから……あと種はだすようにね?」
「ニャ」
切り終わったし、まーとりあえず食べてみよう。
森中からかき集めた生命力やらなんやらを全て美味しさに注ぎ込んだこのスイカ。
はたしてどんな味になっているのやら……。
期待半分、怖さ半分といった感じで俺はスイカを手に取り口へと運ぶのであった。
「っ……ぶはっ!??」
急に感じた息苦しさに、スイカから手を離してぜーはーと荒く息をする俺。
気が付けばスイカは既に半分ほど平らげていたのだけど……食べた記憶がない。
それにこの息苦しさ……。
一口食って恐ろしいまでの美味さが口に広がって……そこで意識が飛んだ? そして呼吸もせず無意識で食べ続けてた?
え、やばすぎないそれ?
恐る恐るもう一口だけ食べてみると……意識が飛びそうになるぐらい美味い。
もっと食べたい……と思うがちらりと腹に視線を向けると……ぽんぽんに膨らんでらっしゃる。
タマさんも似たような状況だ。
時折ニャーニャー鳴きながらスイカをひたすら食べている。
そしてお腹はぽんぽんである。
「さすがにお腹きつい……」
美味しいけどさすがにこれ以上は無理。そう思い休もうと思ったのだけど……いつの間にか手が勝手にスイカを口に押し込んでいた。
そして口も勝手に動きだし……俺とタマさんは限界を超えてスイカを食べ続けていたのであった。
「うぐぅ……は、吐きそう」
「……ニャ」
結局食べきってしまった……。
冗談抜きで吐きそうでふ。
美味しかった……美味しかったんだけど。
「美味しいけどこれダメだ……危なすぎる」
「ニャ」
これ絶対にメロンのとき以上にやばい物質入ってる。
体が勝手に食べようとするとかやばいでしょ。ホラーですがな。
ギルドで食わなくて正解だった……下手すりゃ大惨事ですわ、これ。
そして翌日。
俺はトイレの住民となっていた。
「……下痢がひどい」
いやね、一人あたり10kg以上食べたわけで……そりゃ当然こうなりますよね。
もう下痢が酷すぎて体中の水分出した気がするよ……。
「ウッドは貧弱だニャ」
「なんでタマさん平気なのっ!? おかしい、だって同じぐらい食べたじゃんっ」
俺が貧弱なんじゃないデスヨ??
俺のより小さい体で同じぐらいスイカ食べておいて、平気なタマさんがおかしいのである。
「鍛え方が違うニャー」
鍛えるってなんだよお……レベル上がると内臓まで丈夫になるのかよぉ。ちくせう。
「ぐぬぅ……もうだせる物無くなったかな。 じゃあとりあえず盾受け取りに行こう……この借りてた盾どうすんべ」
……それはそうと下痢が止まりましたよ。
もう出すもん全部出したかな?
今日は盾を受け取って、借りていた盾を返す日なんだけどー……あのずたぼろになった盾どうしようね……
一人取り残された俺はと言うと、まだ根っこが回収出来ず動けないでいた。
「夜の森とかまじ怖いんですけどー……」
真っ暗な森の中とかやばい。
月明かりがあればましだったかもだけど、生憎ちょっと曇っている。
こう真っ暗だとちょっとした物音でもビクッとしてしまう。
ほら、今もガサゴソと茂みが揺れて……揺れてるなあ。 揺れちゃってるよぉ……。
風……だと良いな。
ガサッ
今度は背後で物音がした。
「っ!? ……き、気のせいだよね?」
後ろを振り返るも特に何か居るわけではない……が。
もうまじ怖い。ちょっと冗談抜きで涙目になってきたんですけど、もう帰りたい……。
そして涙目で正面に振り返ると……。
暗闇にこちらを見る、無数の光る瞳が浮かんでいた。
ええ、根っこ引き千切って逃げ出しましたとも。
たぶん野犬か何かだと思うけど! てか犬いるか分かんないけど!
もう絶対夜に森の中入ったりしないからねっ!
無事宿につきました……。
部屋に入るとベッドにタマさんが寝転がってたよ。
「……ひっぐ」
「なんで泣いてるニャ」
「待ってって言ったのにー!」
タマさんのばかぁー!
もう、肉球押し当てたって許してあげないんだからね!
お腹なでさせてくれなきゃ許さないんだから!
