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「28話」
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「……あ、電話するの忘れてた」
車に乗り目的地へと向かう途中で、電話を掛けておくのを忘れていたことに気が付いた。
どこかに止めて電話を掛けようと思ったが、車に乗り慣れていない俺はどうにも街中の道端に止めるという行為が苦手で、止められたのは街中を出て祖父母宅の大分近くまで行った時であった。
居るといいなーと思いながら電話を掛けると10秒ほど間を置いて誰かが電話に出た。
「はいはい」
「あ、ばあちゃん? 康平だけど」
ばあちゃんだった。
「あら、康平? どうしたの?」
「昨日じいちゃん腰痛いって言ってたでしょ、すっごい効く湿布あるから使って貰おうと思って」
実際めっちゃ効くよね。
よく考えたら重い腰痛でも3日で治るってやばいよな。
「あらあら! わざわざ悪いわねえ……おじいちゃん今畑に居るから呼んでくるわね。 もし家に誰も居なければ上がって待ってていいから」
「わかったー」
分かったと返事をして祖父母宅へと移動を再開する俺。
居なかったら入っても良いって、さすが田舎と言うか何というか……最近は空き巣被害に遭ったりとかで、そう言った無防備にしている家は減ったと聞いたけれど、ばあちゃんの家周辺ではそう言ったことは無いのかもね。
車を運転する事10分ほど、俺は目的地である祖父母宅へ到着していた。
「とうちゃーっく。 さて居るかなー……あ、いるいる」
湿布片手に車を降り、窓へと顔を向けるとばあちゃんが手を振っていた。
勝手に入るのはちょっと気が引けるから、居てくれて良かった。
「もってきたよー」
「いらっしゃい。 さあ、上がって上がって」
「康平、わざわざすまんなあ」
玄関に入るとじいちゃんばあちゃんが出迎えに来てくれた。
茶の間へと入り、お茶を出して貰ったので飲んで一息つく。
そして今回ここに来た目的である湿布をじいちゃんへと手渡す。
「はい!これー」
「おう、ありがとうなあ」
「軽いのでも1日、結構重いのでも3日あればかなり良くなるはずだよー」
「ほーそんな効くんか?」
「効く効く。 ビックリするぐらい効くよ」
何せダンジョン産ですから。
ポーションとか結構深い傷も一瞬で治るからねえ。
この湿布もわざと効果を落としてあるとはいえ、かなりぶっ飛んだ効果だと思う。
「はー……最近はこんな湿布もあるんだなあ」
「最近のはすごいみたいだね、絆創膏でも1日あれば傷塞がるようなのあるらしいし」
とりあえず最新のはすごいと誤魔化しておく。
絆創膏とかも実際あるし、たぶん大丈夫。
「ほら、じいさん。 せっかくだから康平が持ってきたんだから貼ってみたら?」
「ん、おお……」
ばあちゃんにそう言われ、背を向けるじいちゃん。
「……くっついた…………はい、できた」
ばあちゃんは上着をぐいっとめくると背中から何かを……元から貼ってあった湿布を剥がし、俺が持ってきた湿布を代わりに貼っていく。
うーん。 中々に毒々しい色をしてるなあ。
こんな色なのに実際効くんだからすごいよね。
その後はしばらく雑談をして過ごし、夕方近くなったのでそろそろ帰ると二人へ告げた。
「もう帰るのか?」
「うん、クロにご飯あげないとだからね」
実際置いてきた餌はもう食い終わっている気がする。
薬の効果切れてるのに、食欲がそのまんま何だよなあ。
まあ、運動もしているし、気が付いたらまん丸に! なんてことは無いと思う。
クロも筋トレしたら効果あるんかねー?
