家の猫がポーションとってきた。

熊ごろう

文字の大きさ
19 / 304

「19話」

しおりを挟む
「まず、改めてチュートリアル突破おめでとう。 まさかソロで突破する者が早々に出るとは思わなかったよ」

「いやー……ははは」

うんまあ、普通は複数人でやるもんだよね。

でもあの状態じゃ一人で行くしかないからねえ。
下手に助けを求めても同じレベルになるまでどれだけ時間掛かるんだって話だし、何より情報が出回ったりとかさ、それで結果的にダンジョン封鎖とかになってしまったら目も当てられない。

「そんな君にはプレゼントがあるんだ」

何ですと。

やったぜ、一人で頑張った甲斐があった!


「ありがとうございますー……カード?」

……と思ったんだけどさ、渡されたのはただのカードだった。 描いてある絵柄からして今まで戦った敵のかな……。

「そう、カードだよ。 1階層から5階層までのモンスターのカードさ」

「あ、ありがとうございます……?」

やっぱそうだった。
てかこれ貰ってどうしろと……?

「カード貰ってどうすれば?って顔しているね」

「え、あ、いや……そ、そんなことないデスヨ」

oh、ばれてやがる。

ちょっとやばっと思ったけど、アマツは何故か楽しそうである。せーふせーふ。


「ははは! ……解放されるダンジョンの機能の中に、カードを使って装備や自身を強化出来る機能があるんだ。そうそうカード自体は今後敵を倒した際に手に入るようになってるよ。 昨日渡した端末はまだ見てないのかな? ま、カードについては後ほど説明するとして」

まじか。
そんな機能あるのか……何かこう、ゲームみたいだね?
カード集める要素とか特に。

まあ、楽しそうだから俺としては大歓迎だ。

後で説明してくれるそうだから、その時ちゃんと聞いておこうと思う。



「まずここが何なのか、なぜ出来たのかについて話そう」

お、確かに気になる。
大体なんで俺んちの納屋に出来たのかとかさー……いや、そのおかげで助かったんだけどね。気になるには気になるのだ。

「このダンジョンは私が……いや、我々が作ったものだ。 君達がダンジョンと聞いて思い浮かべる物。そう、ゲームなどに出て来るダンジョンと似たような物と思ってくれて良い。 ここはそう言ったゲームの中に存在するダンジョンを実現したものだ」

ゲームみたいと思ったらゲームのダンジョンを実現とな?
なんかちょっとファンタジーにSFが入ってきたぞ……。

「何故作った?だが……我々は娯楽には目が無くてね」

「は、はぁ……?」

んん?
急に話が飛んだ……?

「様々な世界の娯楽を楽しむことを趣味としているのだよ。 この世界の娯楽は実に素晴らしい、量と質共に他を凌駕している……!」

「あ、ありがとうございます」

「娯楽を楽しむ為には対価が必要だと我々は考えている。 この世界の娯楽を楽しむ為に我々が用意した対価……それがこのダンジョンだ。 ここでは君達の世界には無いが望まれている物が手に入る。 それに、好きだろう? こう言うのは」

「ええ、まあ確かに……好きです」

そゆことですかい。
律儀と言うか何というか……何となく俺達の作ったダンジョンを楽しんで欲しい!的な気持ちがありそうな気がしなくもない。

「ちなみにここに出来たのは偶然だよ、場所は全部ランダムで選んでいるからね」

「まじですか」

すっごい偶然ですね。
いや、まじで。

ランダムってことは別に人が住んでいる所限定ではないでしょ? 森とか山とか諸々含めた中から、うちの納屋が選ばれたって事だし……運がいいとかそう言うレベルじゃない気がする。