ふぅ……。
スイカを俺の前にでんっと置くタマさん。
いや、改めて見るとサイズおかしいよねこれ。
「良い感じに冷やしておいたニャ」
「タマさんさっすがー」
スイカに触れて見るとひんやりと冷えていた。
冷えすぎず食べやすい温度にしているあたりはさすがタマさんである。
あ、俺だけどもうさっきの状態からは復帰しております。
洗い立てのタマさんのお腹はとてもふわふわしておりました。うへへ。
やっぱアニマルセラピーって有効なんだなーって思いました。まる。
「んじゃ、切るよ」
んじゃ切りますかーって……こうでかいと切るの大変だねこりゃ。
果物用にナイフ買ったんだけど、こうでかいと剣のほうが良かったかもね。
果物切る用の剣……怒られそうだけど今度買っておこうかな。
「おお……すっごいつまってる」
「ニャ! 赤いニャ。美味しそうだニャ」
なんとか半分に切ることが出来たよ。
断面はー……すごいね、むっちゃつまってる。
色も赤くて綺麗。黒い種がアクセントになっていいですね。
美味しそうです。
てかね。
美味しそうなのはいいんだけどさ、これ食い切れないよね、どう考えても。
タマさんも自分の質量以上には食えないだろうし、俺だってそんな大食いってわけじゃーないし。
……まあ、余ったら考えようか。たぶんリタさんにお裾分けとかになるんでないかな?
「よっし切り終わった……赤い部分だけ食べてね。皮は美味しくないから……あと種はだすようにね?」
「ニャ」
切り終わったし、まーとりあえず食べてみよう。
森中からかき集めた生命力やらなんやらを全て美味しさに注ぎ込んだこのスイカ。
はたしてどんな味になっているのやら……。
期待半分、怖さ半分といった感じで俺はスイカを手に取り口へと運ぶのであった。
「っ……ぶはっ!??」
急に感じた息苦しさに、スイカから手を離してぜーはーと荒く息をする俺。
気が付けばスイカは既に半分ほど平らげていたのだけど……食べた記憶がない。
それにこの息苦しさ……。
一口食って恐ろしいまでの美味さが口に広がって……そこで意識が飛んだ? そして呼吸もせず無意識で食べ続けてた?
え、やばすぎないそれ?
恐る恐るもう一口だけ食べてみると……意識が飛びそうになるぐらい美味い。
もっと食べたい……と思うがちらりと腹に視線を向けると……ぽんぽんに膨らんでらっしゃる。
タマさんも似たような状況だ。
時折ニャーニャー鳴きながらスイカをひたすら食べている。
そしてお腹はぽんぽんである。
「さすがにお腹きつい……」
美味しいけどさすがにこれ以上は無理。そう思い休もうと思ったのだけど……いつの間にか手が勝手にスイカを口に押し込んでいた。
そして口も勝手に動きだし……俺とタマさんは限界を超えてスイカを食べ続けていたのであった。
「うぐぅ……は、吐きそう」
「……ニャ」
結局食べきってしまった……。
冗談抜きで吐きそうでふ。
美味しかった……美味しかったんだけど。
「美味しいけどこれダメだ……危なすぎる」
「ニャ」
これ絶対にメロンのとき以上にやばい物質入ってる。
体が勝手に食べようとするとかやばいでしょ。ホラーですがな。
ギルドで食わなくて正解だった……下手すりゃ大惨事ですわ、これ。
そして翌日。
俺はトイレの住民となっていた。
「……下痢がひどい」
いやね、一人あたり10kg以上食べたわけで……そりゃ当然こうなりますよね。
もう下痢が酷すぎて体中の水分出した気がするよ……。
「ウッドは貧弱だニャ」
「なんでタマさん平気なのっ!? おかしい、だって同じぐらい食べたじゃんっ」
俺が貧弱なんじゃないデスヨ??
俺のより小さい体で同じぐらいスイカ食べておいて、平気なタマさんがおかしいのである。
「鍛え方が違うニャー」
鍛えるってなんだよお……レベル上がると内臓まで丈夫になるのかよぉ。ちくせう。
「ぐぬぅ……もうだせる物無くなったかな。 じゃあとりあえず盾受け取りに行こう……この借りてた盾どうすんべ」
……それはそうと下痢が止まりましたよ。
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