……あ、筋トレで思い出した。
「あ、そうだそうだ。 最近暇ができたから何か手伝えることあったら声掛けてねー」
農作業のお手伝いしよう。
ムキムキになったの誤魔化す為に言ったけれど、手伝いたいのは本当である。
お世話になってるし、日頃の感謝をこめてそれぐらいやらんとね。
向こうからは言い出しにくいかもだし、こっちからアピールしておこうと言う作戦である。
「おぉ……そうだなあ、月末にビートの苗を定植するでな。 その時に手伝って貰えると助かるが……」
「ん、わかった。 その時までもっと鍛えておくよー」
定植とか言われてもなんのこっちゃいって感じだけど、とりあえず筋肉きたえておけば何とかなるだろう。 農家は力仕事なのである。
「ただいまー」
家に帰るとすぐにクロが駆け寄ってくる。
にゃーにゃー激しく訴えてくるので、頭をよしよしと撫で茶の間へと向かう。
「ご飯ね? どの缶詰がいいー?」
やはりクロの餌皿は空になっていた。
お留守番してもらったし、豪華に行こうとクロの前に缶詰をたくさん並べる。
クロに好きな物選んで貰おうって魂胆です。
「これとこれ……あ、それもね」
クロが選んだ缶詰は全部で3個。 食欲衰えてませんねえ。
缶詰を餌皿にあけるとすぐにクロが食べ始める。うにゃうにゃ言ってるのできっと美味しいのだろう。
さて、俺もご飯にしますかね。
今日はアスパラの肉巻きですぞっと。
「クロ、明日からゴブリンの階層に行くけど、ちょっと行く前に端末で作業しようか。 カードまだセットしてないし、ポイント余っているなら装備の改造も出来るしね」
缶詰を平らげ、満足そうにソファーで横になるクロへそう声をかける。
クロはにゃーと一声鳴くとそのまま本格的に眠り始める。
明日は5階でのゴブリン狩りだが、狩りを開始する前にクロの装備にカードをセットし、さらに改造を施すつもりである。
そこまですればきっと5階も余裕だろうが、何があるか分からないし、今日は俺も早めに寝て体調を整えておこうと思う。
おやすみ、クロ。
そして翌朝。
「……6000以上あるぞ」
クロの端末を見せて貰ったのだけど、ポイントが6000以上貯まっていた。
昨日はそこまで数を狩っていないので、このポイントの半分ぐらいはクロが単独で稼いだものだろう。
すごいな、てかこのダンジョンいつからここにあるんだろう。
俺みたいにゴブリンを大量に狩るとかしなければこんなにポイントが貯まるなんてことはないよな。
アマツへの質問が一つ増えたね。
ま、それは追々聞くからいいとして、とりあえずクロの準備を整えていこう。
まずはカードかな。
実はアマツからカードを2枚貰っていたりするんだよね。
二人で突破したからーって。
ちなみに3人以上の場合は1枚貰えるらしい、チュートリアル突破した人へのご褒美って訳だ。
「とりあえずカードセットしようか」
そう言ってクロに改造の項目に触れるよう指示をだす。
クロはうにゃんと鳴くと、端末にぺしっと前足で触れる。
「防具にスロットがない……そうか、買ったばかりだからレベルあがってないのかっ」
クロの装備をみて気が付いたのだけど、スロットが存在していなかった。
これは買ったばかりでまだ装備のレベルが上がっていない為である。装備の説明欄を一応確認すると、クロの装備は全てレベルが4になっていた。
恐らくレベルが5に上がればスロットがつくはずである。
「……どっちにしろ今有るのって体用のカードだけだし、関係ないか」
せっかくだからレベル5にしてしまおうかと思ったが、今有るカードは全て体用のである事を思いだし、やめておいた。
スロット出来ても使えるカードが無いしね。
車に乗り目的地へと向かう途中で、電話を掛けておくのを忘れていたことに気が付いた。
どこかに止めて電話を掛けようと思ったが、車に乗り慣れていない俺はどうにも街中の道端に止めるという行為が苦手で、止められたのは街中を出て祖父母宅の大分近くまで行った時であった。
居るといいなーと思いながら電話を掛けると10秒ほど間を置いて誰かが電話に出た。
「はいはい」
「あ、ばあちゃん? 康平だけど」
ばあちゃんだった。
「あら、康平? どうしたの?」
「昨日じいちゃん腰痛いって言ってたでしょ、すっごい効く湿布あるから使って貰おうと思って」
実際めっちゃ効くよね。
よく考えたら重い腰痛でも3日で治るってやばいよな。
「あらあら! わざわざ悪いわねえ……おじいちゃん今畑に居るから呼んでくるわね。 もし家に誰も居なければ上がって待ってていいから」
「わかったー」
分かったと返事をして祖父母宅へと移動を再開する俺。
居なかったら入っても良いって、さすが田舎と言うか何というか……最近は空き巣被害に遭ったりとかで、そう言った無防備にしている家は減ったと聞いたけれど、ばあちゃんの家周辺ではそう言ったことは無いのかもね。
車を運転する事10分ほど、俺は目的地である祖父母宅へ到着していた。
「とうちゃーっく。 さて居るかなー……あ、いるいる」
湿布片手に車を降り、窓へと顔を向けるとばあちゃんが手を振っていた。
勝手に入るのはちょっと気が引けるから、居てくれて良かった。
「もってきたよー」
「いらっしゃい。 さあ、上がって上がって」
「康平、わざわざすまんなあ」
玄関に入るとじいちゃんばあちゃんが出迎えに来てくれた。
茶の間へと入り、お茶を出して貰ったので飲んで一息つく。
そして今回ここに来た目的である湿布をじいちゃんへと手渡す。
「はい!これー」
「おう、ありがとうなあ」
「軽いのでも1日、結構重いのでも3日あればかなり良くなるはずだよー」
「ほーそんな効くんか?」
「効く効く。 ビックリするぐらい効くよ」
何せダンジョン産ですから。
ポーションとか結構深い傷も一瞬で治るからねえ。
この湿布もわざと効果を落としてあるとはいえ、かなりぶっ飛んだ効果だと思う。
「はー……最近はこんな湿布もあるんだなあ」
「最近のはすごいみたいだね、絆創膏でも1日あれば傷塞がるようなのあるらしいし」
とりあえず最新のはすごいと誤魔化しておく。
絆創膏とかも実際あるし、たぶん大丈夫。
「ほら、じいさん。 せっかくだから康平が持ってきたんだから貼ってみたら?」
「ん、おお……」
ばあちゃんにそう言われ、背を向けるじいちゃん。
「……くっついた…………はい、できた」
ばあちゃんは上着をぐいっとめくると背中から何かを……元から貼ってあった湿布を剥がし、俺が持ってきた湿布を代わりに貼っていく。
うーん。 中々に毒々しい色をしてるなあ。
こんな色なのに実際効くんだからすごいよね。
その後はしばらく雑談をして過ごし、夕方近くなったのでそろそろ帰ると二人へ告げた。
「もう帰るのか?」
「うん、クロにご飯あげないとだからね」
実際置いてきた餌はもう食い終わっている気がする。
薬の効果切れてるのに、食欲がそのまんま何だよなあ。
まあ、運動もしているし、気が付いたらまん丸に! なんてことは無いと思う。
クロも筋トレしたら効果あるんかねー?