いやまて、それ下手すりゃ湖の中に出来たりとかもしたんじゃ……? だ、大丈夫かな、このダンジョンマスター。


「それじゃ項目の説明に入ろうか。まずはカードから……ちょっと端末起動してみてくれるかい……ああ、起動って言えば大丈夫だよ」

あ、あれさっきので終わり? ……後で気になる事があれば聞けばいっか。

それよりも端末起動しないとだ。
気が付いたら電源?落ちててさ、再起動の仕方が分からなかったんだよな。

んじゃ、起動っと。

「で、カードの項目と改造の項目どちらからでも行けるんだけど……そうだね、改造の項目からいこうか」

「はい……おぉっ、これって私が今着けている装備ですか?」

改造の項目をタップすると、画面にマネキンっぽいのが表示されて、そいつが着けている装備が今俺が着けているのと同じっぽいんだよね。 表示されてる名称も同じだし。


「そうだよ。 装備の名称の下に枠があるだろう? それがカードをセット出来るスロットになっているんだ」

やっぱ俺の装備か。
で、スロットとな……確かにあるね。あるけどー……。


「おー……あの、装備によってスロットの数が違う見たいなんですけど……」

「ああ、それはね。 装備も使っていく内にレベルが上がっていくのさ、レベルが高いほどスロットの数も増えていくんだ」

……なるほどね、確かによく見たら名称の横にレベル書いてあったよ。
ちなみに鉈と靴が10でそれ以外は8だね。靴下とか下着は対象じゃないっぽい。

「鉈と靴がレベル高いのは最初から使っていたからか……あれ、枠の色が違う?」

「カードにもレベルがあって、白枠はレベル1だけ、黄枠はレベル2までセット出来るよ」

「ほあー……本当にゲームみたい」


ダンジョンハック系のゲームにありそうな内容だ。
そして俺はその手のが大好きだったりする。

クロが全快したらまた再開するつもりだったけど、本当に楽しみだ。


「カードはその端末に保管出来るから入れておくといい。 左下のカード一覧を押して、格納を選んで出て来た枠内にカードを押し込めば完了さ。 取り出したいときは取り出しを押せば良いよ」

端末に保存できるのはありがたいね、うっかり無くしたり盗まれたりしたら大変だもん。
その点この端末に入れておけば……あ、あれこいつって認証機能とかあるのかな? ……後で聞いておくか。

「カードをセットするには装備の枠をタップしてカードを選ぶだけだよ。外したい時も枠をタップすれば良い……さて、カードについてざっと説明したけど何か質問はあるかい?」

あ、着け外し出来るのありがたいね。
ゲームによっては一度着けたらもう外せないのとか、破棄しないとダメなのあるし、割と親切設計だ。

気になること、気になることねえ……ダメ元で聞いてみるかね。

「えっと……カードって他にどんなのあるんですか? 魔法使えるようになったりとか……」

「それは秘密だね。 頑張って楽しみながら集めて欲しい。 他の参加者とトレードしても良いし」

「……んえ?」

やっぱ教えてくれなかったかー……って今何て言った?

「他の参加者って……他にもダンジョンがあるんですか?」

「その通りだよ」

あるんかいっ!
最初の説明の時に言おうよっ。

「あー……ちなみに何カ所あるんです?」

「まだテスト中だからね……今は15箇所だけだよ。 アメリカに5つ、イギリスに5つ、そして日本に5つさ。 ああ、詳しい場所は秘密だよ? 皆にも見つけた時のワクワク感を味わって欲しいからね」

まだテスト中ねえ……これって今後はもっと増えていくってことかな。
だとするとポーションを表に出す日もそう遠くは無いかもだ。

あとちょっと他のダンジョンにも興味がある、場所は秘密らしいけど公になれば行ってみたいところー……ん? 秘密ってことはまだ見つかっていないのかな?

「結構あるんですね。 もう発見されてるんですか?」

「…………」

あ、あれ?
なんかアマツが黙っちゃったんだけど?? 今の質問地雷だった? んなあほなっ。

「あ、あの?」

「ああ、すまない。 発見されているか?だったね。 今のところはここを含めて4箇所発見されているよ」

「おー。 ……でもニュースとかで見ないですね、結構大騒ぎになりそうなもんですけど」

1カ所でも見つかれば騒ぎになりそうなもんだけどね。
ここは納屋の中だから、俺以外気付かないし騒ぎにはならないけど。

「……発見された内の2箇所はここと同じ極小ダンジョンでね、一箇所は野生動物の住処になっているよ」

「え゛……発見って野生の動物がですか?」

「その通り! そしてもう一箇所は人が発見したのだけど悪戯だと思われて埋められてしまったのさ。 ……あの2箇所はもう閉めようかと思っているよ、それに極小ダンジョンはもう作らないでおこうと思う」

「そ、それはまた……え、えっと、もう一箇所は?」

確かに人がやっと潜れるぐらいの穴だしなあ……悪戯とか、動物が掘ったとか勘違いするのも分かる気がする。

……アマツとしてはその辺は想定外だったのだろうか、結構目に見えて凹んでるぞ。

あ、でも残りは違う大きさかも知れないし? それなら動物が掘ったとか思わないんじゃないかなー……?

「小ダンジョンだけど……物置代わりになってるよ」

「あちゃあ」

なんてこった。


「ご、極小と小があるなら大きいダンジョンもありますよね? さすがにでかければまた反応違ってくるんじゃないかなーって思うんですけど……その」

「……ちょっと辺鄙なところでね、まだ見つかっていないんだ」

なんでそんな所に作ったし。

てかアマツが暇なのってこれが原因だよね。

ダンジョン作ったは良いけど誰もこないとかダメじゃんっ。
ランダムって言っても限度があるでしょがー。

「えぇ……多少目立つところが良いんじゃ無いかと……」

「そう、だね。 ……うん、その内移動する事にするよ」


移動できるんかい。


「それじゃ説明に戻ろうか」

移動すると決めたからだろう、アマツは明らかに凹んでいたのがすっと復活する。

復活したアマツはまたにこりと笑みを浮かべ、続きを話し始める。
しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!

枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕 タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】 3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった

椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。 底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。 ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。 だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。 翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...