……あ、筋トレで思い出した。
「あ、そうだそうだ。 最近暇ができたから何か手伝えることあったら声掛けてねー」
農作業のお手伝いしよう。
ムキムキになったの誤魔化す為に言ったけれど、手伝いたいのは本当である。
お世話になってるし、日頃の感謝をこめてそれぐらいやらんとね。
向こうからは言い出しにくいかもだし、こっちからアピールしておこうと言う作戦である。
「おぉ……そうだなあ、月末にビートの苗を定植するでな。 その時に手伝って貰えると助かるが……」
「ん、わかった。 その時までもっと鍛えておくよー」
定植とか言われてもなんのこっちゃいって感じだけど、とりあえず筋肉きたえておけば何とかなるだろう。 農家は力仕事なのである。
「ただいまー」
家に帰るとすぐにクロが駆け寄ってくる。
にゃーにゃー激しく訴えてくるので、頭をよしよしと撫で茶の間へと向かう。
「ご飯ね? どの缶詰がいいー?」
やはりクロの餌皿は空になっていた。
お留守番してもらったし、豪華に行こうとクロの前に缶詰をたくさん並べる。
クロに好きな物選んで貰おうって魂胆です。
「これとこれ……あ、それもね」
クロが選んだ缶詰は全部で3個。 食欲衰えてませんねえ。
缶詰を餌皿にあけるとすぐにクロが食べ始める。うにゃうにゃ言ってるのできっと美味しいのだろう。
さて、俺もご飯にしますかね。
今日はアスパラの肉巻きですぞっと。
「クロ、明日からゴブリンの階層に行くけど、ちょっと行く前に端末で作業しようか。 カードまだセットしてないし、ポイント余っているなら装備の改造も出来るしね」
缶詰を平らげ、満足そうにソファーで横になるクロへそう声をかける。
クロはにゃーと一声鳴くとそのまま本格的に眠り始める。
明日は5階でのゴブリン狩りだが、狩りを開始する前にクロの装備にカードをセットし、さらに改造を施すつもりである。
そこまですればきっと5階も余裕だろうが、何があるか分からないし、今日は俺も早めに寝て体調を整えておこうと思う。
おやすみ、クロ。
そして翌朝。
「……6000以上あるぞ」
クロの端末を見せて貰ったのだけど、ポイントが6000以上貯まっていた。
昨日はそこまで数を狩っていないので、このポイントの半分ぐらいはクロが単独で稼いだものだろう。
すごいな、てかこのダンジョンいつからここにあるんだろう。
俺みたいにゴブリンを大量に狩るとかしなければこんなにポイントが貯まるなんてことはないよな。
アマツへの質問が一つ増えたね。
ま、それは追々聞くからいいとして、とりあえずクロの準備を整えていこう。
まずはカードかな。
実はアマツからカードを2枚貰っていたりするんだよね。
二人で突破したからーって。
ちなみに3人以上の場合は1枚貰えるらしい、チュートリアル突破した人へのご褒美って訳だ。
「とりあえずカードセットしようか」
そう言ってクロに改造の項目に触れるよう指示をだす。
クロはうにゃんと鳴くと、端末にぺしっと前足で触れる。
「防具にスロットがない……そうか、買ったばかりだからレベルあがってないのかっ」
クロの装備をみて気が付いたのだけど、スロットが存在していなかった。
これは買ったばかりでまだ装備のレベルが上がっていない為である。装備の説明欄を一応確認すると、クロの装備は全てレベルが4になっていた。
恐らくレベルが5に上がればスロットがつくはずである。
「……どっちにしろ今有るのって体用のカードだけだし、関係ないか」
せっかくだからレベル5にしてしまおうかと思ったが、今有るカードは全て体用のである事を思いだし、やめておいた。
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